第25話 気になる名前
一つだけ言いたい事がある。
ポ〇モンの誘惑は抗い難きものである。
(メレン視点)
私が目を覚ました時、辺りはほのかに薄明かるくなっていた。今は午前4時くらいだろうか。
なんだか体がだるい。魔力の使いすぎの疲れがまだ残っているのかな……。また少し眠気も残っている。まだ早いし、もう少し寝てもいいよね……。
「うぅ……」
?………うめき声?私はとっさにカインの方を見た。
カインは見た感じよく眠っている。怪我した腕は魔法で治療してある……と言ってもカインの魔力は少ないらしく、治療も止血しているだけ。
表情は少し苦しげだが特に異常は無い。悪い夢でも見ているのかな?
「あぁ………エニィ………。」
…………誰?エニィ………?人の名前?名前だったら多分女性だけど……どういう関係なんだろう……恋人とか?
………なんにせよカインの個人情報だ。むやみやたらと詮索していいものではない。カインが起きて後尋ねるのも止めておこう。
でも、やっぱり気になる………。異性となにかしら関わっているというのは実に興味をそそられるものだ。やっぱり恋人なのかな……?もしそうだったら、どんな人なんだろう………。
………そういえば、私はこれまで異性と付き合った事がない。別に私がモテないという訳ではなく、学校では度々告白をうけていたし、靴箱に手紙を入れられているなんて事もあった。街を歩いているとナンパされる事も多かった。
でも、私の父さんが、私が異性となにかしらの関係を持つ事を激しく嫌っていた。友達程度の関係でも父さんは快く思ってくれない。父さんはこのような誘いは全て断るようにと私に言った。だから私は誘いは全て断った。タイプなのもいなかったし。
親からこのように言われているおかげか、私はもう何年も恋をしていない。テレビで俳優をみても何とも思わないし、告白や靴箱の手紙に心をときめかせるなんて事もない。初恋以来、一度も恋をしていないのだ。
初恋はハッキリと覚えている。私が6歳の時、家に迷いこんできた5歳程の男の子だ。名前も聞いてなかったけど、私に甘えてくるその子に心をときめかされたのはいまでも鮮明に思い出せる。
…………カインは私が昔感じたあのトキメキを今でも感じているのだろうか?
………恋人はいる?みたいにはぐらかして聞くくらいなら大丈夫かな?起きたら少し尋ねてみよう。
「エニィ………駄目だって……そんな所………。」
………………は?
「無理だって……絶対……うぐっ……!!」
……………どんな夢を見ているんだ?
………聞かなかった事にしよう。
私は落ち葉の上に横になり、日が高く昇るまでの間、惰眠を貪り続けた。




