次元とか世界とかいい加減ややこしいんだけど、まあオレ様がそんなこと考えるのはおかしな話だからどうでもいいが
「ん?」
名前を呼ばれたシノは、とぼけたように首を傾げた。
「ん?じゃねえ。なんでお前がここにいるんだよ!つーか、ここどこだよ!」
慌てふためく武曽に、シノはん~と唸り、ティーカップを置いて、椅子を引き、体を武曽の方へ向け
「あんさん、相変わらず口がきたないな~。そんなんやから友達出来へんのやで」
いや――今はそいう話じゃないだろう。
そもそも、友達はどの世界でも武曽は居たのだが……。
確かに友達多い方じゃなかったが……。
「って――そうじゃねえ!」
そうじゃない。そんな話どうでもいい。
「質問に答えろ、シノ!」
声を荒げ、その声が空間に響く。
シノがため息をする。
「そう――かっかしなさんなって。別に説明しんわけでもないんやで。とは言え、ウチかて驚いたわ。まさかあんさんがここの場所に来るなんてな」
机に向き直り、ティーカップを手に取り紅茶を飲むシノ。
相変わらずマイペースだと、武曽は思う。
「だから――ここはなんなんだよ?」
どうでもいいから早く答えて欲しい。こういう周りくどいのは嫌いなのだから。要件をサッサっとすましやがれよこのヤロウ。
物調ずらでシノを睨むと、シノは武曽に笑顔を返し答え始める。
「ここはどこでもなければ――なんでもない」
「はあ?」
意味が分からない。
説明にもなっていないし、答えにもなっていない。
結局なんなのかわからりゃしねぇ。
「あんさんは一回似た空間に来たことがあるから分かるやろ?こう――世界の感覚と感じるものが」
アバウト過ぎだ。
こいつは前の時もそうだ。自分で説明しようとしない。一度、オレ様が体験していることだと、言ってはぐらかしたようにモノを言う。
だが――確かに、言われてみればこの世界の感じ。
感じた事のある違和感だった。
記憶をたどるように思考を過去へ飛ばす。
そして――考えたったこたえは。
「世界が出来上がる前の世界……」
呟くと、シノはそやと、同意した。
「せやけどちょっーと違うな。ウチらの次元は既に世界はいくつも存在している。やから似て非なるものや」
いや――似て非なる。
確かに、同じではない。世界が出来上がる前の次元。
一度ローザと戦ったあの場所とこの場所は似ていた。
けれど――違う。
周りの雰囲気も、見た目もすべて。
次元そのものが異なるのだから、まったく同じではないだろう、けれど――元々オレ様たちがいた次元には世界は存在していた。
まあ――”次元”という表現もまた正確な物ではなが……。世界が異なる時点で次元は異なるのだから。
ローザはどう表現していただろうか……確か、宇宙と……。
なら、まさにこの場所がそれを表している
だが、それでもオレ様が体験したあの場所とは異なるものだ。




