第9話 二人の吸血鬼
「クックック…今日の俺様はツイてるのかツイてないのかよくわからねぇが…いや、最後にこいつに有り付いたのは、やっぱりツイてたってことか」
吸血鬼は神父の身を貫いた腕を引き抜き、つかみ出した心臓を頭上に掲げる。
支えを失った神父の体はその場に崩れ落ち、最後に血と共に息を一度だけ吐き出して絶命した。その様を楽しげに見やりながら、吸血鬼は心臓から滴り落ちる血を啜る。
「ああ、美味ぇ。やっぱりそこらの雑魚より、魔力や法力に満ちた奴の血は格別だなぁ」
「テオドール」
レティシアが険しい表情で吸血鬼に呼びかける。
テオドール、それがあの吸血鬼の名であろう。
その呼び声で事態に唖然としていたエリスも我に返り、事の成り行きを見守る。
「よぉ、姫様よ。らしくもなく俺様の接近に気付かなかったか? どうやら俺様のくれてやった傷はまだ回復しきってねぇみたいだなぁ」
「ええ。おかげさまで苦労してるわ」
「そいつは何よりだ」
剣呑な雰囲気で皮肉を言い合う。どちらも表情は笑っているが、目は鋭く相手を見据え、殺気を漲らせていた。
だが余裕のある態度を取っているのは、テオドールの方だった。
「だが残念だったな、姫様。俺様の勝ちだ」
一際大きく口を開いたかと思うと、テオドールは手にした心臓をその中に放り込んだ。口内に収まりきらない部分を口の端からはみ出させながら貪り喰らう。千切れ跳んだ血管が地面に落ちる。ぐちゃぐちゃと音を立てて咀嚼し、呑み込む。
つい少し前まで、生きた人間の体内にあった命の源を喰らう、その行為を注視出来ず、エリスは顔を背けた。
猛烈な吐き気が襲ってくるが、辛うじて堪える。
嘔吐を堪えた苦痛に顔を歪ませながら、目の前で起こった出来事をゆっくりと理解していく。
人が死んだ。殺された。
それもひどく惨たらしい形で。
目の前で人の死を見るのは、母親が死んだ時以来だが、こんな形で人間が殺害されるところを見たのははじめてだった。その光景は、想像以上に衝撃的で心身に蝕むものだった。
何より、もしかしたら自分の手で止められたかもしれない犠牲だったかと思うと、余計に胸が痛んだ。
(いや…落ち着けわたし、それは自惚れだ)
人の死を悼むのは良い。だがそこに殊更に責任を感じることは出過ぎた感傷である。
かつて兄に教えられたことがあった。
騎士として人を守る戦いをしている中、時には守りきれずに誰かを死なせてしまうこともある。中には彼の過失によって起きてしまったものもあるが、到底彼の手には負えなかったものもあったという。その全てに責任を負えるほど、彼は強くはなかったと。
王であれば、民の生死に責任を持つものだ。
だがそうではない者にとって、責任を取れる範囲など高が知れている。
自分が何とかしていれば誰も死なずに済んだかもしれない、などというのは己を過信した者の言葉だった。それを言うことを許されるのは、ほんの一部の者だけだ。
(わたしは王様でも正義の味方でもない。全部の人間のことまで責任は取れない)
悔やむ気持ちは消えないが、自分を責めるのは僅かに留める。
それよりも大事なのは、ここから先のことだ。
(こういう言い方はしたくないけど、あの人は顔を知ってるだけの、直接話したこともない他人だ)
命に優劣を設けることは悪かもしれない。けれど今は、そうやって割り切ることで心の平静を保つ。
(でも、次は、わたしの知ってる誰かかもしれない)
そうなったらきっと、耐えられない。
(だから…!)
