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ABDUCTION!! ~IN THE ANOTHER WORLD~(凍結)  作者: 迦楼羅カイ
第3部 戦いに生きる人造人間
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第189話 フロウVSポーテン決着

もう………体が動かねぇ………。全身が血で濡れている。骨折は………左腕と、肋骨と、右にもヒビ入ってるな………。もう呼吸すら苦痛だ。


徐々に膨れていた体が縮んでいく。体が損傷し過ぎて獣解放に耐えられなくなり、強制的に解除されたのか………。


手足も顔人間の物に戻る。いい男に戻ったがこの大怪我では台無しだ。体中に生えた狼の体毛も引っ込んだ。もう………戦えない………。


申し訳………ありません、アイナさん………。貴女を助ける事もできず、ここで散ってしまう私を許してください………。


シニアさん、ルルカさん………。約束、守れそうに………ありません………。本当に、ごめん………なさい………。


………私、女性の為に生きていくって、決めたのに………。女性を悲しませないって、あの時から、決めたのに………。情けないなあ………。結局、助けるって決めた女性を助けられないし、大切な人は悲しませる…………。


自分の不甲斐なさに涙が出てきた。もう涙を拭う事さえできない。涙が途中で血と混ざり、赤い液体が頬を伝う。


「………神に祈りは済ませたか?」


ポーテンさんが屈み込んで私に話しかけてくる。


「……………………神は………とっくの、昔に、私を………見捨てているでしょう………。祈ったって………別に、何も、変わりは、しません…………。」


そう言いながら、私はポーテンさんを見上げた。………私がここで元気一杯なら、一撃かましてやるのになぁ………。あの、胸の傷に…………、………ッ‼︎


そうだ…………。一つだけ、勝てるかもしれない方法がある………。幸い、右手は完全にイカれてはいない………。奴は今油断しきっている………。


動け…………、ここで動かなけりゃ、誰も助けられない…………。そんなんでいい訳がない‼︎動け‼︎私の体‼︎動け‼︎‼︎


「うおあああぁぁぁぁぁぁぁッッ‼︎」


ドスッ!


「‼︎」


貫手をポーテンさんの胸の傷に突き刺す。


「スパー、ク………ッ‼︎」


バリバリバリィ‼︎


全神経を集中させ、腕から電撃を流す。ポーテンさんが大きく痙攣する。目が虚ろになり、口から泡を吹く。


ドサアッ!


ポーテンさんが後ろに倒れた。起き上がらない。


「や、やっ、た…………。た、お………した……。」


バタッ。


私も力尽きて倒れ込んだ。体が自分の物ではないかのように重い。


そうだ、腕輪…………。腕輪、壊さないと………アイナさんを………助けられない………。


う、動け………。あと、もうちょっとだけでいい………。


何とか這いつくばって腕輪に手が届くところまでたどり着いた。距離にするとほんの1メートルなのに、この体では、とても遠い。


「さ、サン……ダー、ナイフ………。」


この体ではマトモに魔力も溜められないが、体に鞭打ってなんとか魔力を絞り出し、ナイフを造りだす。


パキィン‼︎


なんとか腕輪が壊れた。これで、アイナさんを助けるのに一歩近づいただろう。


………もう、本当に動けない。神経を集中させても指一歩動かせない。


本当なら、アイナさんを助けるために先に進むが…………この体ではもう無理だ。………ダメージと出血で、このまま死ぬかもしれない。


よくわからないが体が軽くなったような不思議な感じだ。痛みも徐々に無くなってくる。視界が霞む。


………そうか。もうダメなんだ。いくら獣人が丈夫だといっても、ここまでされたら………流石に無理か………。


「皆………さん………。あと………頼み、ます。必ず………アイナ、さん、を………助けてください。シニア………さん、さよなら………。ありが…………とう、ござ、い、ま………し、た………。」


………………………………………………。

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