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ABDUCTION!! ~IN THE ANOTHER WORLD~(凍結)  作者: 迦楼羅カイ
第3部 戦いに生きる人造人間
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第179話 本気

(フロウ視点)


カインさんとわかれ、私は一人で通路を突き進む。カインさんは何か確信に近いものがあるようだった。あの部屋に誰かいるのだろうか?一年前から因縁のある人とかいるのだろうか。カインさんからリメイカーについてあまり聞かなかったから知らないが。


前方からリメイカーの下っ端達が迫ってくる。あ、女性が何人か混ざっている。迂闊に吹っ飛ばすと女性達も傷つけかねない。


ブワッ‼︎


私は大きく跳躍し、下っ端軍団を飛び越える。当然、下っ端は向きを変えてこちらを追いかけてくる。


「魔力盾!」


下っ端達の目の前に盾を展開。盾を通り抜けるには壊さなくてはならないが、クーヤさん等ならともかく、こんな雑魚達に壊されるようなヤワな物ではない。


少し雑魚軍団から離れて、天井に向けて電撃を放つ。


ドガアアアッ‼︎


天井が崩れて道を塞ぐ。これで時間は稼げるだろう。私が帰る時困るかもしれないが、最悪壁をブチ抜けばいいので問題なし。


………ところで、とりあえず通路に沿って進んでいるが、こっちに階段があるのだろうか?いや、分かれ道とかあるだろうからいつかはたどり着くとは思うが。


とか考えながら進んでいると、通路の突き当たりに扉を発見した。迂回路はないため、あれに入らなければならないようだ。


扉を開けて中に入る。


バダンッ‼︎


扉が勝手に?………ッ‼︎


ドゴオオオッ‼︎


先ほどまで立っていた石造りの床がまるで卵の殻を握り潰すが如くバラバラに吹き飛んだ。もしあの場所に立っていたら私の頭蓋骨がああなっていたに違いない。


「貴様………あの時の犬ッコロ………。」


「貴方は………ポーテンさんとか仰いましたか?」


なるほど………瞬間跳躍(モメントスキップ)………。当の使い手もやや制御しきれてない感じはするがあのスピードは十二分に脅威だ。あの巨体とスピードならぶつかっただけで大ダメージは免れない。一般人なら病院送りだろう。


「私達はアイナさんを助けに来たんです。貴方と戦っている暇はありません。」


「残念だが………それなら尚更戦わなくてはならないな………。」


「どういう事ですか?」


「あの人造人間は………、今一番上の階で鎖に繋がれている。鎖には魔法で鍵がしてあり、それを解除するには………。」


ポーテンさんが腕につけてかる腕輪を見せつける。


「これを壊す事だ。無理矢理鎖を壊そうとすると爆発する。封魔石で魔法の使えないアイツの息の根を止めるには十分な威力だ。」


「そんな大事な事をベラベラ喋っていいのですか?」


「構わん………。アーテスがそうしろと言っていた。」


「そうですか………。では、思いっきりいきますよ。アイナさんにあのような事をして、貴方達、ただで済むとは思わない事ですね。」


「フン………。貴様みたいな犬が吠えようが、やかましいだけだ………。」


なら、後悔させてやる。


雷槍(サンダースピア)‼︎」


槍を造り、いきなりラッシュをかける。


ビシュシャアッ‼︎


「何……………?」


素手で掴んで止めた?


ドゴオッ‼︎


キックを喰らい体が後ろに吹っ飛ぶ。壁に叩きつけられ、全身に痺れるような痛みが走る。


ズドオオッ‼︎


追い打ちのパンチをなんとかしゃがんでかわす。彼のパンチは壁にクレーターを造った。直径5mはあるだろうか。凄い威力だ。だが隙ができたッ‼︎


ドスッ‼︎


腹に全力で肘打ちを喰らわせ、怯んで体制を崩した瞬間全力でアッパーカット。そこから蹴りを叩き込む。


「………なかなかいい攻撃だ。しかしそれでは俺を倒すことはできん。」


げ、効いてな

ドッッ‼︎‼︎


腹にパンチを打ち込まれた。凄い衝撃。まるですぐ近くで爆発が起きたかのようだ。再び壁に叩きつけられ、壁にヒビが入り、更には壁を殴り抜いて通路に吹っ飛ばされる。魔力で咄嗟に防御したが、体の芯にかなりのダメージを負った。


「貴様如きに俺は負けん。貴様のような犬ッコロにあの人造人間を救うことなどできないんだよ。身の程知らずが、素直に帰っておけばよかったものを。感情に流されて死にに来るとはな。」


その言葉に対し、私は立ち上がって答える。


「生憎ですが、私は、死にに来たのではありません。アイナさんを助けにきたのです救うことなんてできない………?いや、間違いですね。私は、いや、私達は必ずアイナさんを助けて見せますよ。」


「…………、笑わせるな。どうやってだ。俺を倒すことさえできないのに?」


「倒してみせますよ。これから全力を出してあげます。………使いたくはなかったんですがね。」


「ほう、見せてみろ、犬ッコロ。」


私は上半身の服を脱ぎ捨てて全身に力を込める。これをやるのは久しぶりだ………。


「言われなくても見せてあげますよ、追い詰められた犬ッコロが、どれだけ恐ろしいかをなアッッ‼︎」


ドクン。


心臓が激しく鼓動する。体に狼の毛が生え、筋肉が盛り上がり、強靭に変わっていくのが自分でも分かる。手足が掴む事に特化した人間の手足から、抑え込み、切り裂くことに特化した獣の手足に変わる。


「ウッ、………ウッ………。」


ドクンドクンドクンドクンドクンドクン。


顔も変わってきた。人間から、狼に近くなる。鼻と口が伸び、口の中の歯は牙に変わる。咀嚼よりも、噛みつき食いちぎることを目的とした進化だ。


「ウオオオオオオオオオオオオオオオッッ‼︎」


鼓動が徐々に落ち着いてきた。オレの体の変化が完了した証だ。イケメンな姿が台無しだが、アイナを助けるためだ。それに、この姿になってみるとなかなか心地がいい。


「ほら、これが本気だ。」


声も今までのカッコいい声から野蛮そうな声に変わった。


「どうした?テメェが望んだ本気だぜ?見せてなるよ、かかってきな、デカブツ野郎。」

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