後③
「さあ――どうだが」
抱き着かれた肩をすくめて見せて。
「エリザベートにくれてやった眼。エリーゼに与えた根源。ティアラに受け継いだ憑代。それと――フィーに奪われた命。仮に――すべて俺の手に今だにあったとしたら?もしそうなら俺は――正真正銘、救いようのないザコだよ」
「へぇ」
カチャンと、コップを置いたカレンは笑みをこぼした。
「たとえ、あの男みたいにどれだけ力を持っていようと意味がない。俺は問題に対して一人で悩むのは苦手でな。この通り、今回もフィーが気を回してなったら、間違いなく消えていた。俺はバカだから、こいつら見たいなそれを支えるやつが必要なんだよ」
エリーゼ、エリザベート、ティアラを見て、ローザは笑って見せる。
「そうですか。確かに――大切な事ですね。そこで――一つ提案なのですが。我々もその支えに加わっても構わないでしょうか?」
「は?」
美代の言ったことに、ローザが口をコの字にする。
「実はそのことでここに来たのですよ」
「というと?」
美代の提案に三人が怪訝な顔で美代を見る。
「今回の件で、世界一つと数人の死者と負傷者。おまけに船が一隻落とされてしまいました。ハッキリ言って、人手不足の時空管理者にとっては大きな打撃です。――で、でして。今回の件は誰の責任だと言う話になりまして」
あははと笑いなら言う美代。
「で?誰の責任?」
ローザが訊いた。
「本来的であるアナタ方に声をかけた、ワタシ達が責任を負われることになりました。そのため、報告に行ったその場で逮捕令状を頂きまして」
「――で、逃げてきたと。かくまってほしいことね」
美代に続けて、ローザが言った。
「はい。話が早くて助かります」
美代が笑顔で頷いた。
「一応聞いておくが。俺がお前たちを差し出したらどうなる?」
ローザもいたずらじみた笑顔で返す。
「良くて封印。悪くて処刑でしょうね」
答えにはカレンが返した。
「ですので。今回の件で約束したことも取引も帳消しです」
「はぁっ――まあ。今回の件であいつの力を利用して、世界を守る境界を三つ建てられたからな。まあいいが。俺に無駄骨を踏ませるとは良い度胸だな。美代」
ため息をして、呆れたように言い。それから、美代を睨んだ。




