第71話
うーん、サブタイトル思いつかんなぁ……………。
毎回考えると後々厄介な事になりそうだけど、どうしよう……………。
色々あったけど、晩ごはんにすることにした。小屋の外に出て、アイナさんが指を鳴らして火をつける。私がやる時は手をかざしてしばらく念じて着けていたが、流石、早い。
アイナさんがナイフを取り出してウサギのはらわたを取り除く。大量の血が流れ、私は思わず目を逸らす。カイン達と一緒にいた時、こういうとはカインかジェルスが行い、私は見なかった。
「ま、見たくなる物じゃないからね……………」
アイナさんが私を見てこう呟いた。アイナさんはこんな事は慣れているのだろうか………………。
向こうをむきしばらくすると、指を鳴らす音が聞こえ、アイナさんから振り返ってもいいと言われ、そちらを見ると、血溜まりはすっかり綺麗になっていた。
肉塊を棒に刺して、火で焼いていく。いくつかに斬って焼いているが、それでもかなり大きな肉のため、かなり時間がかかる。このウサギ、大型犬並みに大きいのだ。
焼きあがった肉をアイナさんが私に手渡した。私の顔くらいある。一つでお腹いっぱいだろう、これ、6個もあるんだけど………………。
私はゆっくりと肉の半分くらいを食べて一息つき、アイナさんの方を見ていると………………。
「…………………え?」
「ん?どしたの?」
肉にかぶりつきながら問うアイナさん。別に不思議な光景ではない。
………………その肉が3個目でなければ。アイナさんの足元に肉の骨が転がっている。
「え、えーっと、意外と大食いなんですね?」
「ああ……………、普段からこれくらい食べるよ。こんだけ食べないと足りないって事はないんだけどね。ていうか…………他の人がどれくらいかわからないんだけど。」
そっか……………ずっと一人旅だっけ。
「……………食べないの?」
「あ、これは食べきります。」
痩せの大食い…………………。
「この二つは………………動物にでもあげましょうか。」
アイナさんが肉を茂みの向こうに放り投げた。これ、動物にあげたって事になるのだろうか………………。あと、茂みの奥の方にウサギの頭が捨ててあった。うげぇ……………。
アイナさんが茶色の布で口を拭き、立ち上がって言う。
「さ、小屋に入ってもう休みましよ。………………?」
アイナさんが突然真面目な表情になり肉を放り投げた方向を向く。暗闇で何も見えない。
「何か来るわね………………来客の多い事……………。」
「何者……………まさか、また追っ手が………………!!?」
「いや、違うみたいね……………。」
暗闇から足音がして誰かが歩いてきた。身長は私よりやや小さい。顔にはあどけなさが残っている。髪は明るい茶髪で二つ結びにしている。
「あら、そこの大きな人は知らない顔……………で、クーヤに言われた三人組の一人しかいない……………あなた、他の二人は?」
「……………知らないわ。」
「そう……………。」
納得した………………のだろうか。
しかし、この子……………私達三人を探しているって事は、リメイカー…………。
「なんで、リメイカーがここを……………。」
「何ですって?リメイカー!?」
アイナさんがびっくりした様子で言う。
「知っていたんじゃないわ。探していたら貴方に会っただけ。」
素っ気なく返事が返ってきた。
アイナさんが私に向かって声をかける。
「撃退するわよ!!」
「……………貴方達と戦う気はないんだけど……………そっちからくるなら相手しないとね……………。」
私はあまり気がのらなかったが、仕方ない。女の子がナイフを投げてきた。一直線に飛んでくるナイフをなんとかかわす。女の子が走ってきて放つキックを右腕で受け止めた。
「ッ!!」
やはり完全に治りきっていない。折れていた部分から激痛が走る。
「このっ……………。」
私はハイキックを叩き込んだ。女の子の顔に直撃し、女の子がよろけるもすぐに持ち直す。
このまま私達は数発蹴り合った。病み上がりのせいか上手く体が動かないが、なんとか互角に戦っている。
私のキックを女の子がバックステップでかわすと同時に距離を空ける。
ヒュン!!!
「クッ……………!!」
再び飛んでくるナイフが右肩を掠めた。更に次々と飛んでくるナイフを木の影に隠れてかわす。
「メレン!!まだ病み上がりなんだから、下がっててなさい!!」
アイナさんがそう叫び女の子に向かう。女の子がナイフで斬りかかるが腕を捕まれ受け止められる。
ドスッ!
アイナさんが女の子の下腹部にパンチを打ちこんだ。
ズドン!!
「かはっ………………。」
一呼吸置いて何かが爆発したような重低音が響き、女の子の口から血が溢れた。女の子が膝を着く。
「くっ………………。」
女の子が立ち上がる。しかし、辛うじてといった感じだ。
「まだやる気?」
「いいえ………………これ以上やりあうつもりはないわ………………。私には……………やらないといけない事があるの……………。」
そう言って、女の子は私達に背を向けてふらふらと歩き出す。私もアイナさんも追わなかった。女の子はしばらく歩くと霧の様に消えてしまった。
「………………追い払えた……………のかな。」
「……………アイナさん、大丈夫ですか?」
「それはこっちの台詞よ。ほら、右腕出しなさい。」
アイナさんが私の腕の折れた部分を調べる。
「ほら!!受け止めたりするから骨にヒビ入ってるじゃない!!肩の傷も結構深いし………………。」
そう言いながら治療を開始した。肩の傷は直ぐに良くなり、腕も再び固定された。
「で、あなたに聞きたい事があるんだけど………………。あなた、どうしてあの子がリメイカーって分かったの?」
……………もう隠せないか…………。
「実は………………。」
私は自分がこの世界とは違う異世界から来た事を明かした。
「なるほど…………ね。リメイカーを倒す為に……………。」
「はい。で、仲間と別れてしまって………なんとかして合流しないといけなくて…………。」
「そうね。明日から探しに行くから、今日はもう休みなさい。」
「はい。」
私は小屋の中に入っていった。