【第二章】第四部分
「家事なら慣れてるし、軽労働とわざわざ書いてる親切設計ね。実に良心的だわ。これにしよっと♪」
貼り紙の示す方向に、大きな一歩を踏み出した玲羅。
玲羅が見えなくなったあと、男子小学生が母親に叱られていた。
「またイタズラ書きして!貼り紙に落書きしちゃダメよ。」「ゴメンナサイ。」
その会話は距離的に玲羅に届くハズもなかった。
電柱の先を左に折れた。玲羅はすぐ前方に目を剥いた。
「ここ?ウチの近くにこんなデカいお屋敷なんて、あったっけ?灯台もと暗しとはこのことね。」
普段家事に追われており、通常の通学路しか知らない哀れな玲羅であった。
大きな鉄格子のような門のところにやってきて、インターホンを押した玲羅。
『何かご用ですか。』
取次の声はなく、モニターに文字が表示された。
「バイトの面接に来ましたけど。」
屋敷内ではモニターで玲羅を確認したのか、門は開いた。
『どうぞ、お入りください。』
再びモニター表示のみ。
屋敷までは百メートルは離れており、色とりどりの花壇に挟まれた道を進む玲羅。
その間、物珍しさで、睥睨しながら歩く玲羅。
「スゴくキレイな庭だわ。たくさんの花、噴水から見える虹、彫像、どれを取っても超一級品だわ。こんなところにお嫁に来れたら、きっと幸せになれるわね。お嫁って、ちょっとまだ早いかな。うふふ。」
純白に黒いストライプのセーラー服の裾を軽くつまんで、見せる相手もいないのに、エアウインクをする玲羅。高校一年生らしいオトメハートな玲羅であった。
豪邸の庭で目の保養をしながら、玄関前に到着した玲羅。
「ずいぶんと大きなドアだわ。優に三メートルはあるわね。」
両開きのドアにはライオンのエンブレムが施されている。ドアの木目が繋がっていることから一枚板らしい。建物を改めて見てみると、屋根が四角錘の形状で、中世の城にも似た威容を誇っている。
木の扉は自動ドアのようにスーッと開いた。
「あれれ。触ってもいないのに。内側から開けたのかしら。」
ちょっと戸惑った玲羅は、屋敷内の光景に目を奪われた。
『いらっしゃいませ、バイト候補のお嬢様。』




