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Demon Busters  作者: 平安京
改訂前
9/32

第8話 逃げる者、追う者

 剣を振り下ろした姿勢で地面にしゃがみこんでいたエリスは、頭上から迫り来る気配を感じて素早く後ろへ跳んだ。

 油断無く剣を正眼に構え直す。

 驚くべきことに、人間ならば確実に絶命しているほどの傷を負いながら、吸血鬼はまだ立っていて、足下にいたエリスに拳を振り下ろそうとする姿勢でいた。

 だがさすがにあれだけの傷は苦痛らしく、激しく顔を歪ませている。


「く…そ、がっ! 魔石持ちとはいえ、こんな人間の小娘風情にぃぃ…!」


 エリスはその様子をじっと見据えながら、吸血鬼という存在の驚異的な生命力に驚いていた。

 不死の怪物と呼ばれるのは、決して大げさな表現ではないのだと知る。


(とどめを、刺さなくちゃ!)


 今の一撃を放ったことで、エリスの方も相当消耗していた。

 だがこの機を逃すわけにはいかない。

 この吸血鬼はここで確実に倒しておかなければ、またエリスと親しい誰かが襲われるかもしれない。そんなことは許さない。

 強靭な生命力を持ってはいるが、吸血鬼とて本当に不死身なわけではない。レティシアはそう語っていた。

 ならば、首を刎ねるか、心臓を潰すかすれば、この魔物を殺せるはずだった。

 次の攻撃で、息の根を止める。


(殺さないと、誰かが…)


 そう思っているのだが、僅かな躊躇がエリスの動きを鈍らせた。

 躊躇いが隙となった。

 ふいに吸血鬼の輪郭が崩れ始める。


「あっ!」


 それが意味することに気付いた時にはもう遅かった。

 電光石火の踏み込みから剣を振るうが、相手の身を捉えたかに思った一撃は、何の手ごたえもなく空を切った。

 斬ったはずの吸血鬼の姿が霧散し、気配が急速に弱まっていく。


「この俺様をこれほど追い詰める人間が、一晩に2匹も沸くとはな」


 声だけがまだ聞こえる。


「覚えていろよ、刀の男、魔石持ちの女。てめぇらは必ず、俺様の手で殺す!」


 最後に捨て台詞を残して、完全に気配が消えた。

 逃げられたことを悟ったエリスは歯噛みした。


(やられた! レティシアさんから聞いてたのに!)


 吸血鬼はその身を霧に変化させて姿をくらますことが出来る。

 霧になっている間は自分から周囲に干渉できず、また一度霧になると戻るまでには最低でも数分は時間が必要などの制約があり、戦闘での汎用性は低いが、魔力の放出を極限まで落とせるため隠密性が高く、敵から逃げたり姿を隠したりする際には非常に優秀な能力だという。

 事前に知っていたというのに、そのことを失念していた。

 留意していれば躊躇せずに、相手が逃げの姿勢に入る前にとどめを刺せていたはずだった。


(…いや、そうじゃない)


