出会い
願望です
申し訳ないです
僕は、どうやら猫のようだ
産まれた時から猫
そう猫だ
なぜ?
雄だよね?雄でいいですよね?
僕は生まれ代わったのかも…
猫だ、猫しかいないもの
あれ?人が来た、ちょっと話しかけてみる
「にゃ、にゃー?」
「こいつは、ちょっとデカイな…」
『え?僕はデカイのデスか?』
「うー〜ん」
僕は、そこらへんにおいて置かれた
かまわれるというよりは、自由だった
大事にされるというよりは、放ったらかしにされてたのかな?
ある日、肉球をザックリ切ってしまった
そこらへんにあったものを、踏んでしまったんだ
その時、大切にされていた兄弟が、びっくりして泣いていた
ダラダラと血がながれる
「あー、これはダメだな 傷物だ」
僕は、気休めのような、手当をされた
止血され、軟膏を塗られ、傷が落ち着いたら自由にされた
外に出された
こんな外、知らない
ただ、餌をくれた僕らではない、猫ではない「人」を嫌いになれなかったんだ
「おいで」と、言ってくれた人に、僕はついて行った
おとなしくしていたら、大きくてきれいなお家に連れて行ってくれた
僕は、思ったんだ
『ここで、生きていくんだ…幸せだ、幸せになれるんだ』
そこには、猫がいた
僕と同じ、猫だ
「仲良くしようぜ…」
と、今なら分かるのに、その時は分からなかった
悔しかった、妬ましかった
何とかして、独り占めしたかった
暴れて、威嚇して、こんなに好かれたいのだと分かって欲しかった
…僕を受け入れてくれた人は、たまに、僕とだけ遊んでくれた
ああ、やっぱり愛されている、僕は特別なんだと思っていた
だけど、その日はきた
僕は、ケースに入れられ車に乗せられた
少し、車酔いしてしまった
車の中で、違うケースに入れられた、今まで嗅いだ事のない猫の匂いのするケース
ああ、まただ…僕は嫌われたんだ
『そんな事はない、きっと僕を迎えにきてくれる、これは何かの間違いだ』
僕は、そう信じた、信じたかった
知らないお家の匂い…
でも、微かに残る猫の匂い
僕は、まただ二番目だ
でも、今度はうまくやりたかったので、ケースを開けられた時
申し訳ない思いで顔をあげた
そこにいたのは、泣きそうな満面の笑みを浮かべたお母さんだった
読んでくださった方々、ありがとうございます