第6話 拉致されて
私が目をさますと、森の中に倒れていた。ここが異世界なのだろうか。なんだかここの空気を吸っていると、体の奥から何かが沸いてくるような気がする。
犬が私に話かけてきた。
「ここが異世界です。魔法が存在し、あなた方が空想だと思っている悪魔、妖精が人種として生活し、魔物さえ存在している世界………。」
「ということは私は魔法使えるの?」
「あ、はい。心の中で強く念じればできます。まぁ、人によって得意不得意がある上にできる事も何でもできるって訳じゃありませんが。」
それを聞いて私は早速実践してみることにした。魔法か………とりあえず火の玉でも出してみよう。
私は手のひらから火の玉がとんでいくのをイメージし、心で念じてみる………。何もでない。手のひら近くの気温が上がった気がするが、火の気は微塵も感じられない。
念が足りないのか?私はさっきよりも強く念をこめる。手のひら近くの空気が揺らぐ、そして………。
ゴオォォォ!!
「あっつ!!」
忘れてたよ。火は数百度あるって事。手のひらを火傷した。手のひらを守る魔法を予めかける必要があるな…。
火の玉はその場でかき消えた。しかし、私の手のひらから火の玉が出た……。興奮半分で手のひらを見ると火傷で腫れていた。ヒリヒリと痛む。
そうだ。火傷を魔法で治療しよう。私はそれをイメージし、火傷してない方の手で火傷した手に触れた。
すると、傷みが直ぐに引いていき、腫れが収まり、僅かに赤い跡が残るだけになった。
「魔法を試すのはこれくらいにして行きましょう。王が待っています。」
ということはお城に行くんだ……きっと私の家を遥かに超える立派なお城なんだろうな……。
………家を飛び出してきた事を思い出してしまった。………考えるのは後にしよう。
私は早足で歩き出した。犬にレーダーが仕込んであってそれで道がわかるらしい。
で、歩き始めてだいたい5時間くらい。
空はすっかり暗くなった。歩き続けて足が痛い。夜の移動は危険なので今日はここで休むことにした。
木の上によじ登り、果物をゲット。見た目や大きさはミカンだが色合いは真っ赤。犬によると食べられるため、これを食べて休もう。
と、私は木から飛び降りる。その果物わを食べてみると………
…………マズイ。苦味と渋味が強い。
とりあえず、この果物をたべ、魔法で落ち葉を集め簡単な寝床にし、私は横になった。
なんか………すごい事になっちゃったな……。ナミラ、心配してるだろうな………。普段は口うるさいけど、仕事で忙しい父さんにあまりかまってもらえない私と家で接してくれるのはナミラだけだ。
「うっ………うっうっ………ごめんなさい………ナミラ………。」
私の目から涙がこぼれる。帰ったらちゃんと謝ろう。ちゃんと謝れば、ナミラだって許してくれるだろう。
そして、私の予想もしてない事が起こった一日は過ぎていった。