ほら、やっぱり本気を出すとこれだ。結局瞬殺じゃん
シャイニングブレードは閃光を解き放つ。
それとほぼ同時に女の子二人は消える。
そう、女の子二人とその後ろまで光は届き、光は遠くに広がる山までも粉砕した。
丸く、光が通った場所をえぐった。
それを武曽が確認した途端、左右から同時に二人の女の子は走りこむ。
右は大釜を構えるカレン。
左は小太刀と太太刀を構える美代。
武曽を挟む形で襲い掛かる。
来たか!
武曽はまず、シャイニングブレードをカレンへと振るう。
無論、先ほどと同じ、刃からは閃光が放たれ、それが横向きにカレンともども包み込む。
「あら、遅いわよ」
だが――それは当たらない。砕け散る周囲に紛れ、カレンは瞬時にシャイニングブレードを振り切った武曽の正面へと姿を現し、釜を振り下ろす。
はっ――。
楽しくて楽しくて、笑みがこぼれた。
逆からは美代が迫っている。
「<<クリアマインド>>」
「消えっ――」
武曽が姿を消し、さっきまで武曽が居た場所にカレンが立つ。美代もその場で立ち止まり。
――ズガアアアアアアアアアアアアア。
二人の立つ地面から、いくつものチェーンが伸びる、それが襲い掛かった。
「<<エクセキューソナ>>」
続いて、天に紫色の円型の魔法陣が現れ闇が――中心から溢れる。
塊が天から、巨大な闇の塊が押し寄せる。
「<<ザ・テンペスト>>」
空間は歪み、響く。自身のようなその衝撃は周囲を響かせる。
――炎が広がった。そして――それから、爆発が。周囲で置き始める。
封印の鎖。
闇の墜落。
灼熱の地獄。
力加減を間違えれば、この大陸は軽く吹き飛ぶ力だ。それをすべてぶつけてやった。
武曽は、城からはなれた上空で、それらが弾ける様を見届けていた。
<<クリアマインド>>
それは、空間を瞬時に移動する魔法だ。
武曽はそれを使い、あらかじめ脱出し、二人のいる城に向かって、強大な魔法を撃ち放ったのだった。
あれだけ大口叩いてたんだ。これぐらいの手品ぐらい見抜いてくれないと。
一種の期待と、残念感。まともにやりやったんじゃ。オレ様の速度が速すぎて、一瞬で終わっちまう。少し力を抜いたつもりだが、消しとんだ城を見るに、やりすぎたのかもしれない。
「なんだよ。この程度か」
荒野に降りて、落胆する武曽。
「随分な言われようですね」
なに?
背後からだ。
二人は居た。
傷一つない姿で二人はそこに立っていた。
あれから、無傷で出るとは。
「なんだよ。女の子だからって一瞬で終わらせてやろうと思ったのに……」
「それはどうも。ですが――能無しもいいとこです。ただただ大きな力を放てばいいというものはないのですよ」
なんだよ、このオレ様に説教か。
まあいい。
じゃあ、本気でやってやるか。
まずは、うるさいザコからな。
「よく言うわねぇミヨ。カレンがぁ――決壊をさせなきゃぁ――――っ」
無駄話はもういいって。
瞬間的にオレ様は動く。
そうして、美代をシャイニングブレードで刺しつけた。
「あっ……」
「このっ――」
ブンッ!
慌ててカレンが大釜をオレ様に振った。まあ、そんなものとっさにバックステップしてよけるけどな。
シャイニングブレードが貫いた胸から抜け、血を吹き出し、美代倒れた。真っ白かったワイシャツが真っ赤に染まっていく。
ほら、やっぱり本気出すと簡単に倒せちゃう。
こっちはどうだ?
「おっ!?」
カレンが消えて、目の前に現れる。
「十三の柱……」
周囲に、カレンの宣言通り、十三つの柱が武曽を囲む形で円形で地面から突き出る。
遅いって。
突っ込んできた、カレンにシャイニングブレードを振り入れる。
だが、手ごたえをはない。
視界のそとから、大釜が迫るのが見える。
とっさに避けるも、ソレは何度も視界のそとから襲い掛かる。
姿を捕えようとするも、姿が見えない。
ただ、視界のそとから、襲い掛かる。。
「死の舞踏会……」
冷たく声が聞こえる。
避けれども避けれども、カレンの姿は捕えられず、視界の外から大釜が武曽を襲った。
それは、まぎれもない。ダンスのように。武曽は避ける。