第129話 再会
俺が持っていた金は北の王様から旅立ち前(集落へ向かう時)にもらった物で、俺が別次元に放り込んだ物である。つまり、俺ら三人の全財産アレである。それを子供に全部あげた。なんて言ったら二人は何と言うか。特にメレン。アイツ、結構短気な所あるからブチ切れる可能性あるぞ。
肩を落としながら重い足取りで歩く俺にここで声がかかる。
「あれ?もしかしてアンタ、カイン?」
ん?聞いた事のある声。振り返ると…………。
「あ……………。」
鮮やかな緑のショートカット。ボーイッシュだが可愛らしい女性。
「フォニカさん!!?」
「本当にカインだ!久しぶり!!」
「はい、お久しぶりです!」
フォニカさんが笑う。
「おや、可愛らしい方ですが、知り合いですか?」
「ああ。以前にちょっとね。フォニカさん。コイツはフロウ。」
「よろしく!!」
「…………僅かな匂い…………これは火山灰………タスウェンから来た方ですか?」
「………すごーい、さすが犬人間。そんな事まで分かるんだ…………。」
「狼ですけどね。」
「で、フォニカさんはどうしてここにいるんですか?」
「あら?知らないの?闘技大会があるって事。」
「闘技大会?」
「ああ。もうそんな時期ですか。何か屈強な方が多いとは思っていましたが。」
「何?それ……………。」
「要するに強い人間を決める戦い。元軍事国会ならではのイベントね。」
「出場する方と見物される方々により闘技大会中の熱気は世界一です。なんたって最強を決める戦いですから。この時期の東の都周辺の宿屋、食料品店などの売り上げは鰻登りです。ま、一番儲かるのは言うまでもなく大会本部ですが。」
「何千万メノンという金が動くらしいからね。当然、これだけの金が集まれば入賞者へのファイトマネーもたんまり……………。」
お?
「あの、ちなみに優勝賞金っていくらかわかりますか?」
「確か……………500万メノン。」
おお。いい金額。これに参加して優勝すりゃさっきあげた金の何倍もの金が手に入るじゃん!!!
「カインさん。あなたの考えてる事がわかったんですが……………。」
「多分当たってるぜ、それ。」
「ん?どしたの?」
「あ、いや、こっちの話です。で、フォニカさんも参加するんですか?」
「もちろん。そのために親父から長い休暇もらったからね。」
「お店は大丈夫なんですか?あの人一人じゃ…………。」
「大丈夫大丈夫!!アタシがいない時は客の数一割以下にまで減るから!!むしろ暇だって!!」
大丈夫なのか?お店………………。
「で、大会の受付は……………。」
「明日だよ。ここから東にある闘技場。参加料は1000メノン。」
「あれ?安いんですね。」
それでも940メノン足りない………………。
「見物者からは高く取るけどね。あまり高くすると負けたら可哀想だって。………………あのさ。もしかして……………。」
「はい?」
「まさか……………1000メノンも無かったりする?」
「ああ、まあ。そう…………ですね。60メノンしか…………。」
「ろ、60………………、何があったのかは聞かないけど………………。よし!!あの時の恩もあるからね。ハイ!!」
フォニカさんは笑って俺に1000メノン差し出した。
「あ…………、いいんですか?」
「いいっていいって!!恩があるんだから!!もらっといて!!!」
そういって金を俺の手に握らせる。
「じゃ、また明日闘技場でね!!」
「はい、ありがとうございました!!」
よし、希望出てきたな。城に帰ろう。