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普通の人間には用はない。死神?それも高レベルじゃねかこいつは少しは楽しめそうだ

 ははっ。笑みがこぼれる。


 武曽は振り返る。


 二人の女の子だった。


 どちらも14、15程の年だろう。背の低い方は銀髪の、肩までかかるかどうかのストレートな銀髪。気真面目そうな顔立ちで、融通が利かない利かなそうな強いサファイヤの瞳。そして――真っ白なワイシャツに真っ黒なミニスカート。それと引き換え異質なものを身に着けている。その少女の首元には、いくつものノックタグが何枚もついた付いた首飾りをしており、腰には紐でくくってつけている黒い鞘に収まる小太刀。背には、鮮やかな桜の模様が鞘に刻まれた彼女の背を超える太太刀を背負っていた。



そして、もう一人。制服の子よりも背の高い方は。美しい。魔性な表情を浮かべ立ち振る舞い、ルビーの瞳でじっとりとこちらを見ている。薄く笑う口元は何でも知っていてあざ笑うかのよう。髪はその表情に合う、長く肩下まである青みかかった紫色で、癖のあるふわりとした質感の髪だ。極めつけは白のドレス。ふわりと柔らかそうなその服はひらひらとオレ様が作った入口の中から吹く、小さな風でもゆれ、柔らかくフリルをなびかせていた。


 ワイシャツの子が760。まあまずまずまずの強さだ。通常の勇者でもそんなに強くない。おそらくはレジェンディレベルの世界の奴だろう。

 

 それとこっちは……。


 ドレスの方は930。間違いない。エキゾチィスの神に並ぶ力を持っている。

 どれどれ?種族は?死神?霊体なのか。へぇ――神様って訳ねぇ。能力も死神と言っても違和感がない。魂を魔力共に刈る能力。それに――高度な封印術に、世界操作(ワールドコントロール)ねぇ。


 時空管理者(セイヴァース)ってのは、街に居たザコ以外にも、神もいるんだな。


「念のため伺いますが。我々がここに来た理由は分かっていますか?」


 ワイシャツの子が訊く。


「はん?なんだ?魔王を倒しちまったからか?それともお前らの仲間を氷漬けにしたからか?どっちでもいいだろ?大体、お前みたいに弱い奴にはようはねぇよ。オレ様があるのはそっちだ」


「あらぁ」


 ドレスの子が不気味に笑みを浮かべた。


「お前、強いんだろ?ちょっとは楽しめるんだろうな」


「――あらあぁ。ミヨォ――アナタ、弱いっていわれてるわよぉ」


「そのようですね」


 ワイシャツの子が肩をすくめて見せる。


 なめられたもんだ。こいつら。 <<スキャンライブラリー>>みたいな相手の力を見る能力も持っていないのか?

 期待外れか?


「まあよいでしょう。ワタシとしては平和的に行くのがもっとうなので。入れ替わりますか?」


「えぇ。いやよぉ――ヨミが出てきたらぁ誰が収取着けるのかしら?」


 よく分からないが、このオレ様を前に、雑談とは舐めた事をしてくれる。


 死ねよ。


 右手を上げる。


 ――紫電。


 右手に紫色の雷がバチバチと生まれる。

 それが、大きく音を立てる。


「これほどの力を相手にするには、やはりワタシでは荷が重いんですよ」


 まだ喋ってやがるか!


 紫電は発光し。稲妻が周囲を飛ぶ。それは建物を破壊して、二人の女の子へも飛ぶ。


 光速だ!避けれるものならよけて見ろ!


 発光し眩くはじける。


 すべてが消える。


 建物の天井は吹き飛び、暗雲に日が差し込む外の風景が露になる。


 死んだか。

 女の子の姿はない。丸焼けにでもなったか?

 

 いや?上か。


 上空に居た。

 

 ドレスの女の子がワイシャツの子を右わきに抱え、左手には、青白く透き通ったガラスのような美しい、大釜を持っていた。その釜を持つ姿は、間違いない。死神と言っても間違いないだろう。ゆっくりと、その彼女が、降りてきて着地すると、抱えていたワイシャツの女の子を降ろした。


 少しは楽しめそうじゃねぇか。


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