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ガラス作りの君達へ  作者: リュート
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その始まりは突然

初めましてリュートと言います。

初作品の投稿です。

長らく趣味で書いていた作品をリテイクしながら投稿してみようと思い立ち、いざ飛び込んでみました・

毎週月曜日更新の予定です。


暗い室内に居るのは、複数人の男女と中央でスポットライトを浴びた人間だった。

その境目は明確で、光を浴びてない人間達は一応に怪しげな雰囲気を纏っていた。


「皆さま本日は良くお集まりいただきました」


光を浴びた男は大袈裟な礼をして見せる。

綺麗なまでに背中を伸ばした彼は高そうなスーツを完璧なまでに着こなしていた。


「私は貴方達のような負け犬は大嫌いです。ただの嫌いでは無く大嫌いです。

人間を辞めた君たちに期待はしません。

それでもチャンスを掴めたのなら、一緒に食事をし、語り合う事が出来るやも知れません」


彼の周りの人間は一人たりとも反応を見せない。

言葉や行動に一切興味を見せないのはお互い様だろうか。


「努力すれば変わるなど無知蒙昧な人間が軽々と口にする言葉です。

自分で自分を変えるなど出来るはずはない。

表面を取り繕ったところで本質は常に変わりません」


顔が光で見えない彼は手元に持っていた黒い仮面を顔に付ける。

その黒は、彼を取り巻いている人間とさほど違いは無い。

同時に部屋の光が消え、全てが暗く染まる。


「さて、ありきたりな挨拶で失礼しました。定型文のようなものなので、

それでは私はこれで失礼いたします。ガラス作りの君たちへ、せめて安らかに」




声が耳に反響して遠退いていく、辺りに残っているのは静寂だけであった。

体が周りの色に溶け込んでいく。伸ばした手も、もう見えない。

この先には何があるのだろうか?

俺は?僕は?多分……また繰り返す。


人生とは何が起こるか分からないものである。

問題が起きてからでは遅い、未然に防ぐべきと言う人が居るが、全ての問題に対して予期できるのであればそれはすでに予言と言える域に入っている。

少なくとも僕、天井弥彦は予言者では無い、ただ一人の学生で在ることが分かってしまった。


「…ん?」


眩しい、それに風が体を優しく撫でている。

昨日窓開けっぱなしにして寝てたっけ?

そんなことを思いながら、そうではないと体の違和感が言っていた。


「…」


僕は眠気眼なままに目を開けた。

視界の端々に木々がそびえ立っていた。


「なんだここ!?」


僕は勢いよく体を起こすと目の前の景色に呆然とする。

どこを見ても深い木々に覆われていて、地面は小石と砂が敷き詰められている。

何で屋外に僕は居るんだ?

頭が寝起きのためか鈍い。又は急激な変化で麻痺しているのかもしれない。


「どうなってんだよ…」


なんでこうなったのか、分からないものは分からない。

しっかりと自宅の布団で寝てたはずなのに、どうやってこんな所に運ばれたんだ?誰が?何の目的で?

思考が堂々巡りをしていると強烈な喉の渇きに気がついた。

…まずは動こう、何か飲めるものを探さないと。

僕は土の上で寝たせいか変に痛む背中をほぐしながら近場を探し始めた。

ここは…どこかの山か?鈍っている頭がやはり重い。

景色も代わり映えのしない緑ばかりで不安感が募ってくる。

そういえば…靴は履いているんだな。

見覚えの無い靴だが妙に馴染んでいることに違和感を覚えながら、

なだらかな斜面を少しずつ下っていく。


「どうなってんだ一体」


それからしばらく歩くと頭の鈍さが消え、それなりに落ち着いていた。

分からないからこそ思考を止めるべきではないという考えが、平静を取り戻させていたのかも知れない。

僕は何かの事故に巻き込まれたのだろうか?それとも夢遊病か何かか?

だとしたら随時遠くまで来たもんだ。等と軽い冗談を考えられるくらいには前向きになれていた。                

凸凹とした道なき道を進むと程なくして川の細川が聞こえた。

音の方に進むと綺麗な川があった。

もう限界だ

たまらずに川に顔を突っ込む。

喉の取っ掛かりを全て流し込むようにひたすらに水を飲み続けた。

水道とは違い、カルキの臭いのしない水を、僕は初めて飲んだ気がした。


「はぁ~生き返る~……ん?」


ひとまずの落ち着きを得た僕が気がついたのは川の水面に写る僕の顔には、

右半分を覆う仮面が付けられていることだった。

口元の下半分が欠けた白塗りの仮面で、

目元が歪みながら穴を開けており、視界の邪魔はしないものの…純粋に不気味だった。


「何だこれ?邪魔だな」


何故今まで気が付かなかったのだろうか?

僕は仮面をはずそうと手をかける。

しかしいくら外そうとしても外れない。

耳の辺りに鍵穴があり、しっかりと耳を中心にはめられていて、外すことが出来ない。


「外してはいけません」


「誰だ?」


耳元に機械質の声が聞こえる。その声は耳に直接話しかけているようだった。

この仮面から?


「仮面とは欺き、守るもの。それは敵で…あ……り……ん」


声がどんどんとノイズと共に遠くなる。


「おい!どうした?おい待てって!聞きたいことがたくさんあるって!」


それから何度仮面を叩いても声がすることはなかった。

折角新しく出てきた手がかりをなくした僕は呆然とその場所に座っていた。

何が起きてるんだ?僕が何かしたかよ?

何をした?


「そいえば…昨日は何してたっけ?」


さらに頭が混乱する。記憶がない?


「思い…出せない」


どこかで頭でも打ったのか?今まで何があったのか思い出せずにいる。


「…異常すぎる」


何から何まで日常と駆け離れている。僕はその場に立ち尽くして居ると

ガサ!

後ろの茂みから大きな音が上がった。


「誰か居るのか!」


野生の獣に襲われては敵わない。先に大きな声で牽制する。

しかし、ガサガサと茂みから出てきたのは野生の動物では無く、一人の太り気味の成人男性だった。

その男性の顔にも半分を覆う仮面があった。




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