第141話 応援
遅れて申し訳ありません。色々トラブルとかありました。
これからも不安定の予定。
「な…………これはッ!!?」
フォルス兵長が叫ぶ。そこで見たものは……………。
「うおおおおお、兵長おおぉぉぉ!!!」
「兵長、頑張れぇぇぇぇぇ!!!」
たくさんの兵士が観客席に押し寄せていた。ただでさえ大勢の客で埋まっている客席が偉い事になっている。
「な、なぜ皆が?誰にも私の試合時間など伝えていないのに……………。」
兵長も狼狽えているようだ。まあ当然か。
「ああ、これな。カインだよ。」
「カイン殿が?」
「ああ。アイツ、アルビスさんが倒された時アンタが狼狽えていた事にすぐ気づいたみたいでな。近くに居た兵士に言ってたんだよ『兵長がアルビスさんが負けたのを見て動揺している』ってな。そしたらこの通りだ。本当、おせっかいな野郎だぜ、あいつ。」
そのせいで鎧の大男が観客席の前列を埋め尽くすという珍事も起こっているし。
「で、どうだい兵長?アンタはこんな姿を部下が見たら何と思うか、と言ってたな?答えはコレさ。」
「………………。」
兵長は黙って客席を眺めている。兵士達は皆兵長に向け、激励の言葉を叫んでいる。
「笑う?馬鹿にする?いーや、違うね。仲間なんだから。不安な事があっても励ましてくれる、背中を押してくれる……………そんな仲間がこんなにたくさん居てくれる……………いい事じゃあないか。」
「……………ああ。そうだな。私には……………仲間が、いる!」
兵長の目付きが変わった。先程までの動揺はもはや見えない。
「フォルス・バルバーノ!!!東の大陸の方なら知らぬ者は居らぬでしょうッ!!弱冠22歳(現実世界で)にして東の城の兵を束ねております!!無論、実力は相当のものッ、その戦い、見せていただきましょうッ!!!」
ワアアアアアア!!!
「ジェルス・ノヴァール!!!キャリアは一切不明ですが、その体の傷と予選を勝ち抜いてきた強さッ!!!これだけははっきりと言えますッ、ただ者で無いッ、と!!!その強さ、どこまで通用するのかーーーーーッ」
ワアアアアアア!!!
「ノックアウト、ギブアップ、場外のいずれかにより勝負が決しますッ、それでは一回戦第七試合…………始めェッ!!!」
ドォン!!!
二人ほぼ同時に飛び出し、一気に距離を詰める。
ガッ、ガッ!!
まずは軽い打ち合い。
ドゴッ!!
「兵長の膝蹴りィーーーー!!」
更に腹に回し蹴りが飛んでくる。
ボゴッ!!
「グッ、」
「命中だッ、兵長開始早々攻めていくゥーーーーッ」
そこから追撃で数発蹴りやパンチを喰らう。
「行けェェェェ兵長ーーーーッ!!」
「そこだァァァアッ」
ドッ!!!
「おおっとジェルス選手のアッパーが入ったかーーーッ」
チッ、掠めただけか。骨に沿っていくように掠めただけだから威力は大した事ないな。
だか、ラッシュを止めることはできた。反撃といこうか。
ガシッ!
殴りかかってくる兵長の腕を掴み、後ろへ引っ張りそこから背中を強く押して背中を向けさせる。
ドゴッ!!!
からの背中にケンカキック。カインがよくやってるから試してみたが、中々使いやすい。
まあヒットしたのが背中だったのでダウンはしなかったが(背中は脊髄など重大な部位に喰らわなければ正面より防御は強い)、そこそこのダメージのはずだ。
ブォン!!!
兵長の振り向きながらのハイキック。それをスウェーで回避。
ドッ!!
「うっ!!」
攻撃後の隙を狙って左フックでの肝臓殴打。これしっかり入ると痛いんだよ。
ドガアッ!!!
「アッパーーーッ!!!今度は綺麗に決まったァーーーーーー!!!」
兵長が後ろに倒れる。
「…………やはり…………あなた方には敵わないな…………だが…………負けたというのに…………こんな清々しい気持ち…………初めてだ………………。」
「勝者、ジェルス・ノヴァールッ!!!」
ワアアアアアアア!!!
この場にいる皆が、俺とフォルス兵長に歓声と拍手を送る。兵長は担架で運ばれる時も、満足そうな顔だった。