第13話 散歩
読み返してみたけどこれ異常に短いですね。ごめんなさい。精進……………できるのか?
(メレン視点)
危ない危ない。カインに勘ぐられたけど誤魔化せてよかった。私は病院を出て、町中を軽く歩いて回る。
住宅が規則的に立ち並んでいて、その近くに沢山の露店がならんでいる。家の近くに色々なものが売っているのは便利だ。売っているものは野菜果物、肉、惣菜など食料が中心で、雑貨は専用の店があるらしい。
この町は自宅を店にしている者が多々いるようで、家に看板がかけてあり、店である事を表している。
看板を見ると、やはり雑貨を売っている店が多く、酒場、賭博場などの娯楽施設(酒場は娯楽施設なのかは知らない。)に、怪しげな薬を売っている店や、巨大な風車が取り付けられている店(こっちの世界の電気にあたるエネルギーを売っている店らしい。)、どう見ても空き家にしか見えない店(夜限定の店らしい)など、一風変わった店もちらほら見られる。
……………にしても…………。
ここの世界の文字はややこしい。何しろギリシア文字に色々付け足したような独特の文字なのだ。イヌやネコが教えてくれなかったら何もわからない。
………………。私はある事を思い付き、看板に向けて魔力を放った。
すると文字が少しずつ変形し、私がよく知る英語に変わった。
……………ネコ共に聞くより簡単だったよ。
あれ?でも話してる言葉は普通に通じる…………。
「あぁ、それはこの世界に連れてきた時に永続する通訳魔法かけといたんですよ。」
イヌにそれを聞くとこう返ってきた。へぇ、それなら納得。便利だねぇ、魔法は…………。
そんな事を考えつつぶらぶらしてたら私は気になる物を見つけた。
果物屋で売っていて見た目がメイドが頭に着けているヘッドドレスそのものなのだが色が鮮血の如く真っ赤で艶がある。店の主人に聞くと名前が“ブラッドメイド”というらしく、割と一般的な食べ物らしい。本当だろうか…………?
主人にお金を払って(ネコから貰った)ブラッドメイドを受け取り、とりあえず丸かじりしてみる。
……………。うん、大丈夫。見た目はアレだけど味は……………。
!!
「あーーーーーーッ!!!(断末魔)」
辛ッ!!始めは何ともないりんごみたいな味だったのに急にめっちゃ辛くなったんだけど!!?
昔間違えてタバスコ一気飲み(危ないので真似したり罰ゲームの内容にしたりしないように。)して死ぬほど苦しんだ経験あるけどそれくらい辛い。
こんなものこの世界の人は常用食にしてるのか…………。なんというか……………凄い根性だなぁ…………。
ネコ曰く、
「慣れたら美味しく感じる。」
らしい。慣れるのではなく舌がおかしくなるの間違いじゃないかと思ったが言及はしないでおいた。
で、数十分後…………。
私はそれから町の外れを散歩している。…………まだ舌が痛い……………。住宅もやや安そうな造りになっており、露店もない。店も小さな酒場や賭博場なんかがいくつかあるばかり。明らかに寂れているのがわかる。
と、その時。
「よぅ、お嬢ちゃん、派手な格好してるじゃねぇか。」
狭い路地にいた二人のチンピラと思われる男二人の内の一人が私に話しかけてきた。年齢は20くらいだろう………。どの世界にもいるもんだね………こういう輩って。
「可愛いじゃねぇか。一人?俺達と遊んでいかないか?」
男二人はヘラヘラと腹のたつ笑い方をしながらこっちに近づいてくる。別にこの時点で一本背負いして逃げてもいいんだけどいきなり投げ飛ばす程私は野蛮じゃない。
「いいえ、お断りします。」
「いいじゃねぇか!こっちに来いよ!」
男が私の腕を掴んで引っ張ろうとする。
「止めて下さい!」
私はそう言って男を軽く突き飛ばした。男は軽く後ろの壁に当たる。
「ッ、テメェ、女だからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!!来やがれ!!」
と、私の腕を掴んで強引に連れていこうとする。
ブンッ!ドサッ!!
私はあっさりと腕を掴んできた男に一本背負いを決めた。そのまま首に手刀を叩き込んで気絶させる。
「相手が女だからって調子に乗ってたね。」
気絶した男にそう声をかけもう一人に向き直る。
「どうする?やるって言うのならそれでもいいけど?」
そう挑発的に言うと、
「クソッ!!なめやがって!!」
そう言ってナイフを取りだし向かってくる。
私はナイフをあっさりかわして男の手首を叩いてナイフを落とす。そして右足を蹴ってよろめかせて後ろに回り首に手を回した。これで私が完全に有利。このまま首絞めたり投げ飛ばしたり刃物があれば首をかき切ったりできる。まぁ、殺さないけど。
「どう?降参する?」
私は涼しい顔で男に訪ねる。
「あ、あぁ…………。」
私はパッと手を放して男を解放する。と、同時に男が叫びながら掴みかかる。
「ひっかかったな!!クソ女!!」
「アンタがひっかかったんだよ、バカ。」
私はそう言って男を背負い投げた。男は壁に叩きつけて伸びてしまった。
「ナンパした女が悪かったね。」
私はそう言い放って町の外れから離れた。もう夕方近くになっている。もうそろそろ戻らないと……………。
で、病院に戻ってくると、
「おう、メレン。おかえり。」
「ただいま、カイン。怪我はどう?」
「まあまあかな。で、町はどうだった?」
「賑やかでいいところだったよ。」
「そうか…………。」
カインはそう言って面白くなさそうな顔をした。
「で、メレン。」
「何?」
「お前………お前が下敷きにしてなかったら俺の入院半分の期間で済んだって隠してただろ。」
「…………………聞いた?」
「うん。」
「……………ごめんなさい。」