第187話 立ち止まれない
(メレン視点)
「十指機関銃‼︎」
ズガガガガガガガガガ!‼︎
ったく、リメイカーの雑魚達は一体何人いるのよ!?さっきから出てくる度に吹っ飛ばしてるのに無限にいるかのように出てくるんだけど!!
恐らくこの先でリメイカー幹部クラスと戦う事になるだろうに、あんま魔力消費してられないんだけど。
あぁもうまた出た‼︎しつこいのよ!!
何故か一人だけ果敢に突っ込んできた雑魚に足払いをかけてバランスを崩させて手を雑魚の体に当てる。
「人間砲弾!!」
ドォォォォォォン‼︎
ちょっと可哀想だけど魔力を流し込み吹っ飛ばす。アイナがやったパンチから一呼吸置いて衝撃を与えるあの技の応用だ。飛んでいった雑魚が後ろの人達にもぶつかり薙ぎ倒す。
「じゃね!!急いでるから!!」
怯んだ隙に逃走。こんなのにいちいち本気だしてたらいざという時戦えないよ。
しかしまぁ、何が彼らを揺り動かすのか、執念深く追ってくる。そんなに忠誠心あんの?いや、レリカとかからミスったら殺すとでも言われてるのかも…………。まあ、本当にそんな事言われてたら余りにも可哀想だけど、こっちもアイナの命がかかっているからそんな事言われてない事を祈ろう。
「そーいや、こんなのあったっけ‼︎」
パキンッ‼︎ポンッ。
「わ、手榴弾だ‼︎」
「伏せろーーーーッ‼︎」
フェイクだよバカ。ま、派手な爆発音と火花は出てくるからこけおどしにはぴったりだけど。
しかし、これじゃ一時的ね………。あ、そういや、あるじゃん、魔法使わない武器。一年くらい使ってないけど。
ドン‼︎
久々にボウガンを取り出し、矢を込めて撃つ。もちろんこれだけじゃ威力が全然足りないため、ほんの少し魔力を込めて、鏃を散弾のように弾けさせる。
パキャアアアッ‼︎
雑魚相手にはこれで充分。魔力の消費もずっと少なくて済む。
こんな感じで雑魚を蹴散らしながら進む。道は別れているが、勘で進んで行く。立ち止まって悩んでいるより、ひたすら進んだ方がいい。
さて、アイナは3階にいるだろうって話だけど、階段はどこだ?多分階段をリメイカー幹部が守っているだろうから、簡単には見つから………な………。
あった。えー、なんか呆気ない。いや、まあ、アイナ助けるんだから戦わずにいけるならそれに越したことはないんだけど、なんでこんな詰めが甘いかなぁ………。
とにかく、ここを登れば、アイナにぐっと近づけるハズ。待ってて。アイナ‼︎
階段にワナでも仕掛けられているんじゃないかと思い、慎重に進んで行くが、幸いどこにもワナはないようだ。
二階は一階よりもやや狭く、道も単調だ。これならすぐに3階へも行けるハズ。アイナもすぐに助けられる。
通路を走っていると、通路の突き当たりに扉を発見した。回り道は近くにはない。………となるとここに入るしかないか。
扉を開き、中に入る。………敵は………。
バダンッ‼︎
!‼︎
ズドン‼︎
高速で撃ち込まれる魔力弾を避ける。
「指銃弾‼︎」
ドンドンドン‼︎
ヒュン‼︎
瞬間跳躍‼︎
ガッ‼︎バシ‼︎ダッダッ‼︎ドッ‼︎
瞬間跳躍に対応して攻撃を受け止め、暫くパンチとキックの打ち合い。
「指回転銃弾‼︎」
ズドン‼︎
消えた?………いや、後ろ‼︎
ガッ‼︎
何とか後ろ回し蹴りで迎撃し、再び打ち合う。しかし、身体能力に大きな差がある為、徐々に私が押されていく。
「魔力大砲‼︎」
ドゴォォンッ‼︎
キックに対するカウンターの容量で打ち込んだ魔力大砲は彼女を大きく吹っ飛ばす。
例えリメイカー幹部でも魔力大砲が直撃すれば大ダメージは免れないだろう。しかし、彼女はノーダメージであるかのように立ち上がる。いや、本当はダメージがあるのだが、痛みで体を上手く動かせないとか、痛み対する恐怖とかが彼女には全くない。
「貴女もリメイカーに利用されてるに過ぎない………そう考えると可哀想だけど、私はアイナを助けるの。容赦しないわよ、チェリ‼︎」
私のこの叫びにもチェリは全く反応しない。もしかしたら、この声自体が彼女に届いていないかもしれない。
チェリは黙って構える。無表情でまるで死んだ魚のような濁った目で私を見てるのが不気味だ。普通だったら殺気立って私を睨むだろう。
………怯んでられない。いや、こんな所で立ち止まる訳にはいかない‼︎一刻も早くアイナを助けるんだ‼︎
「いくわよ‼︎魔力大鎌‼︎」
ギュオオオッ‼︎!