第85話 メッセージ
お知らせ。
わたしは、これから高校3年生となります。
ほとんどの方ならご存じのとおり、非常に忙しくなるであろう時期であります。
そう。更新ペースが遅くなる可能性があるって事です。
わたしはクラスの中でも特に勉強嫌いなんで多分たいした事はないと思うのですがご了承ください。
(ジェルス視点)
山の中で熊とやりあってから3日後、強くなると決めた俺たちは、ローザさんの手伝いが終わった後、ちょくちょく組手をおこなっている。しかし、こんなもんでどれだけ強くなれるのか。
しかし、こんな場所ではこれくらいしか修行する方法がない。いや…………もう一つあるが…………キュリアさんにはあまりにも危険だ、もちろん俺にとっても。
「はあっ!!」
「おおっと!!っぶないな、そらよっ!!」
で、現在も組手の最中。キュリアさんのキックを受け止めてパンチを打ち込んだ。
「きゃああ!!」
やべ、クリーンヒットしちまった!!
「ご、ごめん!!大丈夫!!?」
「らあああッ!!」
「がっ!!」
一度崩れたがすぐ持ち直してキックを当ててくる。肩に当たり俺は少し下がる。
「まだまだぁ!!」
「おうよォッ!!」
そしてお互いぶっ飛ばしぶっ飛ばされ(途中一回アレに蹴り入った。ルール無しと言ったのは俺だが何の躊躇もなく蹴るか普通?)一時間半。両方とも熱くなりすぎたようだ。俺は方膝を着き息も絶え絶え、キュリアさんは仰向けになりはぁはぁと荒い呼吸を繰り返している。
「今回は……………これくらいに…………しておこうか…………。」
「そう…………ですね……………ちょっと…………熱く…………なりすぎました……………。」
俺は立ち上がり近づいて手を伸ばした。キュリアさんが手を取り、俺が引っ張りあげる。
「きゃ…………」
引っ張る勢いが強すぎたのかキュリアさんが勢い余って俺に倒れ込んだ。とっさに俺が支えようとしたが、
「……………………。」
「~~~~~~~~ッ!!!」
間に合わずに抱きかかえるような形になってしまい、キュリアさんが声にならない悲鳴をあげた。俺も恥ずかしくなって咄嗟に離してしまう。
「す、すいませんすいませんすいません!!けっしてそんな気持ちでやった訳じゃなくて、えっとえっとえっと」
「落ち着いて!!」
顔真っ赤にして泣きそうな顔であたふたするキュリアさん。
「ご、ごめん……………。」
さっき本当に躊躇なく金的攻撃してきた子なのか疑問に感じる程のリアクションだが、まあ…………こんな感じだろ、普通は……………。
「あら、仲いいのねぇ。」
「ちょっ………………」
「ち、違うの!!お母さん!!そんなつも、つも、つもりは」
「落ち着いて!!」
ローザさんがこちらを見て素なのかからかおうとしてるのかこんな事を言って笑う。
「全く………………。」
大丈夫かな…………これから……………。記憶も全然戻らないし……………。
と、その時。
(メレン、ジェルス!!)
!!!?
(俺だ。カインだ。どうやら無事みたいだな。とある人に頼んでメッセージを贈ってもらってる。魔力の限界あるから手短に話すぞ。俺、とある島に流されたんだけど、そこで修行する事にした。俺よりずっと強い人に出会ったんだ。身勝手で悪いけど、お前らも一年間修行しておいてくれ。リメイカーに勝てるよう、徹底的に。一年後、一旦バハル港で再会しよう!!それじゃ!!)