今度こそあの吸血鬼を倒す。
強い決意を持つことで、エリスは自らの心を奮い立たせた。
胸の痛みはまだ完全には消えないが、体の状態は元通りになった。思うとおりに動けると確信する。
エリスは再び広場へと視線を戻した。
「っ!」
そこで息を呑んだ。
空気の密度が数倍になったかのような強烈な圧迫感。その中心にいるのは、吸血鬼テオドールである。
つい先ほど対峙した時はまるで違う、レティシアすら比べ物にならないほどに圧倒的な魔力が全身から噴き出している。あまりの濃密さに、テオドールの周囲の空気が歪んで見えた。
(う、そ…こんなの…)
そこにいるのは、まさしく怪物と呼ぶべき存在だった。少なくとも、エリスが今まで生きてきた中でこれほどの、ただそこにいるだけで周囲のものを押しつぶしてしまいそうなほどの気配を放つ生物を見たことはなかった。
エリスと豹雨によって刻まれた傷も猛烈な勢いで再生しており、もううっすらと痕が残っているだけとなっていた。
「これが……吸血鬼…」
人間にとって、最強にして最悪の敵の一つといわれる魔物。その本当の姿を、エリスは今はじめて垣間見ていた。
正面からそれと対峙しているレティシアの表情は一見すると変わらないが、額には微かに汗が滲んでいた。
「相変わらず、品性の欠片も感じられないわね、あなたは」
「ほざけよ。あんたらは品位だ何だと語るがよ、食事なんざ体の中に入っちまえば同じことじゃねぇか。事実、見ろよ」
グッと握った拳をテオドールが振り下ろすと、足下の地面が大きく陥没する。拳圧の威力がさらに増していた。
「俺様はこれで全快。対してあんたはまだ2割…せいぜい3割程度の状態だろう。お上品なやり方ばかりしてる結果がこれだよ。完全に立場は逆転したぜ」
「逆転ですって? 元々の実力差を考えなさいよ。あなたなんて、3割もあれば十分でしょう」
「強がりやがって。いいぜ、すぐにその顔を絶望に染め上げてやる。血筋だけを重んじてふんぞり返ってやがる王族を、この俺様が地べたに引きずり落としてやるよぉ!!」
蹴り出した足元で爆発が起こるほどの勢いで、テオドールは猛然と突進する。
超スピードで接近し、拳を振り下ろす。
殴りつけた地面が抉れ、爆風が吹き荒れて周囲の木々や壁を揺らした。
抉れた地面の上に、レティシアの姿はない。拳が振り下ろされる瞬間、そのぎりぎり横をすり抜けて、爆風に乗って上空へと逃れていた。
空中で体を回転させ、勢いをつけて落下したレティシアは、突進した体勢のまま無防備に晒されているテオドールの背中目掛けて魔爪を薙ぎ払った。
神父の時のように阻まれることもなく、それは直撃したはずだった。
だが、テオドールの背には傷一つついていなかった。
「ぬりぃなッ!」
「チッ」
振り向きざまに放たれた裏拳を、レティシアは舌打ちしながら仰け反ってかわす。
続けて追い討ちを仕掛けるテオドール。レティシアは後方宙返りで距離を取り、広場の端の壁際で横に跳躍して拳圧による衝撃波を回避した。
逃げ回る相手にテオドールは次々に攻撃を繰り出す。
一方的な戦いには見えたが、レティシアは全ての攻撃を完全にかわしており、必ずしも追い詰められているわけではなかった。
「ちょこまかと!」
「動きが単調よ。どれだけパワーとスピードがあっても、それじゃ当たらないわ」
「ぬかせッ!」
同じように繰り出そうとした拳が一瞬止まり、逆側からフック気味の攻撃が成される。
「甘いわ」
その程度のフェイントは予測の範疇と言わんばかりに、体を深く沈み込ませて回避してみせるレティシア。懐に飛び込まれそうになったテオドールは、これまでではじめてとなる蹴りを放ってそれを牽制する。ところがその蹴りさえ体を横へ開いてかわし、レティシアは相手へ肉薄する。