 とどめを刺せなかったのは、相手の能力を忘れていたからではない。

 エリスは剣を握る自分の手を見下ろす。

 遠目にはわからない程度だが、小刻みに震えていた。


 ――はじめて人を斬った。


 指が柄に張り付いて離れない。

 手の中に、生きているものの肉を切り裂く感触が生々しく残っている。

 最初は無我夢中で感覚が麻痺していたが、目の前の脅威が去ったことで押し殺していた感情が沸き上がってくる。

 生きているものを傷付けるという行為に対する嫌悪感。

 あれは人間ではない、魔物だと胸中で言い聞かせても、胸のつかえは取れない。

 とどめを刺すということは、この感覚をもう一度、否、さらにひどいものを味わうことだった。そのことに躊躇し、動きが鈍った。

 それでも斬らねばと思うと、目眩と吐き気が同時にやってきて体がふらついた。


「人を斬ったのははじめてか?」

「っ!」


 声をかけられて、辛うじて倒れそうになるのを堪える。

 顔を上げると、先ほどまでと同じ場所に同じ体勢で立ってエリスのことを見据えている豹雨と目が合った。

 酒場で話していた時とは別人のような顔つきをしている。吸血鬼と戦っていた時と同じ表情だ。

 だがこうして向き合ってみると、本質的な部分は違わないとわかる。

 竜を倒したと言った。吸血鬼と戦ってみたいと言った。その時もこの男の眼には同じ光が宿っていた。

 そして今、エリスを見据える眼にも。


「…何よ? 今度はわたしと戦いたいとか言うつもり?」


 剣呑な気配を向けられて、この男相手に敬語を使うのをやめていた。


「そうだな。それも悪くない、が」


 豹雨は目を細めて尋ねる。


「いいのか? あれをこのまま逃がしても」

「!!」

「俺はどっちでも構わんのだがな。力を回復して万全になった奴でも、あれを倒した嬢ちゃんでも。より楽しめる方に挑むだけだ」

「……戦闘狂ね」

「よく言われるよ」

「あなたの相手をするなんて御免被るわ」


 エリスは豹雨から視線を外し、胸に手を当てて瞑目する。今ならばまだ、逃げた吸血鬼の気配を追えるかもしれない。

 身体能力の向上に当てていた力を、感覚の強化へと向ける。

 五感の向上に加え、集中力を高めると周囲に漂う魔力の痕跡まで掴めるようになっていく。

 不思議と、手の震えは収まっていた。

 豹雨との会話が平静さを取り戻す要因となったようなのが癪だったが、今はそれよりも優先することがある。


(もっと集中して、余分な情報をカットして、とにかくあいつを探すことだけを)


 さらに集中すると、五感すらも消え、魔力の流れだけが閉じた瞼の裏に浮かび上がる。

 この世界のありとあらゆるものには魔力が宿っている。

 生き物の魔力は特に強いが、その場からいなくなればすぐに霧散してしまう。ましてや意図的に魔力の痕跡を消して移動すれば、気配を辿ることは困難である。

 だが魔石の力を借りて極限まで鋭敏になったエリスの魔力感知能力は、今にも消え去りそうな微かな流れすらも感じ取った。


(見付けた! まだ遠くない。今なら、追える!)


 すぐに駆け出そうとしてが、ふと足を止める。視線を向けた先には、まだ気を失っているアンジェリーナがいた。

 彼女をこのままにしていくわけにはいかないだろう。吸血鬼は去ったとはいえ、人通りのまったくない夜道、普通に人間の暴漢が出ないとも限らない。

 けれど時間を置けば、逃げた敵の気配は完全に消え去ってしまう。

 エリスが逡巡していると、思わぬ方向から助け舟が出された。


「その嬢ちゃんのことなら俺が見ておいてやろう」


 刀を鞘に納めた豹雨が歩み寄ってくる。


「目が覚めたら家まで送っておいてやるさ」

「………」


 じーっと男の目を覗き込む。

 議論を交わす時間も惜しい。この男をどこまで信用していいか、迷ったのは一瞬だった。


「わかった。お願い!」


 色々と危険な人物ではあるが、この場は信用してもいい相手だと直感で判断した。

 後のことを任せ、エリスは駆け出した。


「言っておくけど、手を出したら承知しないからね!」


 去り際に一応一言だけ言い置いて。




 豹雨は楽しげな面持ちで、走り去っていく背中を見送った。


「ただの女じゃないとは思っていたが、あれほどの使い手とはな」


 酒場で声をかけた時から気にかけてはいたものの、想像以上に興味をそそられる少女だった。

 正直なところ、豹雨の関心は既に先の吸血鬼よりもエリスの方に強く向けられていた。


「惚れちゃそうですか?」

「何だ、起きてたのか、嬢ちゃん」


 見れば、エリスがアンジェと呼んでいた少女が半身を起こして豹雨のことを見ていた。


「ちょっと前から。エリスの邪魔をしたくないから、そのまま寝た振りしてました」

「意外と食えない女だな、おまえさんも。それに肝も据わってる」


 吸血鬼に襲われ、危うく殺されるところだったというのに、今はケロリとした様子で笑っている。


「えへへ、かっこいいですよねー、エリス」

「そうだな。いい女だ」

「惚れちゃいましたか?」

「かもしれん」

「だめですよー、手を出しちゃ。その時はまず、私を通してください」

「揃って似たようなことを言う」

「親友ですから」


 苦笑しつつ、彼女が向かって行った夜の闇へ視線を戻す。

 手を出すかどうか、それを決めるのはまだこれからの話だった。

 腕は立つが、実戦経験は初。人を斬ったこともない。

 まだまだあの少女は、戦士としては生まれたばかりだ。真の戦士として育つか否かは、この後の戦いの行方次第となるだろう。


「さて、奴に勝てるかな?」

「大丈夫ですよ」

「大した信頼だな。相手は地上最強と目される怪物の一種だぞ」

「だってエリスだもん。やるって決めたことは、絶対にやり遂げるよ」




 集中を切らさないようにしながら町中を駆ける。

 薄くなっている気配を追うという感覚に少しずつ慣れてきたのか、段々ペースを上げても捕捉し続けられるようになってきている。

 霧になって移動するというのは、人間的には理解し難い感覚ではあった。空気中にどの手度まで拡散するのか、そもそもそうなった時に意識というのはどこに存在するのか。わからないことだらけだが、気配に関しては、薄く引き伸ばされているような感じはするものの、中心となっている部分があった。今はそれを追っている。

