第70話 造られし者
「あたしはこの世界の魔法をフル活用して造られた人造人間よ。」
「じゃあ…………機械でできてる……………?」
「キカイ……………?それが何かは知らないけど、私の体を構成している物質は普通の人間と同じよ。しかも、食事、睡眠、排泄、成長もするわ。風邪だって引くのよ。」
「へぇ…………………。」
「まぁ、ほとんど普通の人間と同じなんだけどね。違いは身体能力と魔法の腕。」
「じゃあ、あんなパワーが出せるのも……………。」
「そういう事。でも、私は試作品だからパワーはかなり抑えられているわ。まずはきちんと人間生活を送れるか試してるようね。」
「え?じゃあ、完成した人は……………」
「そ。戦闘特化よ。これはあたしも噂程度なんだけど……………あなた、リメイカーって知ってる?」
!!!
「………………知ってるみたいね。なら話は速いわ。人造人間はリメイカーに対抗するために造られているの。多分完成品はあたしよりパワーが上でしょうね。」
「……………………。」
「で、さっきも言った通り、あたしは普通に生活できるかのテスト体なんだけど………………普通の人は人造人間が何か全然分かってないから………差別が酷くてね………………。」
「差別……………?」
「そ。あたしが人造人間だって知ると、皆、何が起こるか分からないって、壊れて暴れだすんじゃないかって………………。」
………………………。
「酷かったわよ。石ぶつけられるなんて当たり前、時には処刑されそうになったり、討伐隊が組まれたり、他には、人造人間でもいいから魔物を退治してくれって言われて魔物退治したら、謝礼すっぽかされておいだされたりね…………………。その人によると、人間じゃない奴との約束なんぞ守るかってさ………………。」
「そんな………………。」
「時々、あたしに優しくしてくれる人もいたけど、そんな人はいっつもあたしの体目当て………………。そして、あたしが15歳(私達の世界換算で)時に……………。」
「……………………。」
「あたしが犯されてる時に男の一人がこう言ってたのよ………………『人間じゃねえんだ、構わずやっちまえ』ってね………………。」
アイナさんの目が僅かに光っていた。
「皆、あたしを人間だって思ってないのよ……………。残念だけど、あなたともここでお別れね。」
「……………どうしてですか?」
「どうしてって……………あなた、話聞いてなかったの?あたしは人間じゃないの。生き物じゃないのよ?こんなのと、誰が一緒にいたいと言うの?皆あたしを嫌っているのよ?あなただってそうでしょ?」
「逆に……………なんであなたが嫌われないといけないんですか?」
「え………………?」
「あなたが人造人間だろうがなんだろうが、あなたは今ここにいますよね?あなたには心がありますよね?」
「それはそうだけど………………でも……………。」
「それに、あなたは私を助けてくれました。こんなに優しいのに、嫌われる理由がありません。」
「……………………。」
「あなたは、あなたが思っている以上に、素敵な“人”ですよ。アイナさん。」
「………………ははっ。あははははっ。」
アイナさんが突然笑い始めた。
「変わっているのね……………あなた…………。そんな事言う人、初めてよ………………。」
ここで少し間を空けて続けた。
「でも、ありがと。すこし、元気出た。」
そう言ってアイナさんは私を軽く抱き寄せた。




