第34話 魔物の巣穴
(カイン視点)
集落を出てから8日後、俺達は広場のような開けた場所に辿り着いた。広場の中心部には高さは20メートル、直径30メートルはあろうかという超巨大な切り株がどっしりと構えているかのように存在している。表面はびっしりと苔におおわれており、すっかり朽ちているようだ。
切り株の中は空洞であり、中には草花や小枝を集めた寝床のような場所があり、そこら中に大小様々な動物の死骸…………というよりバラバラになった骨が散らばっている。
俺はリッドさんに尋ねた。
「リッドさん、もしかするとここ……。」
リッドさんがいつになく真剣な表情になっている。
「そう。バロンガの巣穴だよ。奴はここで睡眠や食事をとっている。今は留守みたいだね……。死骸は新しい……。数時間しか経ってない。さっきまでここにいたんだろう。しばらく帰ってこないと思うけど……警戒は怠らないように。」
そういいながらリッドさんは剣を抜き、臨戦態勢に入っていた。俺達も武器を抜き、いつ奴が戻ってもいいようにした。
と、その時、俺はここでは生き物の気配が全く無いことに気づいた。小鳥のさえずりも、小動物が葉っぱや小枝を踏む音も聞こえない。聞こえるのは俺達の呼吸の音のみ。皆この脅威から逃げ出したか……あるいは……。
すべて襲われてしまったのか……?
骨の山を見ると、俺達が葬ったあの虎のような獣らしき骨がある。バロンガはあんな奴でも獲物とするのか……。
俺達もあの骨山の一部になってしまうかもしれない……。そう考えると怖くなり、おもわず逃げ出したくなった。その時、メレンが不安そうな表情で俺の服を握りしめているのに気づいた。
そうだ……俺はメレンを守ってやるって決めたんだ……。そう思うと、不思議と怖さが薄れていった。
三人もかなり不安そうだ。リッドさんは剣を構えながら常に辺りを警戒しており、僅かに緊張で汗をかいている。
サネスさんはやはり無表情だが、弓矢を何時でも放てるようにしている。しかし、腕が僅かに震えており、緊張が見てとれる。
リリちゃんも明らかに怖がっている。剣を握りしめつつも、サネスさんにくっつき、落ち着こうとしているるかのように大きく深呼吸を繰り返している。
そんな緊張状態から大体30分程。
「何か……来てる。肌がピリピリするような……何かを感じる……。」
メレンがか細い声で言った。これには俺も気づいている。何かが殺気を放ちながらこちらに近づいて来ている。
小枝を踏むパキパキという音。茂みを突っ切って来てるのかカサカサという音もしている。
リッドさんが呟く。
「とうとうおでましか……。皆、決して油断しないように。」
俺達は頷き、音の方へ注意を向ける。
だんだん姿が見えてきた。高さ2メートル、縦5メートル、横1メートルくらいのずんぐりした四つん這い。河馬とワニを足して2で割ったような見た目であり、表面は固そうな鱗で覆われている。色は暗い緑色。
その生き物は縄張りによそ者がいるのに気がついたのだろう。鼻息荒くこちらに向かってくる。
さて、戦闘開始だ。




