誰に許可を得て時空管理者なんてやってんだよ。オレ様を逮捕とかふざけてんのか?
パン――!
突然発砲音が響いた。
目の前の女の子が撃ったのだ。
はあ?
「助けた恩人にいきなり発砲かよ」
発砲された弾は勿論武曽には届かない。
目の前で見えないバリアーに弾かれる。
だが、何故撃った?
いやまあ、大体――話の流れから察しがつくけど……。
「先日、この世界の神領域で大きな歪みを観測しました。そのせいでこの世界の神。つまり柱が消えたと。今は我々でなんとかこの世界を維持しています」
「で?」
話の流れからやっぱりな……。と。
異世界転移する奴なんて、二通りしかない。
「ワタシは時空管理者第32班アワリア・アルケイネス。この世界を崩した犯人を捜していました」
ほらな。
名乗った女の子に、オレ様はため息しかでない。
なるほど。なるほど。――と。
つまりは、
オレ様が、神を殺した事で世界が崩壊しかけたと。
それをこいつら、時空管理者が勝手に直したと。
はいはい。あーはいはい。
時空管理者、彼らは時空つまりは、異世界を管理するもの。
異世界転移する二通りの片方で。
彼らは、二人一組のチームを作り、あらゆる異世界を管理、観測をしている。その上、世界に害を及ぼすと判断したものを、犯罪者と呼んで捕まえ、封印。もしくは処刑をする。
言ってしまえば、世界の番人。
武曽見たいな、世界を移動するもう一通り。異世界を無許可で渡り歩いたり、神を殺したり、世界を荒らしたり、そういう者をこうして、追われることがよくある。
武曽が転移しようと思わない理由の一つがこれである。
「アナタを逮捕します」
いうねぇ――いまピストルが効かなかったの見えなかったのか?
そもそも、ここの神を殺すってことは自分よりも強いのを分からないはずがない。
まっ、どうでもいいがな。
「――やってみろよ」
殺気を放つ。
このオレ様を捕まえれるのなら捕まえてみやがれ。
足を一歩、アワリアに向かって進める
「ひっ――」
引きつってるじゃねぇか。
きりっとした美形が台無しじゃねぇ。
もう一歩踏み出すと。アワリアは後ろずさった。
なんだよ……ちょっとは異世界人だから楽しめるかと思ったが、やっぱり所詮400代か。
こんな奴、相手にしたとこで時間の無駄だな。
こっちがむしゃくしゃするだけだ。
大体、無限の転生が嫌になって、ようやく抜け出せたのに、ソレを否定すとか。どんなけ空気読めねぇんだよ。
もういいや。
「死ねよ」
その言葉に、アワリアは息を飲んだ。
「フリーズプリズン」
瞬間、彼女は凍った。瞬間的に、地面から光と広がる魔法陣と共に現れた氷の檻にとらわれ、そのまま凍り付いた。
<フリーズプリズン>氷の魔法だ。相手を氷の牢に閉じ込め真髄まで凍らす。普通の人間なら即死だ。
それで、凍らした。
魔法の予兆も見えないのか。なんだ、やっぱり弱いじゃないか。
でもまあ、神を程度で、時空管理者が出てくのか。なら一層、この世界をめちゃくちゃにしてやろうか?
手始めに、魔王でも潰しに行くか。
そう思うと、武曽は大きく跳躍して、空へと飛び立った。