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ABDUCTION!! ~IN THE ANOTHER WORLD~(凍結)  作者: 迦楼羅カイ
第1部 拉致された者
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第74話 村の生活

キュリアさんの家に転がり込んだ次の日、僕が目を覚ますと既に日が高く登っていた。ベッドから体を起こす。


キュリアさんは僕の隣でまだ眠っている。僕は床で寝ると言ったが、床で寝かせるなんて無礼な事はできませんと言って聞かず、結局二人同じベッドで寝る事となった。シングルベッドなのでかなり窮屈で、かなり恥ずかしかった……………。


……………胸の辺りがなんか湿っている気がする……………。もしかして…………。


眠っているキュリアさんの方を見る…………………。


…………………気のせいだ。うん。気のせい。


僕は立ち上がり、大きく背伸びをした。下の階に降りると、キュリアさんの母親、ローザさんが朝食を用意していた。


「あら、ジェルス君。おはよう。よく眠れた?」


「はい。おはようございます。」


やっぱり、ジェルスと呼ばれるのは慣れないな……………。


「キュリアー!起きなさーい!」


ローザさんがそう言ってしばらくすると、キュリアさんが眠たそうに目を擦りながら階段を降りてきた。青いショートカットが寝癖でぼさぼさになっている。


「ふわぁ…………おはよう…………お母さん…………。おはようございます………ジェルス………さん………。」


眠たそうだなぁ。


「キュリア、あなたまたよだれ垂らした後が!ほら、拭きなさい!」


あれ?なんかうまく聞き取れなかったなぁ……………。


なんだかんだで朝食を食べる。キュリアさんは食事中もずっと眠そうだった。


朝食を食べ終わった後、しばらくのんびりしていると、唐突にローザさんがとんでもない事を言い出した。


「そういえば…………記憶喪失って魔法でどうにかできないかしら?」


「……………は?」


魔法……………?この人、本気(マジ)で言ってるのか……………?


魔法なんか現実に存在するハズがない。記憶を失ってもこれくらい分かる。現実に存在するのは(トリック)であり、魔法なんてシンデレラや白雪姫、ハリー・ポッターなんかにしかない架空の物だ。呪文なんて実際に唱えた所で白い目で見られるだけ…………。


なのに、なぜ平然と魔法という単語を使う?


「あの…………今、魔法と?」


「そうよ?…………ああ。記憶喪失だからわからないのかしら?」


「いや、僕が忘れているのは個人情報だけだと思うんですけど…………僕の記憶じゃ、魔法なんて空想の産物に過ぎないハズです。シンデレラとか、白雪姫とか…………。」


「?しらゆき…………?しんでれ…………?聞いた事ないわねぇ……………。でも、魔法は確かに存在するのよ。」


……………やっぱり僕の記憶が間違っているのか?


「とりあえず、今から魔法を試して見るから、じっとしててね。」


そう言うと、ローザさんは俺の頭に両手をかざし、集中するように目を閉じる。


バチバチッ!!


な、な、なんだ!?掌がオレンジ色の電気のような何かを纏っている!?


「じっとしててねっ!!」


ローザさんがそう言ってそのまま俺の両方のこめかみを頭を掌で挟むようにして叩いた。


「うおああッ!!」


頭に衝撃が走る。ただ叩かれたのとは違う、静電気でバチッとするアレに近い……………しかし、アレは一瞬だが、これは持続し、痛みも格段に強いッ!!


痛みが引いていくと同時に、何かが頭に浮かんでくる……………。


これは………………何だ?人?女の子か?髪の毛が酷く乱れた、恐らく寝癖が爆発した人が、殺気を向け、こちらをボコボコに蹴り飛ばしている……………。


……………ここで終わった……………。


「どう?何か思い出せた?」


「いや…………何か、凄い寝癖の人がこっちをボコボコにするのが見えたんですが……………。」


「…………へ?………他には?」


「いや…………これだけですけど………。」


「そう……………よりによって、なんかどうでもよさそうな事しか思い出せなかったのね……………。」


……………失敗か……………。


「ごめんなさいね、ジェルス君。役にたてなくて。」


「いえ、いいんです。」


それにしても…………あれ、本物の魔法か……………。実在するのか…………。


その後、僕は畑を耕すのを手伝った、ローザさんは別にいい、と言ったが、置いてもらっているのだから、これくらいやらないとなんか気がすまなかった。


畑を全面耕してしばらく休憩。辺りを見ると少し離れた場所にキュリアさんが見えた。キュリアさんは小さい子供達と遊んでいる。


ローザさんがタオルと水を持ってきた。


「ありがとうございます。」


ローザさんもキュリアさんを眺めでいる。


「キュリアは小さい子達のお姉さんみたいなもので、とても面倒見がいいのよ。家じゃわたしに常にくっついている甘えん坊さんなんだけどね。」


……………とても楽しそうだな………………。


さて、続きにとりかかろう。


2時間後……………。


ふう、やっと終わった…………。畑仕事を終えた後、家で昼食を取る。


…………なんだこれは、丸々肥えたでっかい蝶みたいなのが素揚げにされてるんだが…………。こっちは………うーん…………魚?鶏肉?鶏もも肉に鱗生えてるぞ……………。鱗取ってないのか…………。


食べてみると結構美味しかった…………特に蝶の素揚げ。


食べ終わった後、ローザさんに仕事が無いかとたずねると、


「うーん、それじゃあねぇ…………そこの山で薪を拾ってきてくれないかしら?」


「はい。わかりました。」


俺は薪を入れる籠を背負って山へと向かう。まあ、薪拾いなんて一時間くらいだろう…………。

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