 移動速度はそこまで速くない。このまま気配を見失わなければ、追いつける。

 追いつくことが出来れば、再びあれと対峙することになる。

 走りながらエリスは、剣を持つ手に力が入るのを感じる。


(今度こそ、あいつを斬る)


 殺意をもって、生きている存在を殺す。その覚悟があるかと問われれば、そんなものはわからないと答える。ただ今だけは、迷いは捨て去る。

 斬れるか斬れないかではなく、ただ斬るという決意のみを胸に抱く。

 それが覚悟と呼べるほど強い意志かどうかは定かではないが、少なくとも手の震えは止まった。

 やれるという確信を持って、エリスは走り続けた。


(町外れに向かってる? もしかして、このまま町を出るつもり?)


 可能性はあった。

 力を回復するという目的がある以上、襲う対象である人間の住む場所を離れるのは本意ではなかろうが、今この町はあの吸血鬼にとって安全な狩場と言うには程遠い。

 元々争っていた同族のレティシア。教会から派遣されてきたユリウスら3人。加えて豹雨にエリス。これだけの敵がいる場所で落ち着いて回復に努めることは難しい。ならば狩場を変えようとするのは自然な流れだった。


(町から離れられたらさすがに追い切れない。その前に捕まえる!)


 エリスが走るピッチを上げようとした時だった。

 霧の気配が奇妙な動きを見せる。何かに逡巡するように、同じ辺りを漂うようにして留まっている。

 その動きに、何か不穏なものを感じた。


(まさか、追ってることに気付いて待ち伏せされてる?)


 一瞬そう思ったが、そうであるならばむしろ好都合。エリスの方はしっかり気配を捉えているのだから、仮に見えない状態からでも、霧から実体に戻るタイミングを見極めれば不意打ちは回避出来る。あとは実体に戻った相手を斬るだけである。

 だがエリスが感じ取ったのは、もっと厄介な事態に発展しそうな要素だった。

 向かう先に、追っている吸血鬼以外の人間の気配を感じた。

 その場に近づくとエリスは自分自身の気配を消し、身を隠して辺りを窺った。吸血鬼の気配は少し先の中空に漂っており、動く様子はない。そしてその手前の開けた広場には、2人の人影がある。

 どちらも、エリスの知る人物だった。


(何でこんな面倒そうなことに…!?)


 エリスは頭を抱えそうになった。

 人影の片方はそれほど馴染みはないが見知ってはいる、先ほど酒場に兄と共にやってきた神父だった。

 そしてもう1人はここ数日ですっかりよく知る相手となってしまった人ならざる同居人、レティシアだった。

 二人の会話は、エリスが隠れている場所からでも聞き取ることが出来た。


「さて、そろそろ正体を現していただこうか」

「あら神父様。何のことかわかりかねますわね」

「ユリウス殿は腕は立つが、まだ若い。わからないのも無理はないだろう。だが私にはわかるのですよ、臭いとでもいいましょうか。人ならざるモノの、ね」

「まぁ、レディに向かって臭うだなんて、意外と口がお悪いのですね」

「そのおどけた態度も、これでお終いですよ」


 神父が右手を前にかざすと、掌から眩い光が迸った。問答無用とばかりに放たれた一撃がレティシアに迫る。

 ひらりとレティシアが身をかわすと、光は空気中で霧散して消えた。


「いきなりだなんて、危ないわね。相手が本当にただの人間だったらどうするつもりだったのかしら?」

「我が法力は悪意無き人間には効果を持ちませぬ。代わりに、魔物に対して絶大な威力を発揮するのです」

「やれやれ。だからといって、仮にも聖職者のすることではないわね。まったく、教会にはイカれた輩も多くいると聞いているけど、本当のようね」

「その物言い。もはや言い逃れをする気はないと見てよろしいかな?」

「ええ。正直面倒くさくなった。教会と事を構えるつもりはないのだけれど、売られた喧嘩は買わなくてはね」


 レティシアの纏う気配が変わった。

 辺りの空気が、肌のピリピリ感じるほどに緊張する。直接向き合っているわけではないエリスにもそれが伝わってきた。先ほどの豹雨や吸血鬼のものと同等か、或いはそれ以上の圧迫感があった。

 彼女は自らを、吸血鬼の王族の生まれだと語っていた。他の吸血鬼とは格が違うのだと。それが真実であるとよくわかった。

 それを受けて神父は警戒心を強めているが、慌てた様子はなかった。

 落ち着いた様子で両手に先ほどの光、法力をまとわせて構えを取っている。

 お互いが戦闘の意思を見せると、緊張感が一気に高まっていく。

 それを見つめながら、エリスはどうすべきかをまたしても悩まされていた。


(どうしよう、これ…。兄さんがいないのが不幸中の幸いかもしれないけど、あの神父さんが兄さんの仲間である以上大して変わらない、か…)


