【第三章】第九部分
午後の授業は体育。二人ひと組で体操を行っている。
これまでの遼斗は黒メイドとやっていたが、今日は玲羅と柔軟体操をやっている。
玲羅も体操服に着替えているが、赤いヘッドドレス付きであり、かなり目立っている。
「ほら、白メイド。あたしたちはドッジボールで遊ぶから、体育倉庫から取って来なさいよ。」
「わかってるよ。お兄ちゃんの王妃待遇様。」
真白をアゴで使う玲羅。
真白は実に忌々しそうな顔で、地面から砂を蹴散らしながら、体育倉庫の方へ歩いていく。
「白メイド、歩くんじゃなくて走るのよ。あたしの待ち時間一秒はあんたの一生に相当するんだから。あっ、もう一生は終わってるから、ほんの一瞬ね。ワハハハ。」
「もう~。チョームカつく!でも逆らえないよ。悔しい!」
歯ぎしりの音をグラウンドに響かせて、小走りにシフトチェンジした真白。
『この世をばわがよとぞ思ふ望月の欠けたることのなしと思へば』
という藤原道長の短歌がある。
「白メイド、ちょっと待ちなさいよ。」
真白の背中に、声を発した玲羅。
「なんだよ。生肉臭い息なんか吐くんじゃないよ。」
「馬車馬のように働く白メイドに、ねぎらいの短歌を差し上げるから、耳の穴をカンペキに掃除してよく聞きなさいよ。」
『この世はねあたしのものなの
モチろんよ
カネ樽骨董
なくならないわ』
「なんだよ、それ!藤原道長ポジションをゲットしたつもり?もう許さないよ。大王寺家第一皇女兼第一メイドをこき使ったことを死ぬまで後悔させてやる。目にモノモライつけてやるんだからね。」
たしかにモノモライは女子にとっては見た目も悪く、痛くてイヤなものである。




