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【第一章】第十部分

少しつり気味の横長な瞳。小さいがしっかり通った鼻筋。細く薄い紅色の唇。かなりの美女がそこにいた。目は落ち着いているが、口元は卑し気に吊り上がっている。

「うわああああああ~!女だあ~!目がつぶれる~!」

 言葉通り、遼斗は闇落ち目になり、そのまま床に倒れた。

「これでわかりました。王子の女子恐怖症はキープされています。王子になるべく女子としての刺激を与えないようにとメイドたちは声を出さないようにしています。まあ、声だけは出しても王子に耐性はあることはありますけど、念には念を入れているということです。ニヒヒ。」

 やはり口だけが笑っているメイド長。

「じゃあ、あたしを見ても大丈夫だった理由は何なの?」

「さあ、それはわかりません。でも玲羅さんが女の子として見られていないのかもしれません。」

「そ、そんなあ!」

「その反応からすると、玲羅さんはまさか、王子のことが気になってらっしゃるのですか?ニヒヒ。」

「そ、そんなこと、天と地が横転してもあり得ないわ。」

「横転したら、一緒になってしまいますけど。ニヒヒ。」

「と、とにかく、あたしはここでバイトすればいいのね。でもさっき、ここから出てはいけないとか、言ってたけど。」

「はい。ここに住み込みバイトとして働いて頂きます。住み込みのことは、こちらからご自宅へ連絡しておきますのでご心配なく。ニヒヒ。」

「心配なくって、言ったって、あたしがいないと家事が回らなくなるのよ。」

「そこはちゃんと手当いたします。ここは大王子家です。対庶民攻撃ミサイル的なことなど、造作もないことです。ニヒヒ。」

「そ、そうなの?あたしも家のこととか、好きじゃないから、それでもいいわ。」

「ではご自宅に向けてミサイル発射いたします。ニヒヒ。」

「ミサイルはやめてよね。でも学校はどうするのよ?」

「それも心配ご無用です。通学することは今まで通りで結構です。但し、王子の女子恐怖症のことだけは、決して口外しないようにお願い致します。口外したら、どうなるか、わかりますよね。わからなくても構いませんが。ニヒヒ。」

「その笑顔を見ると、すべてを遠慮したくなるんだけど。」

「それが賢明な判断というものです。ニヒヒ。」

 こうして、玲羅の住み込みバイトが始まった。



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