第151話 大会終了
クソ、ヨルダを倒したってのに…………ここでディスターかよ………。
ディスターはヨルダを担ぎ上げ、ニヤリと笑う。
「安心しろ。今はやりあうつもりは無い。用事のついでに立ち寄っただけだ。クーヤに言われたんだ。ヨルダは負けるだろうから迎えに行けってな。」
「用事………?東の大陸にか?」
「お前には関係ない。ただ、レリカの命令、という事だけは伝えておこう。」
何の用事なのだろうか?
「さて、もういいだろう。」
「待て。」
「お前は…………ジェルス………とか言ったか?」
「逃がす訳ないだろ。それに、こんなんじゃもう試合は中止だ。メレンと戦いたかったがもうダメだな。暴れ足りないんだよ。」
そう言いながら腕輪を外すジェルス。
「…………?…………!!ジェルスさんッ、伏せてッ!!!」
キュリアちゃんが叫んだ瞬間。
「斬撃、蛇!」
「うおおおッ!!?」
ジェルスに向けて蛇行する斬撃が飛んでいく。ジェルスは何とかかわし、斬撃は外へとぶっ飛んでいった。
「ディスター、さっさとしなさい。」
「サーリッシュ………俺は行こうとしてたさ。邪魔が入っただけだ。」
通路近くにサーリッシュが立っていた。
「と、いう訳だ。じゃあな。また会えるだろうよ。」
ヨルダを担いだディスターとサーリッシュは瞬間移動で何処かへ消えてしまった。
「ありがと、キュリア。助かった。」
「あ、はい。」
それを見てアイナさんがたずねる。
「ねえ、キュリア。どうして貴女はサーリッシュに気づけたの?」
「あ。あれですか?わたし、人や動物の気配が分かるんです。神経を集中しないといけないんですけど、その人が落ち着いてるか、興奮してるかも分かります。」
「貴女、魔法使えないんでしょ?」
「はい。そうですけど…………。」
「魔法じゃない…………?………!!!」
「?どうかしたんですか?」
「いや…………なんでもないわ。」
「………………?」
「……………。ところで、大会はどうなるんでしょう。やはり中止ですかね?」
フロウがそう言った。うん、まあ、こりゃあ中止だよなあ…………。
その後、大会本部から正式に大会中止が伝えられた。もちろん、決勝を行ってないため賞金はチャラ。
闘技場の修理費、ヨルダのエネルギー弾の巻き添えになった人達(数人軽症した人がいたらしい)の治療費、それに来年以降観客とスポンサーの激減が予想され、最終的に莫大な損害が予想されているらしい。
「ああ、500万メノン…………。」
「諦めなさいって…………。子供にあげたのはもう気にしてないから…………。」
畜生、金が………、一攫千金が………。
俺達は帰路についた。
二日後。
「で、結局中止になっちゃったの?」
「まあ、色々あって…………。」
フォニカさんの怪我も治り、彼女はこれから港行きの馬車で帰る事になった。
「で、カイン。アンタ、アイツ(ヨルダ)に勝ったんだって?」
「あ、はい。アイツ、どうしても許せなかったんで…………。」
「アタシの為に?」
「……………まあ、そう、ですね。」
メレンの視線を感じる………。
「ああ、でも、アイツ、メレンも殴ってたんで。それで頭に血が昇って。」
「あ、そう。」
それだけ言ってフォニカさんはクスクスと笑う。
「おい、アンタ!出発の時間だよ!!馬車に乗ってくれ!!!」
「ああ、もう時間みたい。」
「さよなら、フォニカさん。」
「ええ。ジェルスもメレンも。会えて良かった。もう一回アタシらの酒場に来てよ?サービスするからさ。」
「はは、そうですね、また来ます(ジェルスの台詞)」
「はい。また会いましょう(メレン)!」
「じゃあね。」
馬車が走って街門を抜け、遠くなっていく。
「ふう…………じゃ、私達も帰りましょうか。そこでこれからどうするか話しましょ。」
メレンそう言い、俺達は城へと帰る。これから先…………どうしようか…………。
そういや、リメイカーが東の大陸に用事、か。いい予感はしないが………何をしていたんだ…………?
さて、やっとこさ闘技大会終了です。
ふと気になったのですが、俺の予定ではこの物語まだまだ序盤なんですよね。
…………あと何話かかるのか自分でも分かりません。ましてや何年かかるのか。
…………何か不安になってきました。でも読んでる人ほぼ居ないだろうから突然終わっても誰も気にかけないのかな?
何か悲しくなってきました。