確かにいい技だが弱すぎる弱すぎるそんなんじゃ甘すぎるんだよ!
鬱陶しいよ。
避けながら、シャイニングブレードを投げ放ち、柱の一つへと当て破壊する。
柱は破壊され崩れる。
だろうな。
仕掛けは簡単だ、柱の中ではカレンの姿を捕えられないだけ。それを崩せば、この通り……。
見えた。
「おらっ!」
「あっ……」
完全に見えたわけではない。だが、武曽にとってはそれだけで十分。
カレンを軽く蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされたカレンが、柱の円から飛び出て、荒野に転がる。
「面白い手品だけど。900ってこんなもんか……」
柱の一つをシャイニングブレードを再びだし、斬り壊すと、他の柱も崩れた。
カレンが、ゆっくりと立ち上がる。
「一本破壊した程度で、何故見える……。そもそも、それを破壊するなんてぇ」
そうか、柱もそう簡単に破壊できないものなのか。積み木レベルだったが?
さて――
やっぱり、900は900だったな。確かに普通なら世界最強レベルだ。他に強い奴はそういないだろうな。
だが、相手が悪かった。ああ、相手が。くくっ――。
楽しくて、ついつい笑みがこぼれてしまう。
でまあ――こっからだけど。
「なあ、お前たちが5班ってことはもっと強い奴がいるんだろ?そいつらよんで来いよ。お前じゃはなしにならない」
そうだ。おそらくまだこいつらより強い奴がいる。オレ様の狙いはそいつらだ。もっと楽しめるやつとやり合いたい。
「えぇ……。時空管理者は若い数字の班ほど強いわ」
「なら、あと4班はお前たちより強い奴がいるってことだな。なら――いやこの際だから一番強い奴よんできてくれよ。じゃなきゃああなるぜ?」
指を指す。荒野に倒れる、真っ赤にワイシャツを染めた美代を。
無論――動いていない。あの一撃で完全に心臓はえぐっている。死は間違いない。
「無理ね」
立ち上がったカレンが静かに言った。
「無理だと?」
「不思議よねぇ。横で親友が死んでるのを見ても何も感じない。って言っても、あの子を殺したのはカレンだったわぁ」
「お前の話なんてきてないんだよ。もう一発蹴り飛ばすぞ」
そう言ったオレ様に、カレンは薄気味悪く笑みを浮かべた。
「だから無理なのよ。おそらく時空管理者には今のアナタより強い人はいない。だから無理なの」
なるほど。だったら、いっそ全員呼ばせるか?
「けどまあ。このまま泣きべそかいて逃げるのもカレン的にはぁ、趣味じゃないの」
「はっ、だったら来いよ。殺してやる」
そんなに殺して欲しいなら殺してやる。まあいいさ――こいつをやっちまえば他の奴は間違いなく来るだろう。
というか、なんだよ。オレ様の強さにたどり着いた奴は、オレ様以外にも3人は知っているが。一人もいないんてな。管理者とやらが訊いてあきれるな、おい。
「一つ。面白い事を教えてあげる」
あ?
「なんだよ?」
「その代わり、この世界に少しの間とどまってくれるかしら?」
なんだこいつ。ぎゃちゃごちゃと。なにか準備している様子向ない。
結局、命乞いか?
「アナタをまともに相手できる人間を一人知ってるわぁ。そいつを連れてきてあげる。それまでは大人しくしてくれるとぉ、カレン的にはぁ都合がいいのだけど……」
はっ………。
はは、ははははは。
ああ。まじかよ。まじかよ、居るじゃねぇか。ならっささとそうすればいいものを。そうしねぇから。そんな目にあうんだ。
楽しくて笑ってしまう。
「――いいぜ?その代わり、5日だ。それ以上はとどまらない。こんな世界。ぶっ壊してやる」
「いいわよ」
カレンがカマを光と共に消す。
それから、美代へと歩いていき。動かなくなった美代を肩を貸すように持ち上げる。
けなげに、死体回収かよ。
「――それじゃあ。まってなさいな」
世界が渦巻き、蒼く黒く光る渦のゲートが姿を現す。カレンは美代を担いだて、その渦の中へ消えていった。
楽しくなってきたじゃねぇか。