第2話 拉致された理由
ある日の事、俺はいつも通り学校に通い、普段となんら変わらない生活を送っていた。つまらない授業を受け、友達と談笑し、こんな生活が、卒業まで続くと思っていた。しかし、このような平和かつ幸せな日々はあっさりと終わりを告げた。
学校から帰ると、母さんが俺に声をかけてきた。
「あら、カイン。帰ってきたばかりで申し訳ないけどコーヒーとミルク買って来てくれない?ちょうど切らしちゃって。」
母さんはよく帰ってきた人を即座にお使いにいかせる。いつもの事なのであまり気にしないが。
「わかった。いつものコーヒーでいいよね?」
「うん、ありがとうね。」
俺は家をでて近所のスーパーへと向かう。歩いて10分くらいだ。
その途中にいつも人通りの全く無い路地がある。不審者が出るかもしれないから注意するように、などと言われているが不審者すらも通らない。
しかし、今日は俺以外にもこの路地を通るものが。
ネコだ。白いネコ。母さんは帰るのが遅れても全く気にしない人なので、少しくらい戯れてもいいだろう。
と、その時、思ってもみなかったことが。
「お前……俺が見えるのか?」
………え?声がした?他に人はいないのに?
「俺だよ。俺。お前のすぐ近くにいるだろ。」
………疲れてるのかなぁ……ネコが喋る幻聴が聞こえる……。
「気のせいじゃねえよ!!俺が話してるんだよ!!」
「ネコが……しゃべった。」
撫でてみたが人形ではない。こいつは一体………。
と、ここでネコがさらに予想外なことを。
「よし、俺と一緒にきてくれ。」
「…………………え?」
「俺達の世界が大変なんだ。悪い奴が世界を支配しようとしている。この世界で俺が見えるということはお前には魔力がある。そして、世界を救うことができる!!」
「それってどういう……」
「いいから早く!!この世界とあっちの世界じゃ時間のながれが違うんだ。ここで一時間たつとあっちでは二年経つんだ!!だから早く!!あっちでは時の流れに比例して寿命が長くなるからあっちに居すぎてここに帰ってきたら自分だけ成長してるなんてことは無い、安心しろ!!行くぞ!!」
と、目の前に青い渦のようなものが。
そしてネコに押されて俺はその渦の中へ入っていった。
…………気がつくと、荒れ地に横たわっていた。
「気がついたか?」
すぐ近くにネコが。
「ここが異世界だ。まずは俺達の王へ会いにいくぞ。ついてこい。」
こうして、俺の物語が幕をあけたのだ。
文を書くのって以外と難しい………。次回は第1話の続きからです。