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私的今昔奇談  作者: 神谷カラス
6/15

実験

1ヶ月前の話。


一日目、酷い憂鬱が私を襲った。何も手につかなかったので眠っていた。


二日目、人形を抱くと鬱が直るという記事を読んだ。セロトニンやオキシトシンという物質が分泌されることでストレスが減少するらしい。私は家の中の人形を探し始めた。


三日目、家の中にはめぼしいものがない。ホビーショップへ行った。柔らかいぬいぐるみが最も効果があるという話だったが、数年前放送されていたアニメの美少女のプラモデルを見つけた。私はそれを買った。


四日目、深夜ラジオを聞きながらプラモデルを作り始めた。脚、腕、胴体、少しずつ出来上がっていく事に充実感を覚える。何日かに分けて作るつもりだったが一息に完成させた。今まで聞いたことのないラジオ番組を二つ聞いた。


五日目、暇さえあれば人形を眺めていた。何も言わないが、それでも私を慰めてくれているような気がした。その日は人形を抱きながら眠った。


六日目、人形と一緒にご飯を食べた。その後、彼女をカバンに忍ばせて公園を散歩した。さすがに取り出すことは出来なかったが、今までに無い高揚感があった。その日も一緒に眠った。


十三日目、飽きてしまったので、彼女を投げ捨てた。そのままぼんやりと過ごしていると、彼女がこちらを見ているので、以前見た人形の記事を読みなおした。人形というのは私らしい。それを抱きしめることで安心感を得られるという。私は彼女を見た。


私が私を見つめていた。

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