第37話 帰還途中
引っ越ししてたら遅れた。ごめんなさい。
集落へ引き返し始めて二日程。今日はなんとも運の悪い事に大雨だ。女子二人とサネスさんが濡れるのを嫌がるため大きな木の木陰で足止めを喰らっている。
リッドさんによると、この世界にも雨季があるのだが、雨季以外に雨が降ることは少なく、降っても小雨程度がほとんどで、ここまで大雨は珍しいようだ。ちなみにこの世界の雨季は俺達の世界の北半球の秋にあたる次期らしい。この世界にも季節はあるがどうやら暑い季節……要するに夏が極端に短く、逆に冬が長いとの事。俺達の世界でいうと10~3月が冬らしい。長いなぁ。
季節云々の話はおいておこう。とにかく現在木陰でじっとしてる。リッドさんは明らかに不満そうな表情で貧乏揺すりを繰り返している。そういえば前リリちゃんが動かないと気がすまない人とか言ってたな……。
俺はメレンに背中の傷を見てもらっている。途中からリリちゃんも寄ってきて、背中の傷をまじまじと見つめている。ちなみに俺の着ている服は今背中が大きく裂けて地肌丸見えである。メレンとリッドさんの治療のおかげで傷はほとんど治ったが傷痕が大きく残っている。
「うわ、すごい。背中の大部分傷痕になってる。マフィアみたいになってるよ。」
「本当だ。すごいすごい!集落のベテランの戦士の人みたいな傷だ!!」
見せ物じゃないんだけど……。
「まあよかったね。無事で。もうちょっと深く抉られてたら脊髄やられてたよ。ここまでの傷で背骨やられなかったのは奇跡だね。」
メレンがさらっとヤバい事を言っている。
メレン曰く、背骨の部分だけ奇跡的に傷が浅かったらしい。背骨を外れた部分はかなりひどくやられたらしいが。あと右の肩甲骨をわずかに削られたようだ。まぁ、大した事じやない。
「それにしてもよくあんな無茶できたよね。あんな事映画でしかやらないと思ってたんだけど。」
今思えばとんでもない事やったな、と思う。映画じゃ大概無傷だけど実際上手くいかないもんだなぁ。
「でもカインすごいよ。カイン助けてくれなかったら私確実に殺られてたもん。」
リリちゃんがそう言って俺にすりよってくる。俺の顔が赤くなるのが自分でもわかる。バロンガ戦以降やたらと俺になついたな……。可愛いけどさ。
………メレンが何か言いたげにこちらを見ている………。何かあったのだろうか。
「メレン、どうかした?」
「…………別に。」
言い方も明らかに不機嫌そう。
俺、何か怒らせるような事したっけ……?