密着に近い状態から、高速で体を回転させる。
そして胸の中心目掛けて、回転しながら両手の魔爪で斬りつける。
「ぐぉっ!?」
片手で3度ずつ、計6度。超高速の6連撃が決まると、さしものテオドールも体を後ずさらせる。
斬りつけられた胸には、×字状の傷がそれぞれ3本ずつ刻まれていた。
「これでもぬるい?」
後退した姿勢のまま俯いていたテオドールは、静かに息を吐き出す。
「……ああ、ぬる過ぎるな」
顔を上げたテオドールが浮かべていたのは、嘲笑だった。
胸の傷は見る見るうちに塞がり、僅かに痕を残すのみとなった。
「確かにあんたは強ぇ。その動き、俺様には捉えきれないかもしれねぇし、あんたの攻撃を俺様はかわせないかもしれねぇ。だがよぉ」
「……」
「喰らってもまったくダメージを受けねぇんじゃ、意味ねぇよなぁ!」
「なら、今度は首を飛ばしましょうか。いくら魔力で強化していても、こっちも同様のことをしてる以上、思い切りやればちゃんと、斬れるのよ」
「やってみろや」
二人は少しの間、互いを睨み合う。
ピンと張り詰めた空気を切り裂くように、先に動いたのはレティシアだった。
正面からいくと見せかけて、一度相手の視界から姿を消し、斜め後ろから首筋を狙って魔爪を振るう。その間、テオドールは一歩も動かない。
あまりに動く気配のない様子に警戒心を抱いたレティシアは攻撃を中断して後退しようとするが、一歩遅かった。
「づぁああああああ!!!」
カッと目を見開いたテオドールが気迫の声を上げると、今までで最大の衝撃波が全方位に向かって放たれた。
攻撃を仕掛ける寸前だったレティシアは、カウンターでその衝撃をまともに受けて吹き飛ばされる。
飛ばされながら空中で体勢を立て直し、両足で地面に降り立つ。しかしそこで体がふらつき、膝をついた。全身にはいくつもの裂傷を負っている。
「動きを捉えられねぇなら、周り中全部攻撃すりゃいいだけの話だろう」
「乱暴ね。そんな力の使い方は効率が悪いわ」
「だが今のあんたをやるのに十分な威力はあるさ」
向けられた言葉の通り、今ので相当のダメージを受けたのか、レティシアは未だに立ち上がらない。
ゆっくりした足取りでテオドールがそこへ近づき、片膝をついているレティシアを見下ろす。
「クッハッハ、無様な姿だなぁ、姫様よぉ。ベルンシュタインの麒麟児と呼ばれるあんたが」
「そんな風に呼ばれてるんだ。周りの声とか気にしないからなー」
「だがそんな名声も今日限りで地に堕ちる。この俺様の手でなぁ! 麒麟児の呼び名は俺様がいただいてやるよ!」
「別に惜しくもない呼び名だけど、あなたなんかに譲るのは癪ね」
「譲ってもらう必要なんざねぇさ。奪い取るだけだ」
「奪う…ねぇ。それがあなたのやり方、か」
「そうとも。何もかも奪い尽くして、俺様が頂点に立ってやる」
「無理ね」
「何?」
「そんな考え方じゃ、私達の…“尊き種族”の頂点になんか立てやしないわ。永遠にね」
「……最期の言葉はそれで十分だな」
「さて、そう簡単にやられは……っ」
「ん?」
そこで飛び出したのは、丁度相手が背を向けていたからか、それともレティシアの危機に体が反応したからか。理由は自分でもはっきりしなかったが、とにかくその時エリスは隠れ場所を出て、標的である吸血鬼テオドールの背中目掛けて跳躍し、全身全霊を込めた剣を振り下ろした。
「やぁあああああああっ!!!」
寸前で振り向いたテオドールの掲げた腕と、エリスが振り下ろした剣とがぶつかり合う。
