第1話 始まり
見渡す限り、だだっ広い荒れ地が広がっている。辺りにあるのは、砂、草、石ころ。高い木なんか全く生えていない。川なんかもない。寂れたようなそんな場所を、俺はただひたすら歩き続けている。
俺はカイン。カイン・セプル。至って普通の高校生……だと思う。普通に学校に通い、普通に勉強し、至って普通に生活してきた。
何故こんな事になったのか、自分でもよくわからない。わかっているのは、ここは俺がいままで生活してきた世界とは違う世界ということ。簡単には帰してもらえないということ。
そして……俺にはこの異世界を救う力があるらしいということ。
世界を救う?そんな勇者みたいな事、俺にできるのか?俺より腕っぷしの強い奴なんか俺の学校にすら沢山いる。なのに俺が選ばれた。どうやら、俺には魔力があるらしいのだが……。魔力ってなんだ?魔法を使う力なのか?俺は魔法が使えるのか?
俺は一緒に歩いているネコ………こいつに拉致されてきたのだが……とにかく、ネコに話しかけた。
「おい、ネコ。」
「ネコじゃない。改造動物、CTだ。」
こいつは改造されてしゃべる事ができるようになったネコのようだ。アンドロイドのネコ版みたいなものだろうか?
「お前、俺に魔力があると言っていたよな?それは一体どういう事だ?」
「お前も予想はしてたんじゃないか?魔法を使う為の力だ。この世界には魔法がある。」
やはりか……。
「それにここには悪魔や妖精だっている。おっと、勘違いするなよ?お前の世界では邪悪なものかもしれないがこっちじゃなんの危害もない。むしろ仲良くやっているんだ。ま、魔物の一部には危険な奴もいるけどな。」
まるでおとぎ話みたいだ。信じられない。いや、信じたくないのかもしれない。これは現実だ。
ネコが俺に声をかける。
「もうそろそろ森だ。見えてきただろ?」
本当だ。遠くに大きな木が沢山みえる。あそこならまともな食べ物もあるし、安心して休めるだろう。歩き始めてもう何時間たつかわからないし、腹もへってきていたので助かった。
気を入れなおして森へ向かおうとしたその時……。
「キエエェェェ!!」
鳥の鳴き声のようなものが聞こえた。
初投稿です。
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次回は主人公が拉致された経緯。鳴き声のようなものについてはその次で。