『ハカセ』と呼ばれるぼくと辺見さん
これは2020/07/11(土)に5名(つこさん。、伊賀海栗さん、花水木さん、よしあきさん、Gyo¥0-さん)で行った、「作者人狼」に提出した作品です。
あとがきにみなさんの反応を載せます。
子どものときにテレビで聴いた歌を忘れられなくて今日まで生きてる。
なんのために生まれたの?
なにをして喜ぶの?
問いかけられて幼いぼくは戦慄した。
愛ってなに?
勇気ってなに?
次々と疑問を生成して終わるそのアニメ曲は、アニメそのものよりもぼくの心を捕らえた。
質問したところで大人はのらりくらりとかわすだけだし、ぼくはしだいに何事も自分で調べる子どもになった。
そうしたら小学校でのあだ名は「ハカセ」になった。
なんだかよくわからずに「しゃちょう」と呼ぶやつもいた。
ぼくは少しだけ調子に乗って大きくなって、小学校高学年には「ハカセ」の座を降りずに済むよう、必死に勉強もした。
その甲斐あってか、ぼくはそこそこ秀才だった。
だけど中学受験はパスした。
理由はみんなと同じ学校に行きたいから。
本音は、落ちるかもしれないプレッシャーに耐えられなかった。
みんなの「ハカセ」もその程度だ。
他校からも集まる中学は、個性のるつぼだった。
一学期は借りてきた猫のようだったぼくたち一年生は、二学期にはりっぱにやんちゃになった。
そんな中でぼくはまた「ハカセ」と呼ばれるようになった。
同じ小学校だったやつがたくさんいるんだから仕方がないことだ。
ぼくはぼくのアイデンティティを、「ハカセ」であることで保とうとしていた。
だから必死に勉強したし、クラスの「委員長」と比べられても気にしてないふりをした。
その実めっちゃ気にしてた。
馬鹿みたいだな、て自分でも思っていた。
「いい加減にしなよ、『ハカセ』」
三学期のある放課後にそう言われて、ぼくは図書室での調べ物の手を止めた。
顔を上げたら、そこにいたのはクラスメートの、いわゆるスクールカースト一位の女の子だ。
「無理して『ハカセ』でいてどうすんの? あんた他にやりたいこととかないの?」
ぼくは一瞬なにを言われたのかがわからなかった。
だから反応せずに、ぼけっとその子の顔を見ていたのは、きっと阿呆面だったと思う。
「必死に好きでもないこと勉強して頭につめこんで、『ハカセ』でいて空しくないかって言ってんのよ」
そうだ、この子は辺見エリカ、話しかけられたのはこれがはじめてだ。
ぼくは言葉の意味を理解して、そして自分でもわかるほどに頭に血が登った。
なんてことを言うんだろう、『ハカセ』であることはぼくの……。
…………
ぼくの、すべてだ。
言い当てられて、見すかされて、ぼくは動揺した。
だからなにも言えなかった。
ただ、その場を静かに立ち去った。
それ以後、辺見エリカはふとした瞬間にぼく……勝木省吾……のことを言葉でなじり、そのくせ誰にもそれを悟らせないというゲームを始めた。
そうだ、ゲームだ。
じゃなきゃ、あんなに楽しそうなわけがない。
ぼくは『ハカセ』であることにしがみつくため、そのゲームに真っ向から挑んだ。
ぼくには譲れないものがあるんだ。
なんのために生まれたの?
なにをして喜ぶの?
その問いかけはまだぼくの中にある。
愛ってなに?
勇気ってなに?
答えが見つからないうちは、ただの『ハカセ』だ。
ぜったいに負けたくないゲーム。
あちらはぼくを『ハカセ』から降ろしたいらしい。
そうは行かないと、今日もぼくは気を引き締めて登校する。
ぜったいに負けられない、負けたくない。
ぼくの学校生活の色が変わった。
単色だった世界が、鮮やかに見えた。
よしあき:じゃあハカセを書いたのはだれだー?
つこ:つこさん
うに:ほへぇ
よしあき:はずしたー
花水木:はずしたー
Gyo:ふへぇ。
うに:ハカセ当てたこおらんなw
よしあき:これ全員外してる
つこ:よっっっっっっしゃ!!!
よしあき:つこさんがラブコメは意外過ぎる
Gyo:つこさん。芸風広げられるじゃ無いですか-!
うに:誰にも知られずになじる同級生の連載よろしくおねがいします
つこ:がんばった!!!
花水木さんにたくしたい