互いの込めた魔力がスパークを起こし、激しい音と光を放ちながら火花を散らす。
「ぬぅっ」
「くぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
衝突はすぐには終らず、互いの魔力がせめぎ合う。
エリスは尚も剣を握る手に力を込めて押し込んでいく。その勢いにテオドールの両足が地面を滑りながら後退し始める。
余波が辺り一帯に突風を巻き起こす中、エリスは敵の姿をまっすぐに見据え、全力を注ぎ込む。
対するテオドールは、片腕でそれを受け止めながら、視線は下へ向けている。
「ぬぅぅ…」
俯き気味のテオドールの額に筋が浮かび上がる。
額だけでなく、エリスの剣を受け止めている腕にも同様に血管の筋が浮かび、筋肉が膨れ上がっていく。踏みしめた両足は後退を止め、その場に根を張るように地面に沈み込む。
「ぬぅぅぅぅ…」
力を貯めるように、その巨体が一瞬身を縮める。
「ぬぅぅぅぅぁああああああああああああ!!!!!」
そして獣の如き咆哮と共に、剣を受け止めていた腕を薙ぎ払った。
「ッ!!」
衝突によってその場に停滞していた魔力の渦が弾け、剣ごと振り払われたエリスの身が大きく後ろへ吹き飛ばされる。
広場の端まで飛ばされたエリスの体は、建物の壁を砕く勢いで激突し、地面に落下した。
「ぐっ…!」
剣を突き立て、両膝をついた状態でどうにか倒れ伏すのを堪えた。しかし全身がバラバラになりそうな痛みに息が詰まり、激しく咳き込む。
うずくまったエリスの姿を、テオドールは剣を受けた腕を振りながら愉快げに見ていた。
「追ってきていたか、女。手間が省けたな。殺してぇ奴が2匹この場にいてくれてよ」
テオドールの腕には赤い線が走っていたが、その小さな傷ももう塞がりかけていた。
今の一撃は先ほど手傷を負わせた時のものよりも威力があったが、前は腕を弾き飛ばして体まで剣が届いたのに対して、今度はほんの少し傷をつけただけで弾き返されてしまった。
立ち上がろうとするものの、膝が笑ってしまっていて足に力が入らない。たった一撃、しかもまともに受けたわけでもないのにこのダメージである。
少し前に対峙した時よりもさらに歴然とした力の差を感じ、エリスは歯噛みする。
「こ…の……」
やっとの思いで顔を上げると、敵を挟んで向こう側にいるレティシアと目が合った。
「エリス…」
レティシアが呟くように名前を呼ぶと、それを聞きつけたテオドールが怪訝そうな顔で二人を見比べる。
「あぁ? おまえら知り合いか。んん?」
眉を顰めていたテオドールが、やがて得心がいったように口の端を吊り上げる。
「ハッ、そういうことか。この女があんたの新しいお気に入りってことか、姫様よぉ」
「………」
「クックック…ハーッハッハッハッハ!」
肩を震わせ、腹に手を当てて大声を上げて笑うテオドール。レティシアは無言で目を細める。
反論しない相手に、テオドールは尚も嘲笑を浴びせ掛ける。
「滑稽の極みだなぁ! あんたほどの奴がこの女の持つ魔石に気付かなかったはずがねぇ。知った上で普通にちまちま血を吸ってやがったんだろう? 魔石の力を引き出させた状態で干からびるまで吸い尽くすなり、魔石ごと心臓を抉り出して喰らうなりしておきゃ、今頃とっくに回復してて、そうやって無様に地に這い蹲ることもなかったのによぉ!」
その言葉にハッとなるエリス。見つめる先にいるレティシアは黙ったまま、鋭い視線をじっと目の前の男に向けている。
彼女の無言はテオドールの言葉を肯定しているようで、エリスの胸中に複雑な思いが浮かび上がる。
