第167話 剛力(その1)
さーて、ヒノちゃんを除くとこちらは6人。
「お前ら、どんな事情かは知らんがそのデカブツと戦う羽目になったようだな。………これも何かの縁だ。協力しよう。」
「僕も兄さんと同じく。へへっ、腕が鳴るよ。」
どうやらインゴー兄弟の二人も協力してくれるらしい。二人も武器を取る。キュヌムはナックルダスター(拳にはめる武器。別称メリケンサック)でトルトはロングスピア。これで8対1だ。
「メレン、キュリアちゃん、ヒノちゃん!!町の人達を離れた所まで避難させてくれ!!」
「わかった!!そっちはよろしくね!!」
さーて、んじゃ、やりますか。まずは小手調べに…………、
「斬撃、螺旋!!」
…………何故動かない?
ドガアッ!!
「な…………ッ、マジかッ!?」
野郎、全然堪えてねえ。ほんの僅かに切り傷がついただけだ。
「どうやら分厚く固い筋肉が鎧となっているんですね…………、雷矢!!」
ズキャアンッ!!
「ゲ、雷で感電したハズなのにまるで大丈夫ですよ。大した頑丈さですね。」
「雑魚どもが…………今度はこっちだ……………。」
ヒュンッ!!
!!?
ドゴォッ!! ドガアッ!!
ジェルスが吹っ飛んで後ろの民家に突っ込んでいく。
ドゴォッ!!! バリィィン!!!
更に俺の隣にいたフロウが突然消え、ガラスの割れる音が響く。そしてフロウがいた場所にはポーテンが立っていた。
まさか、アイツ…………、メレンやゲリズが使った一瞬で距離を詰めるあの魔法を…………!?
「おい!!ジェルスッ!!フロウッ!!無事かッ!?」
「ああ、なんとか…………!」
ジェルスは無事のようだがフロウはわからない。女の子3人が逃がしたためこの近くには誰もおらず、あの家もそうみたいだ。
「でりゃあッ!!」
「オラァッ!!」
俺が斬りかかったのとキュヌムが殴りかかったのがほぼ同時。
ドッ!! ガキィン!!
拳は直接、剣は腕の鎖で弾いて受け止められる。
ドカッ!!
俺に蹴りが入り、体が宙に浮く。視界に入る景色が目まぐるしく変わったかと思うと地面に叩きつけられた。
「ごふっ!!」
魔力でガードしていたがかなり痛い。まるで車に体当たりされたかのような衝撃だ。
「兄さん、危ないッ!!」
そう言ってトルトが突きを飛ばすがポーテンがあっさり避けてトルトにパンチを喰らわせる。
「が…………はあッ!!」
「リメイカーに歯向かうからだ……………死ねッ!!」
「トルトッ!!」
ドンッ!
ドゴアァッ!!!
「に…………兄さァァァァァんッ!!」
キュヌムがトルトを突き飛ばしてかわりに吹き飛ばされた。受け身もとれず地面に落ちる。腰あたりを殴られていた。マズい。
「て、テメェッ!!!よくもォォ!!!」
「無駄だ…………。」
トルトも吹き飛ばされた。
「さて…………カインとかいう奴…………。次は貴様だッ!!!」
やべぇ!!!奴の足に力が入っているのが分かる。……………来る!!
ドガアアアッ!!!
「ぐあああああッ!!」
剣で迎え撃とうとしたが、奴の攻撃は剣で斬ったくらいでは止まらず吹き飛ばされた。ヤバい。死ぬかもな…………。これ。
「トドメだ…………ッ!!!」
バシイイイイッ!!!
終わった、死んだ……………。……………あれ?
「全く…………頼りにならないのね。どいつもこいつも…………。」
「あ、アイナさん…………。」
アイナさんがポーテンのパンチを片手で受け止めていた。
「邪魔よ。下がって精々怪我人の安否を確認しておくことね。」
そう言ってアイナさんがポーテンを蹴り飛ばした。3mはあろうかという巨体が浮いて吹っ飛ばされる。
「あの、アイナさん。」
「…………何?」
「あの、ありがとうございました。おかしな事言うかもしれませんが…………優しいんですね。」
「………………。別に。目の前で死なれても後味悪いってだけよ。くだらない事言わないで。」
「…………はい。」
「…………女が…………俺に敵うとでも…………?」
「女を舐めない事ね。後悔させてあげるわ。」
何人もいると戦いは書きづらいですね。森の集落のバロンガ戦でも思ってましたけど。
書きづらかったため、男達には次々と負けてもらいました。普通、インゴー兄弟みたいなサブはともかく、メインをあんなにあっさり負けさせたら駄目なのかもしれませんが。