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【第二章】第一部分

「大王寺様のおなり~。」

東大寺の南大門よりも遥かに大きい校門。左右には黒い宇宙服のようなコスチュームのロボットが巨大な剣を構えて、登校する生徒たちを睨んで威圧している。まだ登校時間内なので、監視カメラ内蔵のアイセンサーがチェックしているだけであるが、遅刻者が出れば、即座に拘束するシステムである。

ここ大王寺学園の巨大な門はまさに登校時の登竜門になっており、合わせて不審者が入る隙間もない完璧な防御体制を敷いている。

多数の黒いメイド服の女性たちが道を掻き分けている。その女性たちの足元が黒く光っている。どうやら黒いガラス製の靴を履いているようである。

黒メイドたちの後方では黄金錦の御輿がゆったりと進んでいる。

「王子様が来たわよ。」「あの大企業の大王寺製薬の御曹司よ。」「大王寺製薬は日本中で売れに売れまくっている『徳リンゴジュース』ですごく有名よね。」「徳リンゴジュースはオマケもスゴイ人気なのよね。」「王子様、ステキ。大王寺様、お付き合いしたいわ。」「コクる準備万端よ。」「王子様、彼女にして~。」「王子様、おそばに置いて、靴を温めるから貸して~。」「あたしだったら、全身を温めてあげるわ。」「抜け駆けは許さないよ。」「そんなこと言って、スカートを捲り上げてるのはどこの誰よ。」「スカートが何よ。私からその下も辞さないわよ。」「そんなことをしたら、王子様ファンクラブからボコボコにされるわよ。」

セーラー服女子生徒の喧騒というレベルを超えて物騒な雰囲気の中で、堂々と登校する男子大王寺遼斗。

他の男子生徒が黒い学ランという陳腐な格好であるのに対して、純白の学生服に、フワフワの襟巻きがついていて、ひときわどころか、さんきわ、ごきわぐらいゴージャスで目立っている。しかしいちばん目を引くのはガラス縁のメガネである。涼しげで鋭い瞳にオブラートをかけるように装着されている。

群れを成す女子生徒の列からビミョーに離れた場所にいる女子。彼女の金色の長い髪が暖かい風に軽く靡いている。

「何よアレ。女子たちにもてはやされて、いい気になっちゃって。きっと言い寄る女子と遊んで飽きたら、足蹴にして、次から次へと取り替えてるんだわ。使い捨てカイロと同じだわ。あたしはぜったいに近づかないんだからね。で、でも向こうから声をかけてきたら、ちょびっとは考えてもいいけど。」

大王寺学園一年生の新堂玲羅は、金色の長い髪と瞳が際立つ美少女ではあったが、性格にやや難があり、すでに入学してから2ヶ月が経過しているにもかかわらず、友達のいない寂しい高校生活を送っていた。


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