第123話 東の城(前編)
次の日。
ジェルス、アイナさん、キュリアちゃんの怪我も完治し、全員退院。さあ、予定は大幅に遅れてしまったが、城を目指そう。
東の城下町は北の城下町と基本的にはあまり変わらない。しかし、兵士の駐屯所が北よりも多い。
「東の大陸は軍事国家ですからね。もちろん今は平和条約により戦争なんてやっておりませんが。あ、平和条約が結ばれたのは(この世界で)500年前くらいですね。」
えーっと、ここの2年があっちの一時間だから……………俺らの世界では250時間で、10日くらい前?ずいぶんと最近なんだな。
というか、フロウ達この世界の人間は俺達の体感だと気の遠くなるような年数生きてるんだよな……………。リリちゃんやルルカちゃんも人生経験は俺達より長いんだよな……………。……………まあ、この世界ではこれが当然だから別に長いとも思ってないんだろうけど。
「?…………どこと戦争を?」
「…………南の大陸です。領土問題により戦争へと入ったようですね。嘆かわしい事です。まあ、お偉い方々もその事にようやく気づいた為に平和条約を結んだのですが。」
………………どの世界も変わらないのな。こういう事は。
「まあ、もう過ぎた事です。今は仲良くやっていますよ。お互い交易で助かってますからね。」
アメリカと日本みたいなもんだろうか?
その時、アイナさんがボソッと呟いた
。
「あたしは南の大陸にも行った事があるから知っているけど、遺恨は残っているわ。納得していない人だってまだまだ数多く残っている……………。」
「それはそうですが……………お偉い方々もその事に関しての話し合いを続けていますよ。愚を犯した反省をしていない訳ではありません。」
「…………………。」
それっきりアイナさんは口を閉じてしまった。
「で、話戻しますけど、軍事国家ですから、兵士が大量に居て、それにより駐屯所が多く配置されております。それだけではなく、様々な村に兵士を派遣し、魔物の襲撃に備えてあります。この城下町の外壁にも魔物対策に大砲が数多く配備されていますよ。」
ここでジェルスも話題に加わる。
「それにしても駐屯所が多すぎやしないか?あんまこういうのが多くても窮屈な感じがするけど。」
「彼らも金もらう以上働かないといけませんからね……………数も多いですし、兵士なんて他に就職先もありませんし、その辺仕方ないと思いますよ?」
「そんなモンかなあ………………。あちこちに監視の目があるっていうのも息苦しいような気がするけどな。」
「そのおかげで治安は良いようですし、いいんじゃないですか?犯罪起こってもすぐに捕らえ」
「泥棒だァーーーーーッ!!!」
おお、早速起こったぞ。
「うおぉーーーーッ!!捕まえろーーーーッ!!」
「そっち行ったぞ、追えーーーーッ!!!」
ドドドドドドドドドド!!!
「うわああああああああああ(俺の声)」
何だよコレ!!何か鎧来たデカイ集団がスゲェ早さで走ってんだけど!!?
「確保ーーーーッ!!!」
「縄持ってこい、縛り上げろーーーーーッ!!!」
しかもスゲェハイテンション。なんだよコイツ等。
「ほら、こんな感じで簡単に。平和でしょう?」
「それギャグで言ってんのか?」
全然穏やかじゃねぇ……………。
すげぇ、男の人が何十と居る鎧に担ぎ上げられて連行されてるよ。パフォーマンスの一貫?
「さぁ、お城行きましょう。」
…………………。
お城に向かうとやはり城門には兵士が二人。俺達に気がつくと身構える。
「お主等。何用か?」
兵士の一人が話しかける。あ、そういや、北の王様にこれ見せろって紹介状もらってたっけ。
「これは……………!!!失礼しました。玉座に案内致します。」
こうして玉座へと案内される。城の内部も北と変化ない。
さて、ここが玉座か。扉が開き俺達は中へ入った。