第146話 防御
お久しぶりです。
すいません、何回か書いていたんですがその度にアクシデントで内容が抹消し、その度にモチベーション下がり、ここまで遅れてしまいました。
これからもガンガンペース遅くなります。
完全に余談ですが、読み直してたらタスウェン編のフォニカさんメッチャ男口調で(自分で書いたクセに)びっくりしました。
さて、まずはこの人に勝たなくてはならない。先程の戦いで魔物討伐を生業としているキュヌムを倒した女性、ライア・テスバさんだ。
戦いを見る限り、相当強い。リメイカー幹部、とまではいかないと思うが、恐らくフォルス兵長と同格くらいだろう。
しかし、ここで勝って次に上がり、あの野郎をブッ飛ばさなくてはならないのだ。こんなところで負けていられない。
殺気立っている俺とは対照的にライアさんはこちらに向かって微笑みどこか楽しそうにも感じられる。
「ふふ。わたしが手加減しなくたって勝つって、あなた随分大きくでるのね。」
「ええ。自信あるんで。」
「ふふ、キュヌムもカッコつけてあんな姿晒したのに……………大口叩いて負けちゃうと恥をかくってあれで学ばなかった?」
「俺はキュヌムなんかとは違いますよ。俺は次に行かなきゃならない。」
さりげなくキュヌムをディスったけど、まあいいか。それに、ライアさん、つまりは一般人をリメイカーと戦わす訳にもいかないし(まぁ、既に一般人二人が戦っているが)。
「ふふふ、じゃ、アイツの二の舞にならないよう頑張ってね。」
「それでは、選手のお二方は入場してくださいッ!!」
俺ら二人が入場する。
「それでは第二試合!!ライア・テスバ、カイン・セプル!!!お二方とも実力者を華麗に倒して第二回戦へと上がってまいりました!!!」
ライアさんはともかく、俺のあの戦いは華麗なのか?…………ま、いいか。
「第二回戦にして、この戦いは期待できそうです!!正直、一番期待できるカードだと思いますッ!!」
あ、そうなのかー………。メレンはアレを見せつけたからともかく、ジェルスとテオスはあまり期待されてないのか?あ、テオスが悪っぷり見せたからか…………。
「このカードが二回戦の中で唯一マトモな戦いになりそうなんですッ!!せめてこの戦いだけはッ!!」
ああ、本音が…………。
「それでは、二回戦第二試合、始めェッ!!!」
ドォン!!!
バッ!!ガッ!!ドッ!!!
鑼がなり響いた瞬間に飛び出してきたライアさんのキックや肘打ちを受け止める。結構一撃が重いな…………。
「うおおッ!!」
不意打ち気味のライアさんのカポエイラキック。スカートじゃないから見え………いや、止めとこう。
更に蹴りを腕でガードするが、少し後ろに下がる。
「ふふ、あんな事言って…………意外と大した事ないのかしら?」
「さあ、どうですかね。」
俺の肘打ちとライアさんのハイキックがぶつかる。そこから間髪入れずに俺の裏拳とライアさんの肘。肘に当たり、俺の手の甲に痛みが走る。
「ぐっ…………。」
ライアさんの中段蹴りを膝で受け止める。
「隙ありっ!」
ドッ!!
腹に肘打ちをモロに喰らい、俺は思わず数歩下がる。当たり所が良くて助かった………。肝臓に入ってたらヤバかった。
「ねえ、なんであなたさっきからあたしの攻撃のガード以外で攻撃してこないの?なんであなたから責めてこないの?ねえ?」
更に数発蹴りや肘のぶつかり合い。少し距離をとった所でライアさんがクスッと笑う。
「もしかして、あなた、女の人を殴れなかったりする?……………あ、図星?ねえ、そうでしょ?」
そう言ってライアさんが一気に俺との距離を詰めてくる。…………今だ!
俺はライアさんが蹴ってきた所を素早く横にかわして腕を掴む。
「!!まさか……………今まで防御ばっかりだったのは、これを狙って……………ッ!!!」
「ま、そういう事ですかね。」
そう。俺が今まで防御に専念していたのは闘技場の端まで誘き寄せるため。俺のすぐ後ろに落ちたら場外となる溝が迫っていた。まあ、女性を殴りたくないのもあったけど、俺はフロウ程極端ではないので、まあ、その気になれば。クーヤさんにも容赦なく斬撃ブッ放したし。
ドンッ。
「きゃ…………ッ!!!」
俺は掴んだ腕を思いっきり溝の方へと引っ張り、ライアさんの背中を思いっきり押して、溝へと落とした。溝の下にはマットが敷いてあり、ライアさんは怪我一つ無い。
「勝負あり!!!勝者、カイン・セプル!!!」
ライアさんはしばらく信じられないといった様子だったが、俺の顔を見てクスッと笑う。
「ふふっ。あなた、優しいのね。あたしに怪我させないようにしてくれたの?」
「まあ、そうですね。大丈夫でした?」
「おかげさまでね。ふふっ。ありがと。」
ライアさんが立ち上がる
「じゃ、次の試合、頑張ってね。…………あなたとはまた会いたいわ。じゃあね。」
ライアさんは封魔石の腕輪を外して放り投げ、俺に向かってウインクすると瞬間移動で何処かへ消えてしまった。
ふう、何とか勝てたな…………。これで次はアイツだ…………。
「さあ…………俺も勝ち上がったぜ……………覚悟しとけよ、ヨルダ・クーガー!!!」