【第二章】第二十四部分
右手は顔面を掴んで離さない。顔面クローをしていたのであり、そこには好色的な行為は初めから存在していない、念の為。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「受精、受精、受精!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
周りの騒動は世紀末期的最高潮を迎えた。
しかし、これはタダの食べさせっこであり、決してこの行為によって受精することはない。ふたりが女子だから?
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「受粉、受粉、受粉!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
周りの大合唱は、動物から植物に退化した。聴衆は、より原始的な体勢を望んでいるのか?
「もううるさいわねえ!やりゃいいんでしょ、やれば!」
玲羅は口では強気だが、右手は震えていた。
「バイトメイド、は、早く入れてよ。」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「入れる?入れる?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
聴衆は言語の進化の目撃者となった。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「入れるは挿入!挿入、挿入、挿入!」」」」」」」」」」」」」」」」
用語使用になんらの間違いもないが、そこはかとなくエロい。
言葉を発し続けている女子たちは、なぜか腰を押さえている。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「挿入受粉、挿入受粉、挿入受粉!」」」」」」」」」」」」」」」」」」
ついに新しい四文字熟語を発明した聴衆。必要は発明の母であることを証明した?
もはや、聴衆の期待を裏切ることができない状態に追い込まれたふたり。
「もうダメだわ。ままよ!」
玲羅は右手の筋肉を始動させて、その勢いで風が舞った。ついに挿入受粉が達成された!
「その腕、待て~!」
少し高い男子の叫びが澱みきった空気を切り裂いた。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「王子様!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
女子たちが黄色い声で反応した。
「王子様が学食に来るなんて初めてだわ!」「わたしの初めてを奪われたわ!」「私の初めてをいただきに来たのよ!」「いや、アタシのよ。今日まで初めてを守ってよかったわ!」
たしかに遼斗の学食登場は初物であるから、そこにいた女子たちの初めてを奪われたのは、日本語的には正しく、なんら問題ない発言である。
学食は遼斗の出現で、パニックになった。
周囲の喧騒をよそに、遼斗は玲羅と真白を見て、真白に話しかけた。




