第169話 謎の女性(その1)
さーて、どれくらいの実力かは分からないけど、とにかくやるしかない。まずは小手調べに…………。
「指狙撃ッ!!」
ズドン!!
ヒュンッ!!
げ、瞬間跳躍!!?やばッ、後ろッ!!
バキィッ!!
なんとかキックを腕で受け止める。
「……………ッ!!」
…………危ない。咄嗟に魔力を込めたから良かったけど、普通に防御してたら腕をへし折られてた…………。
ズドンズドン!!
「キュリアちゃん!!この人相当強いわよ!!魔力でガードしてたのに腕折られそうになった!!常に気の流れを察知して瞬間跳躍からの攻撃を喰らわないようにッ!!」
「は、はい!!」
ガッ、ガッガッ、ドスッ!!
「げほっ!!」
数回蹴りあうが隙を突かれて腹にパンチを喰らい少しよろめいてしまう。
ズドン!!
「痛い………ッ!!」
魔力弾が左足を掠める。………でもなんとか瞬間跳躍はできるかな…………。
ヒュンッ!!
ガッ、ドッ!!
ヒュンヒュンッ!!
瞬間跳躍をお互いに繰り返しながらの蹴り合い殴り合い。
ドッ!! ガッ!! バシイッ!!
くっ、やっぱり接近戦だと勝てない。一回距離を離して遠距離戦を…………。
瞬間跳躍で近くの屋根の上に乗り、指を向ける。
「双指機関銃!!」
ズガガガガガガガガッ!!!
ヒュンヒュン!!!
やべッ、接近され…………。
「魔力散弾ッ!!」
ズドン!!
え?直撃したのにちょっと怯んだだけ?
「最大出力ッ!!」
ドガアアッ!!
女性がキュリアちゃんの巨大な銃弾を喰らい吹っ飛ばされる。近くにいた私は屋根のふちを掴んで踏ん張って爆風で飛ばされないようにした。ていうか、今ので屋根の端っこがフッ飛んだけどどうしよう…………。弁償は高くつくよなあ…………。
ズドン!!
「ひゃうっ!!!」
余計な事考えていたせいで変な声出た…………って、そんな事よりも!!!
キュリアちゃんの最大出力を喰らっても平気で、しかも吹っ飛びながらも反撃してくるってこの人何者!!?
「指回転銃弾!!!」
バキィン!!
げ、裏拳で弾かれたッ!!弾かれた銃弾が建物に命中し壁を吹っ飛ばす。ヤバイまた弁償しないと。
ヒュン!!
「近づいてくるのは想定内!!魔力散弾!!!」
ズドン!!!
ガシ!!!
「一発じゃ効かなくてもこれならどうよ!!?」
女性の腕を掴んで逃がさないようにしてからの!!
ズドン!!ズドン!!ズドン!!ズドン!!
魔力散弾連射。
「ちょっとは効いたでしょ!!!オラァッ!!!」
ドガアッ!!
ハンマーパンチの要領で地面に叩き落とす。
ズドォン!!!
よし、ここまでやりゃあもう動かないでしょ。死ぬ事はないかもしれないけど。
「あれ…………?」
いない?……………ッ!!
「魔力散弾ッ!!!」
ガッ!! ズドン!!!
振りむいて魔力散弾を放つが女性に腕を捕まれ方向をずらされる。
……………折られるッ!!!
ズドン!!
すぐさま掴んでいる腕に指回転銃弾を撃ち込みなんとかふりほどく。
ズドン!!
撃ち込まれる魔力弾を仰向けになって回避。そのまま後ろに転がってわざと屋根から落ちる。
「キュリアちゃん!!」
「はい!!」
ドンドンドンドン!!!
私を追って屋根から身を乗り出した女性にキュリアちゃんが銃弾を撃ち込む。女性はなんとか避けて額を掠めるに留まる。
ヒュン!! ドンドン!!
女性が瞬間跳躍で後ろに回るがキュリアちゃんも銃で応戦。
「喰らえッ!!」
魔力弾を造って投げる。があっさり避けられる。
「今だ。フルパ」
ドゴッ!!!
「ぐ…………ふ………っ。」
ズドン!!!
キュリアちゃんの腹に蹴りを叩き込まれ、魔力弾が明後日の方向に飛んでいく。
「キュリアちゃん…………。流石ね。ちゃんと気付いてくれた。」
カキィン!!
そう。さっきの魔力弾は攻撃の為ではない。少し離れた所で反射鏡を展開していた。キュリアちゃんの弾を避けられるのは予想済みだったからね(キュリアちゃんが蹴られたのは想定外だったけど)。
「気付いた?でも遅いッ!!!」
私も瞬間跳躍で女性に接近し、蹴りを喰らわせて怯ませ、魔力を溜める。
「さあて、耐えられるッ!!?前後からの同時攻撃、双魔力大砲!!!」
ドッガアアアアアン!!!
よし。
「ふう…………。大丈夫?キュリアちゃん。」
「は、はい。なんとか。…………ッ!!!後ろッ!!!」
ズドン!!
「うあああああッ!!!」
「メレンさんッ!!!」
嘘でしょ………?なんでまだ立てるの…………。本当にマズい。咄嗟に避けようとしたけど、お腹の横側に直撃して、血が吹き出した。
更に追撃の大きな魔力弾が飛んでくる。キュリアちゃんは銃のリロードが間に合わない。魔力で防ごうにも時間が無いし、激痛で集中できない。終わった。あの女性は耐えたけど、私には無理だ。
バキィィン!!!
「…………え?」
私の目の前に魔力盾が展開されている。
「…………間に合ったようですね…………。」
「その声…………フロウ……………!!!」
「お待たせ致しました…………お嬢様方。」