第181話 決意
(キュリア視点)
ジェルスさんと別れた後、わたしは来た道をひたすら戻っていた。倒れたリメイカーの下っ端の人達が転がっている。申し訳ないとは思うが、アイナさんを助けるためだ。
下っ端の一部は、割と軽傷だったようで、わたしが戻ってきた時には再び立ち上がり、襲ってくる人もいた。
ズドン、ズドン、ズドン‼︎
元々わたしでも一対一なら勝てる相手だし、ジェルスさんの攻撃で既に手負いな為、すぐに倒せる。
「ウラァこのガキがァーーーッ‼︎」
懐に潜り込んできた一人の膝を踏みつけるように蹴り、怯んだところを体全体で体当たりして吹き飛ばす。銃だけではなく、素手の戦闘もジェルスさんと鍛えていてよかった。
……ジェルスさん、大丈夫かな………ほかの皆さんも。なんか、このままだとわたしだけ役に立ててないみたい。もちろん、ジェルスさんが言っていたように、わたしのおかげでここまでこれたのかもしれないけど、それでも、皆さんが戦っている間待っているっていうのは心苦しい。
………わたし一人で階段への道探そうかな………。戦うのは駄目だとしても、階段を探して、案内をしてあげるくらいはいいハズ。
よし、そうと決まればさっき行かなかったサーリッシュさんがいる部屋のある通路の奥のほうに行ってみよう。下っ端さん達はカインさん達を追ったりわたし達も倒したりでほとんど残ってないから安全だと思うし。
それに、わたしには周辺の気配を読むことができる。リメイカーの強い人は気も大きいからすぐ分かるし、戦いも避けられる。
わたしの考え通り、下っ端さん達もおらず、一人でどんどん進んでいける。これなら階段なんてすぐ見つけられる。見つけて道標をつけて、ジェルスさんを案内すればきっと褒めてもらえる。
そんなことを考えていると、道の突き当たりに扉があった。回り道はない。ここを入らないといけない。
念のために集中して気を読むと、気配があったけど、リメイカーの人みたいな悪い感じではない。………カインさんかフロウさんかな?通路が繋がっていたのかもしれない。
とにかく、先に行かないと‼︎わたしは扉を開けて、中に入る。
あれ?誰も居ない?
バダンッ‼︎
⁉︎
「あら………貴女、キュリアとか言ったっけ。」
‼︎‼︎
「クーヤ………さん………。」
そんな………なんで?絶対にこの部屋にいるのは敵じゃないって思ってたのに………。よりによって、副将のクーヤさんだなんて………。
「どうしたの?そんな顔して?あたしと当たるのがそんなに嫌だった?」
「…………。」
「あたしも見逃してあげたいけど、そうもいかないのよね。それに、貴女だってあたしを無視できないわよ?ほら。」
クーヤさんは左腕の腕輪を見せる。
「これ、アイヌゼラを縛る鎖の鍵になってるの。あたしを倒して鎖を壊せば、アイヌゼラを助けられるわ。」
‼︎クーヤさんもあの腕輪を………。なら、クーヤさんを倒さなければならない。
正直、凄く怖い。今すぐ逃げ出したい。でも、倒さなければアイナさんを助けられない。皆さんも戦ってる。助けは期待できない。
わたしがやるしかない。
「へぇ………、いい目をするようになったじゃない。この間見た怯えた目じゃない、決意したってのが分かるわね。…………素敵よ。さあ、かかってらっしゃい。遊んであげる。」