第161話 フロウ対ガイル
(フロウ視点)
さて、やるか。見たところ武器はロングソードのみ。隠している様子は見られない。つまり魔法にもある程度長けているという事だ(ヒノさんを狙撃していた為)。
挨拶代わりにエネルギー弾を造って投げつける。
バシュッ。
エネルギー弾を素手で受け止められたと思ったら霧のように消えた。
「消えた…………その手袋のせいですか?」
「ああ。この手袋の手のひらの部分に封魔石の粉末がほんのちょっと入っている………。俺にエネルギー弾を打ち消すだけの力は無いが、これなら簡単だ。魔法を使うなら、これを外せばいい。」
封魔石は着用者の魔法を防ぎ、外からの魔力から身を守るものだ。しかし、私の雷の用に魔力で特定の物質、現象を操る場合、魔力で操るだけであって、物質や現象は魔力ではない。つまりエネルギー弾や斬撃しか防げないのだ。
「雷剣。」
「フッ、電気の剣か…………。」
ガキィンッ!!
………?何故感電しない…………。ゲリズさんの時は電気を通しにくい木材相手で感電させたのだが…………。
「不思議そうにしているな。教えてやろう。この剣の柄には漆が塗ってあるのだ。漆はゴムより電気を通さない。塗ってあるのは偶然(鑑賞用の艷出し)だったが幸運だ。」
ギィン!!ガキン、ギン、ギン、ガキィンッ!!
ぶつかる度に電気が散って弱くなっている…………。これ以上打ち合うと壊れるな…………。
剣を解除して距離をとる。
「雷弓ッ!!」
ズパアンッ!!
「ぐおお…………ッ!!」
「剣以外…………つまり貴方本体を狙えば絶縁体なんて関係ありませんよね。」
「クソッ、ならば…………ッ!!」
?急にガイルさんの体に艷が出てくる。何だろう、アレは?いや、そんな事はいいか。もう一発!!!
ズパアンッ!!
!!?
効かない…………!?直撃したハズなのに、…………まさかッ!!
「フフフ、魔法で俺の体内から漆を造り出したのだ。漆は酸素、水素、炭素で構成されているッ!!そしてこの3つは体内に豊富に存在するものだッ!!造るのは容易いッ!!!」
「ふーん………そうですか………。」
「どうだッ、これで貴様の雷攻撃は怖くないッ!!雷は確かに威力が高いが対抗策はあるのだッ!!!」
「まあ、そうですね。電撃なら。」
そう言ってガイルさんに雷矢を向ける。
「貴様、話聞いてんのかッ!!雷は効かねェんだよォッ!!」
「電熱矢。」
ジュワァッ!!
「ぐああああッ!!」
「電撃が発する熱エネルギーを矢にして撃ちだしました。絶縁体なんてこんなモンですよ。おっと、貴方のやる事は分かってます。どうせ熱を通しにくい物質でも造るのでしょう。…………それが無駄だという事を教えるため、もう一つ見せてあげましょうか。」
ズドンッ!!!
「がああッ!!!て…………てめぇッ、何をしたッ!!?」
「電磁石をご存じでないのですか?磁力でそこの花壇の砂中から砂鉄を集め、魔力散弾の要領でブッ放しただけですが。」
「チクショオッ!!!……………これでも喰らえッ!!!」
ガイルさんがそう言って大きなエネルギー弾を投げつけてくる。
「あー、ヤケクソですか。」
横に飛び退いてかわす。
「ハハッ、馬鹿めッ!!!」
「…………なっ、しまったぁッ!!!」
そうか!!!あのエネルギー弾は私に攻撃する為ではなかったッ!!!私が避ける前提だったんだッ!!!そもそも私の攻撃を喰らい続けたのも私を油断させる為だったのか!!!
「ハハハッ!!!俺の本来の目的はこっちなんだよおッ!!!カインやジェルスごと吹っ飛んで死ねッ!!!ヒノォッ!!!」
「ズドン!!!」
『!!?』
その時、ガイルの後ろから飛んできた魔力の弾がガイルの左胸を貫通した。
書いてて思った事、
雷は強い。
ちなみに科学現象の中には絶縁破壊という現象があり、例えば今回フロウの雷の矢をガイルは全身漆塗りという方法で防御しましたが、
実際はできません。
空気の方がそこらの絶縁体なんかより電気を通しにくいからですね。雷が空気中に走っているのだからそれより電気を通しやすいゴムや漆は役に立たないと言う訳です。
しかし、あまりに雷が強力すぎるし、何よりこれは創作物であるため、これくらいはいいかな(書いた後絶縁破壊を思い出しました)、と思い絶縁破壊は採用しませんでした。こういうのは事実より雰囲気の方が大切です。別にこれから先絶縁体で宙を走る雷を防ぐ描写やる予定ありませんし。
あと、ワ○ピースの空島編のル○ィ対エ○ルでも普通に雷防いでたしいいじゃん、という事で。