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誰か為に肉球はある  作者: 火水
9/13

番外編 暮らし4

冬の寒い夜

いつものように、お布団の上で眠っていると背中をなでなでされた

「冷たい」

お母さんが呟いて、僕の前足の脇の下に手を突っ込んで…

僕は無抵抗のまま、布団の上を引きずられて行く

『あ〜れ〜』

そして、ぽふんと布団の中へ


「これで安心」

お母さんは、寝ぼけてたのかな?

すぐに寝息が聞こえる


ここはとても暖かい

後ろから抱え込まれて、僕はため息をつく

そして、もう一度眠りにつく   



お母さんは、僕の身体をなでなで、サワサワするけれど

その手がぴくってなると、何かを見つけた合図


肉球のカサカサぐあい、古傷の痕

乳首がもげそうとか

喉の下に猫ニキビが一個とか

耳の後ろのカサブタとか


よーく観察されて、オリーブオイルを塗られたり

お湯で拭かれたり


お湯で拭かれたり…

ああそう、お尻をうまく綺麗にできなかった時

お母さんは

「お尻汚い」

と言って、お湯で濡らしたティッシュでお尻を拭いた

何とも言えない感触に、僕はひっくり返って体をくねらせ

「キューン、キューン、ヒューン、クーン」

と鳴いてしまった

猫の声じゃない

「はい、きれいになった」

とお母さんは言ったけど

びっくりした、びっくりした


でも、今は平気


「失敗した

うんこのあとは

うんこの片付けはもちろん、お尻も人が拭くものだと思ってる〜」


お尻は、お湯で拭いてもらうと、スッキリ


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