おいおい、何邪魔してんんだよ!しかもいままで一番弱いやつじゃね?こんな奴の話聞く意味すらねえエ
現れたのは男だった。
青年。武曽よりも少し大きい大人だ。
幼さを持つ面影に、どこか軍人のように気真面目さをもった面構え。銀髪に銀のフロックコート。腰には機械仕掛けの、銃のようなトリガーのついた刀を携えている。蒼の右眼に、黄金に輝く金の左眼を持った青年が、大斧になった女の子を振り払った来た。
大斧は女の子を姿に戻り、青年を見上げた。
「なんだ?お前」
突然割り込んできたその男に、オレ様は気分を害された感じになり、訊いた。
「悪いな。こいつは俺のお気に入りなんだ。フレデリカ――もういいぞ」
「そう」
笑って見せる男がそう言うと、フレデリカと呼ばれた女の子はそっけなく言うと、開いたままの扉の中へと入り、その後扉も消えた。
「お前らも――ご苦労さん。後でご褒美あげるから帰っていいぞ」
続いて、周りのガキたちにも言う。
出てきた時の扉が現れ、彼らもお互いを支え合ってトボトボと扉へと入り帰っていき扉が消える。
何だこいつ。
「あらぁ――ローザ、アナタは出てこないんじゃなかったの?」
不意にカレンが言った。
「いや?データは十分取れたからな。それに、大事な大事な子たちを殺されてしまったらたまらないだろう」
笑って、冗談っぽくカレンに言い返す男。
「なんだなんだよ。このロリコン野郎は」
急に出てきて、なに意気投合してんだくそったれ!
大体強さは……レベル96?はあ?
さっきのガキどもよりもよえぇじゃねえか!
コモンレベルの世界から来た、ノミムシ風情がなにしゃしゃり出てんだよ。
なんか特殊な力でもあんのか?
名前:―――
レベル……96。
種族……人造人間
能力
属性付与
魔眼不完全
再生能力……ランクA
違法の時空間転移
剣術:八剣無冠流
その他
異世界転移者
世界を救った勇者
名前が分からない?
だが、ただのザコ。
神眼をもってるが、それも不完全片目だけかよ。できて魔力を見るぐらいか?
異世界転生してただただ旅をしているだけの、放浪者かよ。
「なに。別にたいしたものじゃない。ただの元・迷子の勇者だ。にしても――どうだ?俺のプロフィールを見て何か分かったか?」
こいつ――。
オレ様が力を見たことを分かってやがる。舐めやがって。
「ああ。お前みたいなザコが何の用だ?名前だけは何故か見えないが、それ以外はバッチリ見えたぜ。ハッキリ言ってザコ中のザコだ。ただの世界を移動するだけしかない能無しだな。テメェ」
その言葉に、男は肩をすくめて見せた。
「そうか――確かに。俺はお前の言うザコだ。ザコだがお前にあの子らを差し向けた元凶ってところでもある。とは言え、見ての通り俺はザコだろ?だから交渉――」
交渉の余地なし!
レベル100以下の下らねえ話に付き合う暇はないんだよ!
突然割り込んできた、ザコムシにオレ様は我慢ならず、シャイニングブレードを振り払い、閃光の中に男を葬った。