「前と同じだな。結局あんたは、あの時と同じ理由で俺様に敗れるってわけだ」
「……敗れる?」
レティシアがフッと鼻で笑う。
「結局私を殺し切れずにおめおめと逃げ去った奴がよくもほざいたものね」
「減らず口は一流だな。心配しねぇでも、今度はきっちり殺してやるよ。あんたのお気に入りと一緒になぁ!」
「…そろそろ黙りなさい」
「あん?」
「そもそもあなたに負ける気なんて微塵もないけど、その理由が一つ増えたわ。もう二度と、あなたに私の大事な子を殺させはしない」
「どこまでも俺様を見下したその態度が気に食わねぇっつってんのがまだわからねぇか」
「見下しているわけではないわ。ただ単純に、あなたが私よりも下に立っているだけよ」
「……決めたぜ」
踵を返し、テオドールはエリスの方へ体を向ける。
顔に浮かんでいるのは笑みだが、眼の奥には燃えるような怒りと殺気が込められており、それに見据えられたエリスは身を竦ませる。
「まずはあんたの目の前で、あんたの大事な子とやらを八つ裂きにしてるやるよ、レティシア」
蹲ったままでいては殺される。
本能的な恐怖を感じたエリスは、震える四肢に力を込めて立ち上がった。
二人が話している間に多少痛みは抜けたが、それでも到底動き回れる状態でないのは自身が一番よくわかっている。だが逃げるなり戦うなりしなければ、待っているのは確実な死だった。
杖代わりにしていた剣を持ち上げ、顔の前に構える。いつもであれば見た目よりもずっと軽い剣が、今は何倍も重く感じられた。痛みと恐怖による体の震えが剣にまで伝わり、切っ先が揺れていた。
(戦うどころか、まともに剣を振れるかも怪しいな…これ)
身体の状態は最悪だった。精神的にもかなり厳しい。
それでも、前を見据える瞳にだけは、まだ強い光が宿っていた。
(……あれ?)
一瞬でも相手から目を離さないよう、まばたき一つしていなかったはずだった。にもかかわらず、ふと気付いた時にその光景が違和感として映った。
じっと見据える先にいるのは、吸血鬼テオドール――だけだった。
(レティシアさんがいない!?)
気付いた瞬間、ふわりと真横に降り立つ気配を感じた。
驚く暇もなくその気配の主に抱き寄せられる。
未だに視線を向けている先では、テオドールがエリスと同じかそれ以上の驚きの表情を浮かべていた。
その光景も遠ざかる。
自分が抱きかかえられ、その場から離れていっているのだと気付いたのは、それが完全に視界から消えてからのことだった。
「チッ、逃げやがったか」
虚を突かれたのは僅かな間で、すぐに逃げた二人を追ったテオドールだったが、広場を出たところで見失っていた。
「レティシアの奴、小癪な技使いやがる」
すぐ後ろにいたと思っていたものが、動く気配も感じさせず、気付いた時には視線の先にいて、そのまま飛び去っていった。その間、テオドールはまったくレティシアの動きを追うことが出来なかった。
口では罵りながらも、テオドールはレティシアが強敵であることは十分承知している。彼らの種族において、王族とはそれだけ別格の能力を持っているのだ。
油断していたわけでもないのに、こうして出し抜かれる。
だからこそ、使える手段はどんな手段であろうと使う。闇討ちであろうと、人質であろうと。
「まぁいい。レティシアがあの女を見捨てるとは思えねぇ。二人一緒なら、そう遠くへは逃げられねぇはずだ。すぐに見つけ出してやる」
そして、必ず殺すと決めた。
彼らの種族にあって、かつて伝説となった一人の王。その再来と囁かれる麒麟児、レティシア・ベルンシュタインを殺し、自らが種族の頂点に立つ。
それこそがテオドールの野望だった。