第69話
ごめん…………サブタイトル思いつかなかったんだ……………。
あれから3日後、アイナさんが言った通り、私の怪我はすっかり回復し、僅かに傷跡が残るだけとなった。折れた右腕もくっつき、今は念の為軽く固定するだけとなっている。
「仲間と離れ離れ…………ね、面倒な事になったのね…………生きてるとしても、どこにいるのかわからないって…………どう探すつもり?」
「……………………。」
私は答える事ができなかった。本当にどうすればいいんだろう……………。
「魔法で探せればいいんだけど…………私探索系の魔法全然できないからね………」
…………………。
「ま、できる事と言ったらこの辺の島を虱潰しに探す事くらいかな。あなた、船持ってないでしょ?あたしと一緒に行く?あなたのお仲間さんが見つかるまで。」
「いいんですか?」
「いいわよ、別に。私は気ままに旅してるだけだからね。お仲間さん探しを手伝ってあげる。」
「ありがとうございます!!」
「じゃ、明日から早速仲間さんを探しましょうか。」
「はい!!」
少し希望が見えた。
「ま、今日まではゆっくり休んで。私はご飯と焚き火の準備するから。」
私はアイナさんに付いていって、どんな風に準備してるのか見る事にした。アイナさんは小屋で休んでてと言ったけど、正直退屈だし。
アイナさんはしばらく歩き、適当な枯れ木を見つけると木の幹をパンパンと軽く叩く。そして………。
バキャアアアァァァン!!!
回し蹴りでへし折った。しかも魔力が感じられなかったから、素の力で。
「…………へ?」
この木、枯れてるとはいえ直径30cmくらいあるんだけど…………案外脆いのかな?
私は倒木に向かって踵落としを喰らわせた。試しに魔法ナシで。
ガンッ!!
「〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
全然歯が立たない。踵が砕けそうだ…………。
「ちょっと、何やってんの!?危ないじゃない‼」
「いや、アイナさんが魔法ナシでへし折ってたから脆いのかと……………」
「あたしは鍛え方が違うのよ。危ないから下がってて。」
アイナさんが枯れ木を踏みつけまくって適当な大きさに砕いていく。それを担いで小屋の近くに広げた。
次は食糧探し。アイナさんと私は森の中を進んでいく。なかなか獲物がいない。
と、そこにウサギを大型犬並みに大きくしたような生き物が通りかかった。ウサギはこちらに気づいて猛スピードで逃げて行く。
パチン!
アイナさんが右手をかざし左手で指を鳴らすと魔力の塊がこちらも猛スピードで飛んでいく。ウサギはジグザグにジャンプして避けようとする。
パチン!
アイナさんがもう一度鳴らすと魔力の塊が散弾のように弾け、破片がウサギに命中した。ウサギが高い声で鳴き地面に倒れた。
「今の魔法は……………」
「ああ、あたし魔法使う訓練もしてるからね。簡単な物は指鳴らすだけで発動できるよ。」
すごい………。
「さ、小屋に戻ろっか。………………?」
アイナさんが真顔になり、辺りをキョロキョロと見渡す。
「人間の気配………しかも、狩りに来てるって訳じゃなさそうね………殺気を感じる………隠そうともしないから多分素人だけど…………」
ここで私をチラッと見た。まさか…………。
ここで微かに足音が聞こえた。
「………………来るわね。もう隠れても無駄よ。」
ガサッ、
近くの茂みから男性が二人顔をだした。この顔には見覚えがある。一人は村から逃げる時に私がナイフを投げつけた男。もう一人は私に鉄砲を撃ち込んできた男だ。
「あ!!お前は!!」
「おい、そこの女は?」
「構わねぇ!!一緒にいるなら仲間だろ!!殺っちまえ!!」
「はぁ…………面倒ね、追い払うから、下がってて。」
アイナさんが私に指示して前に進む。
「ねえ、貴方達、大人しく帰るなら見逃してあげるけど?」
「うるさい!!お前こそ殺されたくなかっならそのガキをよこして失せろ!!」
「しょうがないわね……………。」
アイナさんが右手を私がナイフを投げた男(以後男A)にかざした。
パチン!
左手の指を鳴らすと握り拳大の火の玉が飛んでいき、男Aに直撃した。
「うあああぁ!!熱いいぃ!!」
男Aの服が燃え、地面を転がる。
鉄砲を持つ男(以後男B)がアイナさんの顔面めがけて発砲するも、アイナさんは頭を傾けて避けた。髪の毛が数本飛んだがアイナさんは身じろぎすらしない。
男Bがリロードしてる間にアイナさんが走って男Bに接近する。男Bは焦って逃げようとしたが腹を殴られうずくまる。
「さ、これで敵わないのがわかったでしょ?さっさと帰りなさい。」
男Aは完全に戦意消失している。しかし、Bは違ったようだ。
「く、くそっ、この女は駄目でも………あのガキさえ殺れれば…………。」
私はアイナさんに頼って完全に油断していた。男Bが私に銃口を向けているのに気づかなかった。
ズドン!!
「しまっ………!!」
私は思わず目をきつく閉じた。駄目だ、体を撃ち抜かれ……………あれ?
私が目を開けると……………
アイナさんが私を庇って、銃弾を背中に受けていた。
アイナさんは銃弾を喰らったはずなのに、何事もないかのように男Bに向かって歩きだす。
「ひ、ひいっ、な、なんで撃たれても死なねぇんだよ………」
アイナさんは無言で男Bに向かって進み続ける。その姿には、明らかな殺意が見えた。
「う、うわあぁ、く、来るな、た、助けてくれ、見逃してくれぇ!!」
ガシ!!
アイナさんが男Bの胸ぐらを掴んだ。
「助けて、ですって?」
「うああ、た、たす、助け、助けてくれ……………。」
「アンタねぇ、人殺しに来たんでしょ?なのに、自分が危なくなったら命乞いするの?」
ここで一呼吸置いて続けた。
「ねぇ貴方、もしあの子が命乞いしたら助けてあげた?助けないでしょ?」
「そ、そんな、そんな事は、ない。み、みの」
「嘘をつくな!!殺してたでしょ!!?そんな奴は死んで当然よ!!」
「あ、アイナさん、止めて!!」
「…………殺さないわよ、こんな奴如き手をかける時間と労力が勿体無いわ。」
男Bは気を失っていた。
「………小屋に帰りましょ。」
それだけ言うと、アイナさんは先程のウサギを担いで無言で歩き始めた。私はしばらく呆然としていたが、急いでついて行く。
小屋に帰ると、アイナさんは不機嫌そうに床に腰をおろした。
しばらく無言の時間が流れる…………。
「ごめんね。怖がらせちゃった?」
アイナさんが呟くようにして言った。
「いえ…………。」
「あの……………こんな時にこんな事聞くのはどうかと思うんですけど………………なんで撃たれても……………。」
途端にアイナさんの顔が嫌そうになった。
「あ、その、ごめんなさい!!」
「いいのよ。で、あたしが撃たれても何ともなかった理由でしょ?」
アイナさんはしばらく黙り、絞り出すようにして言った。
「あたし、実は人間じゃないの。」
「え………………?」
「いや、もっと正確に言うなら“生き物じゃない”かしら?」
「それって、どういう……………」
「私は造られた人間…………人造人間の試作品よ。」




