【第三章】第六部分
ふたりの間には張り詰めた心という見えない壁が立ちふさがっていた。
『ガシャーン!』
「「あわわわ!」」
ふたりの壁は突如割れた。
「何が起こったんだ?」
「お茶をお持ちしました。」
黒メイドが紅茶を持ってきただけだった。砕けたのはふたりの緊張だった。
運ばれてきたお茶飲んでふたりは落ち着いてきた。
遼斗の精神は日常近くに戻った。
そこで、いつもお茶にあとに来る工程に移る遼斗。
「さあ、風呂に入ろうかな。」
「あのガラス張りのお風呂に入るの?中が丸見えじゃないの!?」
「ここはオレの部屋なんだから、それは問題ないだろう。」
「そ、それはそうかもしれないけど。」
「じゃあ、一緒に向こうに行くぞ。」
浴室コーナーに歩いていく遼斗。
「ええっ!」
驚愕の表情をした玲羅を見て、はっと気づいた遼斗。
(しまった。いつもは黒メイドと一緒だったから何も思わなかったが、今日は違ったんだ!どうしよう。)
しかし、動き出した列車は止まらない。
ふたりは風呂の前に立った。そこで玲羅はあるものに気づいた。
風呂にメイド長の指示が貼ってある。
『ここでは、ガラスのくつっきをやることです、二ヒヒ。』
「まるでメイド長が喋ってるみたいじゃない。ガラスの靴じゃなくて?」
「それはこのメイド長から説明しましょう。」
いつの間にか、メイド長が玲羅の後ろに立っていた。
「どこから湧いてきたのよ。」
「メイド長はアメーバの類ですから。二ヒヒ。」
「すごく気持ち悪いわ。」
「このガラスの中で、行われるお世話では、からだを密着させるのです。お風呂ですから当然王子もメイドも一糸まとわずです。いや、十糸ぐらいはいいですよ。二ヒヒ。」
「そんな本数で隠せるわけないじゃない!」
「ちょっと、リアルな話は置いておきましょう。とにかく、そういうシキタリですから、守ってください。王子はお風呂でもキャンセラーグラスを着用するのですから安心設定です。二ヒヒ。」
「それなら安心ね。・・・。じゃないわよ。遼斗は、あたしに対してキャンセラーグラスが不要なんだから!」
玲羅が振り返るとメイド長はいなかった。




