【第二章】第二十一部分
そのまま昼休みの時間となった。
「さっきのテキスト見せは何なのよ。あんなにくっつかれたから、全然勉強できなかったじゃないの?」
「それはシロのセリフだよ。授業中はお兄ちゃんのことを妄想して、それをイメージ化して教科書に書き込んでいくのに、それが全くできなかったよ。」
「「うがーっ。」」
ふたりが大接近状態で言い争いをしていた。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「やっぱりあのふたり、ゆりゆりだわ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
周りからは、そんな風にしか見えなかった。
メイド長が先導役となり、玲羅たちは学食に来た。
「さあ、お食事は食べさせ合うのが基本です。定番のあ~んをやり合ってください。その行為の中で、唾液が組みつ、ほぐれつなどすれば、ますます聴衆に受けること、請け合いです。二ヒヒ。あ、あ~ん。」
メイド長は白目を剥いて、ひとりハグを実行中。
ふたりの前にはカレー皿がひとつ。
「これで食べ合いっこのステージに乗りました。ヌヒヒ。」
メイド長の横長に走る目が波打ってきた。『二ヒヒ。』は『ヌヒヒ。』となり、活用が一段上昇した。
さらにメイド長は、いきなりハチマキをして、赤いセンスを振って、周りの生徒たちを扇動した。
「さあ、皆さん、シュプレヒコールをあげましょう!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「食べさせろ!あ~ん、あ~ん、あ~ん。食べさせろっ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
学食の生徒全員が立ち上がり、期待感溢れた合唱と手拍子で、異様な空気に支配されている。
「し、仕方ないわね。こんなことやりたくないけど。」
「それはシロのセリフだよ。どうしてこんなことをしなくちゃいけないんだよ。や、やるとしても、誰もいない静かな場所で、じゃないの、フツー。」
「そういう問題じゃないわ!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「あ~ん、あ~ん、あ~ん。」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
コールはとても止みそうにない。
そのプレッシャーに耐えかねて、ついに玲羅はカレーをスプーンで救って、震えながら、真白の方に持って行く。真白の薄いピンクの唇が唾液で濡れて光っている。
「もうやるしかないよ!」
顔をしかめて、パクっとやった真白。
「おお~!」
メイド長は自分の背中締め付けを強化し、周りの生徒たちのテンションもかなり上がっている。
「玲羅さん。もう一声です。ヌヒヒ。はああ。」