……………今、のは………………。
「ジェルスさん、どうかしたんですか?」
「……………今の声、聞こえた?」
「…………へ?何か聞こえたんですか?」
「いや…………聞こえたんだ…………俺ともう一人、誰かの名前を読んで、一年間修行してくれ、一年後………ハバル港、とかいう場所で会おう、と……………。」
「それ…………お仲間さんですかね……………?」
「………………多分………………記憶失ってるから、分かんないけど…………。」
「それ探知の魔法とメッセージ送信の魔法ね。ひろい場所探すとそこそこ魔力要るんだけど、それ使った人、かなりのものね……………。」
「……………とりあえず、修行するよ。一年間…………。そして、会ってみれば、何か分かるかもしれない。」
「はい。じゃ、これからも修行ですね。」
「……………………キュリアさん。」
「………………何ですか?」
「これから、修行キツくなると思うけど、いいかな?」
「え?どういう事ですか…………まさか。」
「ああ。危険区域で修行しようと思う。徹底的にって言ってたからね。」
「危険区域って…………何考えているんですか!!?この前戦ったあの熊なんて可愛いレベルなんですよ?」
「そりゃあいい。そっちの方が強くなれる。」
「………………本当に、やるんですね?」
「おう。」
「死ぬかもしれないんですよ?」
「臨むところだ。徹底的にやらないといけないからな。」
「……………分かりました。私も徹底的に付き合います。」
「ちょっとキュリア!!?」
「大丈夫よ、お母さん。ジェルスさんもいるし、それに、私も強くなりたいの。」
「でも………………!!」
ローザさんがはっとした。キュリアさんがいつになく真剣な顔でローザさんを見ていた。
「……………あなたはいっつもそうね。一度言い出したら全然聞かないんだから……………。」
「ジェルス、この子の事、頼むわね。」
「はい。」
俺は山の方を見た。強くなってみせる。俺が何者なのか、確かめる為に。
「じゃ昼から早速行こうか。」
「はい。」
(メレン視点)
ふわぁ………………。よく寝た……………。今は、お昼前くらい…………かな?よくわからない……………まだ眠い。
目をこすりながら起き上がるとアイナさんは既に起きていた。私を待っていたのかな………………。
「おはよう、メレン。」
「あ、おはようございます。」
「ずいぶん長く寝ていたのね。もうお昼近いよ?」
「す、すいません…………。」
「別にいいけど。さ。行きましょ。仲間を探すんでしょ?」
「はいっ!!」
と言って歩き出した瞬間。
(メレン、ジェルス!!)
「んにゃっ!?(驚いて出た声)」
「……………どしたの…………?」
変な声でちゃった……………じゃなくて!!
カインの声ッ!?
そしてこう言われた。カインはとある島に無事(?)流れつき、そこでとある人物から修行を受けること、私とジェルスも修行してほしいこと。一年後バハルで再会しようという事。
「アイナさん。こんな事が………………。」
かくかくしかじか。
「はぁ……………なるほど、探知の魔法を使ったのね……………どうやって特定したのかは知らないけど…………恐らくメレン達異世界の人間は気配が違うんじゃないかしら。でも、あたしが全く分からなかったから、魔法を使ったのは多分獣人ね。野生のカンみたいなもので…………。」
「獣人…………?」
「簡単に言うと獣の身体能力や習性を持つ見た目ね。猫人間とか、犬人間とか…………。」
「そんな人がいるんですか……………。」
「そういう人種。で、話戻すけど、メッセージ送信の魔法も使ったのね。距離はわからないけど、使った人はただ者じゃあないわね。」
「そうなんですか、そんな人に…………カインは…………。」
「で、本題だけど、貴女一年間修行するんでしょ?どうするの?」
決まっている。
「アイナさん。私に、一年間修行をつけてください。」
それを聞くと、アイナさんは僅かに微笑んだように見えた。
「そう言うと思ったわ。リメイカーに対抗するため徹底的にやるんでしょ?ちょっとキツいかもしれないけど大丈夫?」
「構いません。やります。」
「それじゃあ…………体術にかんしてはほぼ問題ないわね。女の子との戦いを見て思ったけど、センスはかなりのもの。パワーが問題だけど、一年間で鍛えられるし、パワー増強の魔法でカバーできる。もちろん組手はやるんだけどね。重点的にやるのは魔法よ。魔法の威力もそうだけど、強い魔法の発動を素早くするのもしなくちゃいけないわね。あと、これはできたら、なんだけど、大気中の魔力を取り入れられるようになればベスト。」
「大気中…………?」
「そう。普通魔法は体内の魔力のみを使って発動させるんだけど、大気中の魔力を取り込んで使う事によって体内の魔力を節約する事ができるのよ。威力を上げるのはもちろん、魔法の使いすぎによる体への負担を軽減できるし、消耗した魔力を回復させるためのエネルギー消費を抑える事もできるから、使えればかなり有利。普通は一年で習得できるようなものじゃないんだけど……………やるだけやりましょうか。」
「はい!!よろしくお願いします!!!」
こうして、私は一年間修行を重ねていく……………。