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Demon Busters  作者: 平安京
改訂前
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プロローグ

 とてもしばらく振りに小説のようなものを書き始めました。まったりいこうと思います。どうぞ、よろしく。


各種警告タグについて

R-15:一般的なラノベ程度の描写のつもり。下記2つに類する部分でたまに過激になるかもしれない。

残酷描写:バトルものなので斬ったり斬られたり死んだりはする。

ガールズラブ:趣味。基本的には主役カップルだけで全体的には普通に男女カップルも出てくる。

 小さい頃、森の泉で不思議な石を見つけた。


「きれいないし…」


 水の中から石を拾い上げると、ひんやりとした冷たさと、ほっとする暖かさを同時に感じた。

 少し濁った紫色をした水晶のような石は、淡い光を放っている。

 陽の光が透けたり反射したりしているわけではなく、自ら光っているように見えた。


「どうしてひかっているのかしら?」


 幼い少女にとって、それはとても興味をそそられる存在だった。

 頭の上に掲げてみたり、逆さまにして振ってみたり、力いっぱい握ってみたり色々としてみた。

 光っている以外は、何の変哲もないただの石のようだった。

 けれど少女は、その石にとても親しみを覚えた。


「ねぇ、あなたは、なーに?」


 まるで石が答えてくれるかのように、人に問いかけるような調子で、少女は石に言葉を投げかける。

 その瞬間、ひときわ強い光を発したかと思うと、石は泡のように弾けて消えてしまった。


「あれ…?」


 手の中で消滅してしまった石の残滓を、少女は不思議そうに眺める。

 どうして突然消えてしまったのかという疑問はあった。

 けれど同時に少女は、石の存在を尚も感じていた。


 そう、目には見えなくなってしまったけれど、石は確かにまだ、そこに存在していた。

 それが少女、エリスの身に起こった、最初の不思議な出来事だった。




 それ以来、エリスの身に少しずつ変化が訪れた。

 目はより遠くのものが見えるようになり、耳は今まで気にも留めていなかった微かな物音を聞き分けられるようになり、病弱だった母に似て体力の低かった身体も丈夫になった。

 速く走れるようになった。

 重い物も持てるようになった。

 バランス感覚も良くなり、木登りが誰よりも得意になった。

 もちろんどれも、小さな女の子にしては、程度の変化ではあった。

 けれど、エリスはそれをとても喜んだ。

 何より嬉しかったのは、剣を持てるようになったことだった。


 エリスの8つ年上の兄、ユリウスは小さい頃から大人に混じって稽古をしていても周りと遜色ないほど優れた才能を発揮していた。

 将来を有望視されている兄はエリスの誇りであり、同時に目標だった。

 だから同じように剣の稽古をしたかったのだが、幼い少女であるエリスには、稽古用の模造剣でさえ、持ち上げるだけで精一杯で、振るなどもってのほかだった。

 それがずっと悔しかったのだが、身体が強くなって以降は普通に稽古が出来るようになった。

 両親も兄も、エリスが剣に興味を持つことをあまり快く思っていなかったが、それでも構わず、エリスは彼らに隠れて稽古を続けた。


 やがて、病弱だった母はエリスが10歳になる前に亡くなり、父も仕事先の事故で命を落とした。

 兄のユリウスは20歳になると、その剣の腕が認められて、人間に害をなす魔物と戦う教会の騎士団に入団した。

 若干12歳で家に一人で残されるのは苦労も多かったが、同年代の少年少女に比べて聡明だったエリスにとってはそれほど問題にはならなかった。

 その頃には、そうした諸々が全て、かつて手にした石の力によるものだと、エリスは理解していた。


 後に得た知識によるとそれは、魔石と呼ばれるものらしかった。

 自然界で発生した魔力が固まって結晶化したものとも、かつて世界を滅ぼしかけた魔王の欠片とも言われるそれは、持ち主に常とは異なる力や知識を与えるという。

 伝承で語られているほど万能ではないが、それでも普通では得られない能力をエリスに与えてくれた石。

 小さい頃にそれを手に入れる幸運に出会えたことを、エリスはとても嬉しく感じていた。


 研ぎ澄まされた感覚は、世界をより深く感じることができるようになった。

 強くなった身体は、憧れである兄と同じ剣の道を進むことを可能としてくれた。

 小さかった少女の世界は、あの石との出会いによって大きく広がったのだ。




 そして16歳のある日を境に、エリスを取り巻く世界は新たな変化の時を迎えることとなった。

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