第124話 東の城(後編)
ザッ!!
「ッ!!!」
何列にも並ぶ多くの兵士がレッドカーペットの両脇に並ぶ。一斉に踵を揃える音が響き、俺は思わず威圧されてしまう。
そして、玉座には背の高くいかつい男性が座っている。短く暗い茶髪で、左目に縦長の傷がある。そして背中に大きなバスタードソードを背負っている。
「クハハハハハ!!紹介状を読んだぞ!!お主等が世界を狙う輩と戦う者達か!?」
野太い声で王様が言った。
「お初にお目にかかります。カイン・セプルです。」
他の皆も同じ様に挨拶する。
「クハハハハハ!!私はドグラン。この東の大陸の王だ。以後よろしく頼むぞ。」
王様が豪快に笑う。
俺はこれまでのいきさつを簡単に話した。
「出来る限り手を貸そう。倉庫にある物は何でも持って行くといい。あと、三階をお主らのこの大陸の拠点とするがいい。」
「はい。ありがとうございます。」
ハイ、これで面会終りょ
「お待ち下さい!」
うわぁ何だ!!?
「ほう、フォルス兵長。何か?」
「いくら異世界から参られた英雄であろうとも、国を守る為常日頃鍛えている我らが劣るとは考えられませぬ。前兵長スコット殿が居らぬとも、我らの力は侮れぬ、と言いたいッ!!」
「ほう…………では?」
「失礼ながらッ!!カイン殿と手合わせ願いたいッ!!!」
「…………と、言う事だ。カイン殿。どうかフォルス兵長と戦い、その力、こやつに示してもらう訳にはいかぬだろうか?」
…………フォルス兵長が言ってた事は所々違う(×参られた○拉致されてきた ×英雄○一般人)けど、まあ、俺等が強いとはパッと見思えんよなあ………………。
「はい。分かりました。」
「そうか!!では、両者、中庭へッ!!」
そして、俺とフォルス兵長との手合わせが行われる事となった。
が。
なんで本物の剣使うの?普通模擬の剣とかでしょ?俺はいつものロングソードだし、兵長本物のランスだし。危ないじゃん。痛いじゃん。怪我するじゃん。
「では、両者構えて……………。」
本気かよ!!?本当にやんの!!?
「始めぇッ!!!」
畜生やるっきゃねぇ!!!
兵長の突きを何とかかわし、凪ぎ払いを後ろへのバックステップで避ける。
ちゃっちゃと決めるか。
「斬撃、回転刃!!」
これはブーメランだ。案の定兵長は一度避けるが帰ってくるのはノーマーク。
よっしゃ終わ
「兵長!!後ろッ!!危ないッ!!!」
口出すんじゃねえよ三下がッ!!!
兵長はこの言葉を受け帰ってくる斬撃もかわした。あーあ、あの兵士が口出さなければなー。
降り下ろされる槍を剣で受け止める。脇腹に蹴りを放つが読まれていたようで膝で受け止められた。
「うおッ!!」
脇腹を槍が掠め血が吹き出す。
「痛ぇなこの野郎……………ッ!!!」
この痛みでスイッチが入る。今までは手加減してたが、本気になった。
一瞬の隙を逃さず俺は槍をつかむ。
「斬撃、散弾!!!」
ズドン!!!
兵長に命中し吹き飛ばす。
「逃がさんッ!!!斬撃、螺旋!!!」
ズパアッ!!!
「ぐああッ!!!」
ドサァッ!!!
脇腹を斬られ兵長が倒れこむ。あと、ランスが真っ二つに斬れ、兵長の手を離れる。
「降参するか?」
「ま、まだまだァッ!!!兵長の意地、見せて」
ドガアッ!!
降参しなかったので追撃。まだまだが聞こえた瞬間距離を詰め奴が立て膝をついたところで膝を踏み台にして膝で回し蹴り。閃光魔術。想定してなかったのか兵長は反応が遅れ、モロ顔に入った。
ドサァッ。
あ、KOしちゃった。
「勝負ありッ!!!」
兵長は意識はあるがフラフラ。やべぇ、やり過ぎちまったか………………?