第148話
どーしてもサブタイが思い付きませんでした。
(メレン視点)
さて、私の番だ。カインもジェルスも勝ち上がったんだから、私も負けてられないよね。
「で、アンタ、ライアさんに怪我させずに勝ったんだって?」
「ん?まあな。」
今、ここには私とカインの二人。
「よく勝てたね。あの人、魔法考慮しなけりゃ多分私より強いと思うんだけど。」
「いや、それは…………。端っこまで誘き寄せて押し出しただけだし。」
「ふーん………。」
全く、女性に優しいんだから………。フロウにも言えるけど、いつかこれが原因でエラい目にあわなきゃいいんだけど…………。
「それは置いといて、お前…………今回は大丈夫か?」
「アンタねえ…………心配しすぎ。さっきのシリスよりはマシでしょ?」
「いや、だってさあ、あの………トルトは絶対体がデカいだけのシリスとは違いだろ。ガタイはシリスより小さいけど、絶対実力は上だって。」
「かもしれないけど……………兄があんなだったから、大丈夫だって!!」
さりげなくキュヌムをディスったけど、まぁいいや。
「大層な自信なんだね、君。」
声に振り替えると、長身の若い男が立っていた。トルト・インゴー。身長190cmくらい、髪は茶。
「僕は兄さんのように簡単に負ける訳にはいかないからね。それにしても、君、よくよく見ると…………。」
?
「可愛い!」
「はぁ!!?」
いきなり何言ってんのこの人!!?確かに私は向こうの世界でも可愛いともてはやされてきたけど、ほぼ初対面で、面と向かって言うのってどうなの!?
「君すっごく可愛いよ!!顔つきもいいし、小さいのも可愛さを引き立ててるし、そんな小さいのにこのボディラインとか、グレートッ!!」
「いや、ちょっ、」
「君いいよ!!最高!!デートして!!!」
「いきなり何言ってんの!!?ダメに決まってるでしょ!!!」
「じゃあこの戦いで僕が勝ったらデートして!!!」
「嫌よ絶対ッ!!!カインも何か言って!!!」
「えーっと、その………アンタ、メレンも嫌がってるみたいだし、あんまそういうのは…………。」
「部外者は黙っていてくれッ!!僕はこの子にしか用がないんだッ!!!」
ああ、この人話聞いてくれないし!!
「メレン…………。勝ちゃあいいんだよ、勝ちゃあ」
「匙投げた!!?」
「大丈夫だって。一年間修行したんだから。」
「何か声にやる気が無くなってるんだけど!!?」
「っしゃあ決まりィ!!!勝ったらデート!!!」
……………………。
「それでは、選手のお二方は入場してくださいッ!!!」
……………。
「じゃ、頑張って。」
規定の位置につく。
「さて、第四試合です!!方や圧倒的な体格を誇る巨漢を残酷にも金的で沈めたメレン・マチル!!!方やスピードで翻弄する者をいとも簡単に玉砕したトルト・インゴー!!!はたしてどのような試合になるのか!!!」
ワアアアアアアアッ!!!
「それでは早速参りましょう!!!二回戦第四試合、始めェッ!!!」
ドォン!!!
私が一気に距離を詰めようと踏み込んだ瞬間。
ビュンッ!
速ッ…………。トルトも一気に詰めより、私の頭をめがけてハイキック。何とかスウェーの要領で回避して反撃しようとするが、あまりにリーチが違い過ぎる。こっちの攻撃が届かない。私の回し蹴りは宙を切り、トルトのキックが僅かに胸辺りを掠めた。
「そうッ!!僕は君の射程圏外から攻撃していれば安全ッ!!反撃は届かないッ!!つまりデート確定ッ!!」
「その理屈はおかしいわよッ!!」
しかし、これを何とかしないと本当にデート確定だ。それだけは避けないといけない。どうにか懐に潜り込まないと…………。
私は一旦大きく距離を取り、呼吸を整える。
「無駄無駄無駄ァ!!!諦めてデートに来ていく服でも考えて!!!」
トルトがすぐに追いつき、私を仕留めようとハイキック。その隙に懐に潜り込んで
「甘いッ!!」
ドッ!!!
蹴り足と軸足の間からパンチを打ち、潜り込んだ私は迎撃される。
「フォニカとトゥムの戦いでそれは予習済みさ。」
どうすれば…………何とかしてチャンスを…………。
更に飛んでくるキック。…………あ、そうだ!!これなら!!!
私は咄嗟にカニ挟み(スライディングして相手の足を挟みこんで相手を倒す技。元々柔道の技だが現在は禁止されており、サンボや総合格闘技で使用される)
ズサアッ!!!
ドタアッ!!!
「これならどうよッ!!」
やった成功!!間髪入れずに頭に向けて全体重をかけてヒップドロップ。私は軽いが頭にやればちょっとは効くでしょ。
ドッ!!!
「うあああッ!!」
よし、効いてる!!!
「こ………このッ」
ドゴッ!!!
立ち上がりを狙ってドロップキック。トルトは再びダウン。
そこから腕ひしぎ十字固め。(相手の腕を足で挟み込んで自分の腕で引き寄せる技。)一回外れかけるがなんとか持ち直ししっかりとかける。
「このままだと腕折れるよ!!降参する?」
「お、折れッ…………、こ、降参する!!た、助けて!!!」
「勝負あり!!!勝者、メレン・マチル!!!」
またギブアップ勝ちで代わり映えしないけど、ま、いっか。魔法で強化していない私の力でKOとかまず無理だもん。
あ、そうそう。
「これ、餞別ねッ!!!」
ドゴォッ!!!
「ウアアアアアーーッ!!!!」
金的蹴り。
「二度とふざけた口を聞かないでね?」
私はリングを後にした。
「お疲れ。結構苦戦したんじゃないか?」
「うん、ちょっとだけね。」
パアン!!
カインとハイタッチをかわす。
「さて…………ついに来たな。」
「カイン…………負けないでね。」
「ああ。任せとけ。」