 こうなることを避けるために、まずはもう一人の吸血鬼をどうにかしてしまいたかったのだが、レティシアの存在が教会に露見したとなると、事態は好ましくない方向へと向かうこととなる。

 先のことはいいとして、今この場でエリス自身はどうするべきなのか。どちらに味方をするべきか、或いは手を出さないべきなのか。

 答えが出ない内に、戦闘が始まった。


「神のご加護のあらんことを。魔なるものよ、滅せよ!」


 光をまとわせた両手を顔の前に打ち合わせ、次いで左右に大きく開くと法力の光が弾け、無数の弾丸となって前方へ向かって放たれた。

 法力の弾丸が命中する寸前で、レティシアの姿が掻き消えたかと思うと、次の瞬間には神父の背後に現れていた。片手を振り上げたレティシアの指先から金色の魔力が爪のように伸びる。

 無造作に振るわれた金色の爪が神父の背を切り裂くかと思われたが、その攻撃は光の壁の出現によって防がれた。


「甘いですな。このグラツィアーノの法力障壁、その程度の力で破られはしませんぞ!」

「ふぅん。騎士の称号を持たないとはいえ、さすがは実働部隊の法術使いというわけね」

「騎士の方々は正道を歩む者達。しかし真に世を正しく導くためには、時に汚れ役も必要となる。それが我ら影となる者の使命なのですよ」

「結構なことだわ。まぁ、騎士だろうと裏方の異端狩りだろうと、私の敵じゃないけどね」

「ほう。安く見られたものですな」

「いいえ、あなた達の力は認めているわ。ただ、私の方が強い。それだけのことよ」

「傲慢は大罪ですぞ」


 神父の放つ光弾が、今度は全方位からレティシアを襲う。

 レティシアは先ほどの攻撃をかわした時からは一転、速さは感じさせない静かな動きで弾をかわしていく。時々避けきれないものを魔力の爪で弾きつつ、踊るようにして神父の攻撃をいなしていた。

 もう一人の吸血鬼は技巧などまるでなく、ただひたすらに暴力を振りまくだけの存在であったが、レティシアの動きは非常に洗練されており、思わず見惚れるほどだった。

 それでいて速さも鋭さも、そしてパワーもあった。

 次々と光弾を生み出すグラツィアーノ神父の気が僅かに緩んだ瞬間、回転しながら両手に生み出した魔爪で周囲の光弾を全て弾き飛ばし、素早く踏み込んで両腕を振り下ろす。

 両手にそれぞれ5本ずつ、計10本の魔爪が、金色の軌跡を描く。

 攻撃は法力の壁によって防がれたが、直撃を受けた壁にはヒビが入り、後ろにいた神父は瞠目して後退する。


「ほーら、神父様。油断してると八つ裂きですわよ?」

「さすがに、大した魔力ですな。これを何度も受けては障壁がもちませんか」

「見逃してくれるんだったら、これでお開きでいいのだけど」

「出来ぬ相談ですな。吸血鬼を目の前にして退くことなど…有り得ん!」


 神父が両手を合わせ、そこからより大きな光弾を生み出して放つ。大きな分威力はあるが、速度は遅い。レティシアは悠々とそれをかわすが、大きな光弾は消滅することなく、軌道を変えて標的を追尾する。


「おっと」


 二度、三度とレティシアは避けていくが、その度に光弾は向きを変え、しつこく追ってくる。

 さらに神父は小さな光弾を逆方向へ目掛けてばらまき、レティシアの逃げ道を潰していく。


「あらら、囲まれたか」

「これまで! 魔なるものに、神の裁きを!」


 この時、その場にいた全員が目の前の戦いに集中していた。

 戦いの当事者たる二人。吸血鬼という強敵を前にした異端狩りの神父はもちろん、倒すべき敵を前にして、その打倒に全力を傾けていた。レティシアもまた万全の状態ではない以上、表面上は余裕の態度を見せてはいても、激しい攻撃を避け続けるのに相当神経を使っていた。

 そして第三者としてその戦いを見守っていたエリスも、本来自分がそこに来た目的を一瞬忘れて見入っていた。

 だから誰もが見落としていた。

 その場に迫る、もう一つの気配の存在を。


 ズブリという異音と共に、空気が凍りついた。


「な……に…?」


 エリスもレティシアも、突然の出来事に目を見張った。

 誰より、神父が最も驚愕の表情を浮かべて、ゆっくりと自分の身を見下ろす。

 神父の胸からは血まみれの腕が生えており、その先の手には未だに脈打っている、神父の心臓が握られていた。

 そして音も無く神父の背後に現れたモノ――吸血鬼は、口の両端を裂けるほど大きく吊り上げて嗤っていた。

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