第33話 休憩(続き)
(メレン視点)
足痛い………。やっぱり5日もぶっ続けで歩くのはさすがに辛い。私はリッドさんとカインの剣の訓練を眺めながらリリちゃんと並んで座り、痛む足をマッサージしていた。
リッドさんとカインはあまり疲れていないのだろうか。あんなに動き回っているからにはまだ元気が余っているということだろう。男と女ってここまでスタミナに違いがあるのかな………。
リッドさんは私を見て辛そうなのを感じとったのか早めに休むと言い出した。なるべく辛そうな素振りは見せまいとしていたんだけど。私、今、足をひっぱってるのかな………。
「大丈夫?メレン?どうかしたの?」
思っていたことが表情に出てたのかリリちゃんが心配そうに声をかけた。リリちゃんはカインにはそっけないけど、私とは女同士の為か、普通に接してくれる。
「ううん、平気。ただ、リッドさんが私が辛そうなのを見て休むって言ったから私足をひっぱっているのかなって……。」
「そんな事気にしてたの?それなら平気。皆相当疲れているし。こんなに遠出するの、リッドやお兄様も初めてだから。」
「でも………。」
「大丈夫大丈夫。リッドは普段からあんな風にうろちょろしてるのが普通だし。カインはそれに付き合わされているんでしょ。カインも相当辛そうだけどね。」
見てみると、カインも激しく息を切らしている。リッドさんが今日はここまでにしようと言い、カインが腰をおろした。よっぽど訓練がハードだったのか、軽い酸欠を起こしている。リッドさんがカインに向かって手をかざすと、カインが少し楽になったように見えた。回復魔法かな?
カインといえば、私は気になっていたことをリリちゃんに聞いた。
「ねえ、リリちゃん。リリちゃんはカインの事どう思ってる?」
すると、リリちゃんは少し表情を固くしたように見えた。
「別にもう怒ってはいないよ。嫌いでもない。だけど………、なんか、上手く言葉にできないけど、変な感じがするの。」
変な感じねぇ………。なんだろう?
「メレンはどうなの?」
「私?カインはやさしくていい人だと思うよ。ときどき私をからかったりするけどね。」
「そうじゃなくて。好きなの?カインの事。」
…………………え?私は反射的にカインの方を見た。カインはこっちに気がついていない。
「べ、別にそんな事はないよ。た、ただ、カインはいい人で頼りになるってだけ。」
なんかすごい動揺してしまう。恋愛感情抱いていないのは本当なのに………。
リリちゃんはにやけながらこちらを見ている。
「……………何よ。」
「別に。カインはいい人だって言ってた時、なんか楽しそうだったから。」
………………そんな風に見えたのかな………。
「…………メレン?」
「うわぁ!!」
すぐ近くからいきなりカインの声がしておもわず飛び上がりそうになるほど驚いてしまった。
「あ、ごめん。」
「大丈夫。ちょっとびっくりしただけだから。で、何か用?」
「いや、用ってモンでもないんだけど、リリちゃんとの話で、俺の事話してなかったか?」
ドキリとしてしまう。
「い、いや?リリちゃんにカインをどう思ってるか聞いただけだよ?」
と、その時、リリちゃんがサネスさんの方へ行って私達を二人きりにしているのに気がついた。本当に違うのに………。
「?………………まあいいか。そういえば、大分疲れてたみたいだけど、大丈夫か?」
「うん。大丈夫。ごめんね。心配させて。」
「謝ることはないさ。誰だってこんなに歩いたら疲れるに決まってるし。」
………………やっぱりいい人だな………。
……………私、自分で気づいてないだけで本当にカインの事…………。
……………まさかね………。