レベルの差は埋められない。オレ様に近い!だが!まだ遠いい!お前らはまだ遠い!
エリザベートがその太刀を振り上げ、振り下ろす。
すると、衝撃破は強い突風を生み、さらに赤黒い炎が太刀から飛び出す。
地獄の炎ってやつか?
炎に向かって武曽は走り、消え。
「はっ!?」
エリザベートの横に現れる。
これが――レベル100の差だ。
魔法使いじゃあ、オレ様の速度についてこれねえよ!
こちらに向けて太刀を振ろうとその腕を掴む。
なんだ、美人じゃん。
魔女って言うだけあって、どこかの貴族の令嬢?いやそれ以上だ。美しい。生れ出た自然の魅了ってやつだな。
「触るな、無礼者!」
掴まれた腕とは別の腕を武曽にエリザベートは向け、魔法を放とうとする。
あっ――あぶねぇや。
だが、その魔法が放たれる前に、エリザベートを武曽は投げ捨てた。
「――っ」
「ちょ……エリザ!?」
勢いよく、エリザベートがエリーゼの元に飛び、ぶつかって、二人は倒れた。
三人まとめて、オレ様のほぼ全力を出し切っている。最高だ!ああ最高だ!だが――まだ、まだ本気じゃない。
もっとだ。もっと力を見せて見ろ!
「どうした?こんなんで終わりか?」
ゆっくりと立ち上がる三人へ、武曽は挑発ぎみに言った。
「私に触れるなど……無礼者めが……恥を知れ……」
立ち上がったエリザベートが武曽を睨む。
「あーあ。完全にエリザベートの奴、頭に血が上ってるな」
その様子を、いつの間にかカレンと共に離れてた場所で見たローザつぶやく。
「ちょっと、派手にやり過ぎよ。時空間に衝撃与えてるじゃない!感心してる場合じゃないわ!大体、三人があいつより弱いって言ったのはどこの誰よ!十分戦えてるじゃない」
カレンが、荒げている。
対等に戦えている。
だが――実情はそうではない。
「いや?圧倒的にあの武曽とやらに押されてるな。外傷はないが、おそらく気を抜けば一撃であの三人でも消されかねない」
「なら――助けにいかないの?」
一撃でもまともに受ければ、跡形も残らない戦い。力のすさまじさがそれを現している。神の領域と言ってもいいその領域で戦う4人に、カレンは勿論――手を出すことはできない。ならばローザは?と。
そもそも――自分の仲間たちが、そんな戦いに出ているのに。助けないのかと。
「最初に言ったろ。あんな規格外と一緒にしてくれるな。――でもまあ。危なくなったらと止めるさ」
「カレン的には――さっさと止めて欲しいのだけど……」
巨大な魔法陣を自身の中心に展開したエリザベートを見て、カレンはぼやいた。